デスティニー 【第2章 1話】 | 『デスティニー』 ~運命の物語~ 

『デスティニー』 ~運命の物語~ 

『デスティニー』という小説を書いています。
どうぞ御気軽にご覧下さい♪

2014/12/01
多忙でしたがやっと余裕ができました!
まだ忙しい生活が続きますが
休み休み更新していけたらと思います!
忘れ去られているとは思いますが
またよろしくお願いします♪

「・・・・・ふう、学校かーあ・・・」


部屋に鳴り響く目覚ましを乱暴に叩いて止めた。

これから八木に会わなければいけないと思うとぞっとした。

でも、輝たちに会えるのは嬉しい・・・・。

そんな複雑すぎる心境で、私はベッドから出た。


久しぶりに着る体操服と制服。

やっぱり、下に体操服を着たままで着る制服はきちきちとしていたし、何より暑か った。

「・・・・ふぅ」

ブレザーまで着終わって、全身鏡でチェックした。

まだ髪を結んでいないから違和感はあるけれど、休日明けの顔は少し緩んでいる気がした。

「・・・・・はぁ、頑張んないと!」

頬をぺちんと叩いて、私は1階に降りた。

「おはよう、お母さん」

「おはよう。もう出るから、鍵閉めて学校行ってね」

「はーい・・・」

・・・こんなの、いつものこと。

朝誰もいない家から鍵を閉めて出るのも、日課だったはず。

それが昨日までの2日間は違ったから、異様に淋しく感じた。

ばたん、とドアが閉まってお母さんが出かけて行った。

まだ6時半・・・・

ダイニングテーブルに置いてあったトーストとジャムと牛乳を見て、少し泣いた。

***

「おっはよう、綾!」

「おはよ、きのうはお邪魔しました!」

「亜衣、寿々・・・」

この二人の顔は、何もかも忘れさせてくれる。

嫌なことも、辛いことも、悲しい事も。

「・・・・どうしたの綾?目が赤いよ」

「・・・うっ、ううん!なんでもないよ」

亜衣はちょっと訝しげな顔をしたが、すぐ前に向き直った。

すると、後ろから走ってくるような音。

もしかして・・・・

後ろを振り向くと、輝と優斗と拓だった。

「っはよ、綾」

そう言って、朝から私のほっぺを横につねる輝。

「おひゃよ・・・」

「(笑)!!お前おはようって言えてなかったぞ(笑)」

「ひゃ、ひゃっへほうは・・・いひゃいいひゃい!!!」

「ごめんごめん(笑)」

ひりひりする私の頬をさすりながら、輝がふと前を向いた。

「?」

輝の視線を追うと、視線の先には八木に絡まれている星野さんがいた。

「星野さん・・・?」

「綾、星野ってあいつか?」

「・・・そうだけど。輝、小学校同じじゃなかった?」

「・・・いや、あいつのこと・・・・・・全く覚えてないんだ」

「・・・・そう・・・?」

すると、拓くんが私たちの前を通り過ぎて、八木と星野さんのほうに向かって行った。

「・・・・・た、拓くん!?」

「お、おい拓!?」

「輝、・・!」

「・・・・・え!?優斗?!」

拓くんが止めに行こうとしている後を、優斗と輝が追いかけた。

すると、拓くんは迷いもなく口を開いて、

「なにやってんの」

と、今までになく低い声で言った。

横にいる寿々は、呆然と拓くんのことを見ていた。

寿々の手は小刻みに震えていて、私はその手を握りしめた。

そこに亜衣もやってきて、亜衣が寿々の肩を抱いた。

「はーい、星野さんが俺の上履きに画鋲なんて物騒なもの入れたのですよ、悪いのは星野さんでーす、僕は悪くありません!」

そう言って、八木が星野さんを殴ろうとしたのか拳を振り上げた。

「危ない!!!!!!!!!」

私はとっさにそう叫んで寿々の手を離し、拓くんのほうに走って行った。

すると、私が拓くんのところに着く前に、拓くんは八木と星野さんの間に割って入り、星野さんをかばった。

どかっ!!

痛そうな音が、閑静な住宅街に響いた。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・た、拓っ・・・・!!!!!!!!」

寿々が、そう言って拓くんに駆け寄った。

拓くんは返事をしない。

「・・・・・・・・どうした?死んだのか?いけなかくーん、聞こえますかー?」

ひゃひゃひゃ、と八木の取り巻きから笑い声が上がった。

「・・・・・こ、輝・・・・っ」

私は怖くなって、輝の制服の袖を握った。

「・・・・・大丈夫」

「・・・え・・・?」

そう言った輝の言葉には、何とも言えない説得力があった。

「・・・・・あいつは、どうにもなってない。・・・・お前が死ぬわけないよな、・・・・・・拓」

すると、いきなり拓くんの目がぎらりと光ったように見えたかと思うと、

拓くんの拳が八木の腹に完璧に入った。

「・・・・・・・・・・・・・え・・・・・・・・・・・・・・・・・!?!?」

そのまま八木は吹っ飛び、歩道脇の植木ごと倒してどさっと崩れ落ちた。

拓くんは星野さんに「大丈夫?」と声を掛けていた。

すると、星野さんの口から思いも寄らない言葉が発された。

「・・・ありがとう、たっくん・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・・たっくん・・・・・?


まるで、その愛称は、昔から付き合っているふたりにしか許されないであろう愛称だった。

「・・・・拓・・・?」

輝の視線は、拓くんと寿々と星野さんの間を行ったり来たりしている。

優斗も、優斗の隣にいる亜衣も、同じく呆然と立ち尽くしていた。

すると、寿々が大粒の涙を流して駆けだした。

「・・・・・っ、寿々!!!!!」

私と亜衣は寿々を追って走った。

最後に見えたのは、走り去った寿々を見て、唖然としている拓くんと星野さんだった・・・。

***

「・・・・はぁっ、はぁっ・・・!!!」

寿々に追いついたものの、寿々はそれに構わずずっと走り続け、陸上選手並みに足の速い亜衣でも息が荒くなるほどの距離を泣きながら走り続けた。

「・・・・・っは・・・っ、・・・・っ・・・・」

泣いている寿々は、もう過呼吸寸前と言ってもいいほどに息が荒かった。

「・・・・・・拓なんて、・・・・知らない!」

寿々はそのまま昇降口から走り去った。

私たちはあわてて追いかけたものの、寿々を見失ってしまった。

すると、後ろから輝・優斗・拓くん・星野さんの4人が追ってきた。

星野さんは拓くんの陰に隠れている。

「・・・・水瀬・・・・、水瀬、どこだ・・・!?」

「・・いま、見失っちゃった・・・・・・。いきなり走って行っちゃって・・・」

「・・・・・・・・そうか・・・・」

「・・・拓くん、寿々にちゃんと話してあげて・・・・・。星野さんと拓くんの、本当のこと」


本当のこと。

・・・・・そう、本当のこと。

きっと、この二人にはもっと大きな秘密がある。

そう、私は確信していた。

***

いよいよ新章突入です!!

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