デスティニー 【第1章 11話】 | 『デスティニー』 ~運命の物語~ 

『デスティニー』 ~運命の物語~ 

『デスティニー』という小説を書いています。
どうぞ御気軽にご覧下さい♪

2014/12/01
多忙でしたがやっと余裕ができました!
まだ忙しい生活が続きますが
休み休み更新していけたらと思います!
忘れ去られているとは思いますが
またよろしくお願いします♪


***

「・・・・部屋割りどうする・・?」

「さすがに男女一緒ってわけには・・・・ねぇ?」

「綾のお父さんが許さないと思うけど!」

「だな・・・・じゃあ・・・えーと・・・・綾が決めるしかないじゃん」

「んー・・・じゃあ私の部屋に女の子、・・・・和室・・・・んーでもなぁ・・・仏壇あるしなー」

「仏壇!?怖い怖い怖い!!」

拓くんが優斗にしがみついた。

「なっさけないなぁー・・・だってあの部屋以外ないよ?寝れる部屋」

「ま、拓なんてどうせ怖がりだからどうしようもねーだろ」

優斗が拓くんを払いのけながら言った。

「だな・・・じゃあ俺たち和室借りるよ」

「うん、じゃあ・・・取りに行こうか」

「おっし!」



数10分後、私たち6人は道端で疲れ果てていた。

残るは3軒、亜衣と輝と優斗の家だ。

「・・・・・・・・・あのさ・・・・・・・・2つにわけない??」

寿々がとてつもなく低い声でたるそうに言った。

「どうゆうこと・・・・?」

亜衣がこれまたか細い声で返答する。

「おつかい組と・・・取りに行く組」

「・・・・だね」

「でも私輝の家分かんないし優斗の家も分かんないよ~・・・・」

「じゃあ綾と輝と優斗で行けばいいじゃん??」

「亜衣楽したいからってそんなぁ~・・・」

「いいじゃん、私は優斗と一緒にいたいのに自分から離れるっつってんだよ??」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・恩着せるつもり・・?」

「んっ!そゆことぉ~」

・・・・・・・非常に腹立たしい。でも怒る気力もない。

「・・・じゃあそうしようか・・・じゃ、お金とメモ!くれぐれも無駄なもん買わないようにね」

「分かってるよー信用ないなぁ」

「まぁ亜衣が信用されないのはしょうがないよな」

寿々がぽそりと言った。

「何よっもう!!!」

憤慨する亜衣たちを後にして、私と優斗と輝はそれぞれの家に向かった。

「・・・・拓んちがすんなりOK貰えて良かったよな」

「ほんとだよ・・・てか俺らが泊まるって言ったおかげじゃね?」

私はこの2人の会話に割り込める気はしなかったけど、ひとつだけこの2人に訊きたいことがあった。

「・・・・ねぇ、優斗」

「あ?」

「なんで、優斗は好きでもない女子の家に泊まる気になるの?」

「・・・・・・・・・・・・・・・は?」

「何言ってんだ綾?今更」

「いや、確かに輝は泊まってくれてうれしいよ?お父さんにも紹介したかったし、優斗や拓が泊まってくれて楽しいけど・・・」

「けど」

「・・・そんな不用意に男子が女子の家泊まってもいいものかな、と・・・」

「・・・・・・・・そりゃな?俺だって泊まったって泊まんなくったって別に構わんよ」

「・・・・・・・あぇ?そうなの?」


・・・変な返答をしてしまった・・・

「そりゃあできれば亜衣んちにも行っときたいしな?」

「・・・うん」

「だけどさ、楽しそうじゃん」

「「・・・・・・へ?」」

輝と私がハモッてしまった。

お互いに口を押さえて笑う。

「・・・こんなことできるの、今年中だけだろ、絶対」

「・・・・・・・・・・・」

「来年は受験生、再来年は高校生・・・・・これからこんなことってないだろうなって、後先考えてこういうことしてんだよ、俺も」

・・・・・・・・・・・・そうだったんだ・・・。

「・・・そうだよね、そんな理由がなきゃ・・・こんなことしたりしないよね」

「それは俺だって拓だって同じだろうぜ」

輝が口をはさんだ。

「そうなんだ・・・・・・・・・てゆーか、輝とか優斗って・・・行きたい高校とかあるの?」

「・・・・俺はまずまず成績かなぁ」

・・・優斗、そりゃそうだろ。

「・・・・俺はお前と同じ高校に行きたい」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?

「・・・今はそんな長続きするかも分かんないし・・・お前だってこんな会って・・・ってゆーか慣れてすぐの男そんな信用する気になんねーだろ?」

「・・・・・・・・・・まぁ、そりゃぁ最初は・・・自分の気持ちにも戸惑ってたから(笑)」

「だろ?・・・・・だけど、俺は本気でお前のこと好きだから、・・・・・・・お前さえよければ、と」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っかぁっ!!あっついあっつい・・・もーただでさえ暑いのにやめろよお前ら!!」

「・・・・・・・はっ!?う、うるっせーよ優斗!!!」

「・・・・そ、そうだよ!!優斗と亜衣だってもんのすごくあっついくせに!!」

「あっはっはっは(笑)それが俺らの実力というもの―――」

ばしっ。

輝と私が同時に優斗を叩いた。

「いってぇなもう!!そーゆーとこが暑いんだって言ってんだろうが!!!」

・・・・・

ちらりと輝を見ると、輝は優斗を見て笑っていた。

・・・・・・・・・・・来年の夏は、こうして輝の隣にいるのだろうか?

・・・・もしかしたら、

―――――――いれないかもしれないんだ・・・・。


***


「・・・・つっかれたあああああああああっっっ!!!!!」

「絶対おつかい組帰ってるぞもう・・・」

「もう7時だぁー・・・やばいなぁ」

「亜衣の荷物重すぎる・・・」

「亜衣のお母さん優しかったけど愛が重いな」

「・・・・だね」

「チャリ乗ってくりゃ良かったな」

「・・・んー・・・まぁチャリは重いよ」

「乗るんだよ・・・綾大丈夫か?頭蒸発したか?」

「してないよ!!」

「俺の彼女に何をする!!(笑)」

「(笑)!!何言ってんの輝ー(笑)」

「・・・・あーもう早く亜衣に会いたい・・・」

「「ひゅーひゅー♪」」

「・・・・・・・るっせぇぇよ!!!!」




いつの間にか家のドアが前にあった。

多分、楽しく喋っているうちに時間が過ぎていたんだろう。

がちゃ、とドアを開けると、夕食のにおいかいい匂いがした。

「・・・・お腹すいてきた~・・・」

「あ、綾お帰り。お風呂入ってるわよ、えーっと・・・亜衣ちゃんだっけ?」

「亜衣と寿々一緒に入らないの?」

「うん、別々に入るって」

「そう・・・」

「普通女同士一緒に入るだろ」

「まぁ寿々は一人で入る派だからね・・・しょうがないか」

「男子は入りきらねーだろ」

「え?めんどくさいなー3人入れると思うよ?」

「てか綾お前入るの?朝入ってたのに」

「汗かいたし、そりゃ入るよ・・・寝るとき気持ち悪いもん」

「・・・ま夏だしな・・・」

「あ、洗面所じゃなくて台所で手洗った方がいいと思うよ、亜衣が間違って出てきたりしたら危ないから(笑)」

「・・・・・・・・・・・・・・危ないのは俺たちだろ」

「そうだねー・・・・でも寿々よりは危なくないんじゃない?」

「確かに」

「そういえば拓くんと寿々は・・・・・」

「お、何やってんだろ」

「あ、上にも小さいけど洗面所あるからそっち行こうか」

「あるの?!すげーな綾んちって・・・広いし」

「いやー・・・・・そうでもないよ?」


たんたん、と階段を上がって洗面所に入り、私の部屋のドアを開けようとしたところで中から喧嘩の様な声が聞こえた。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」

「・・・どうした?」

「しっ」

「・・・え?」

「中から・・・寿々の泣き声が聞こえて」

「・・・・え!?」

輝、優斗、私がいっせにドアに耳を押し付けた。

すると、中からこんな会話が聞こえた。

「・・・・・・・・なんで言ってくれなかったの!?星野さんとのこと・・・!」

「言ったら寿々は絶対泣いただろ!?俺は寿々のことを思って――――」

「そんなこと言って私が許すと思わないで!!」

・・・・・・思ったよりひどい喧嘩だ。これはひどい。

私は輝と優斗の顔を見上げた。

「・・・・・・どうしよう・・?」

声をひそめて訊くと、

「・・・・入れねーだろこんなんじゃ・・・」

「ったく、あいつら・・人んちで喧嘩なんかしてんじゃねーよ・・・」

「・・・でも、確かにあの話の後寿々の様子ちょっとおかしかったから・・・やっぱりこの話気にしてたのかな」

「・・・・・でも、それ言わなかった拓に原因があるって言われても反論できないよな」

「・・・んー・・・・そうだね」

「でもなんか聞き耳立ててるってのも罪悪感あるから下行かないか?」

「そうだね」

「そうすっか・・・」

下に行こうと思って振り向き階段を降りようとしたら、ちょうどお風呂から出た亜衣と階段ではちあわせた。

「あ、お風呂上がったんだ」

「うん・・・部屋行きたいんだけどさ・・・・あのさまで」

「んー・・・何とってきたいの?」

「綾のクシ借りたかったんだけどさぁ・・・綾のクシって部屋でしょ?」

「うん・・・何もかも部屋にある」

「着替え持ってきてよかったよ・・・でもどうする?あの様子じゃ綾も着替え取りに行けないよ」

「・・・・・しょうがないから呼んでくるよ、もう気まずいとか言ってる場合じゃない――――」

ばこん!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何の音!?

「・・・なんか、今なんか・・・ばこん、って音しなかった?」

輝たちに尋ねると、

「・・・した・・よな」

「・・・・まさか物の投げ合いとか!?」

「・・・・・・まさか・・・・」

「ちょっと見てくる・・・」

心配顔の亜衣たちを後にし、忍び足で歩きながら部屋のドアノブに手をかけ、細い隙間から部屋をのぞいた。

・・・・・・・・すると、言葉では表現できないくらい驚く光景が目に入ってしまった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!?!?!?!?!?!?!?!?!?!

・・・・さっきのばこん、という音は・・・・・私のミニテーブルを倒した音だったんだ・・・・!?

・・・・・・・・・ざっくり言うと、拓くんが寿々を押し倒したような体勢になっている。

これは見てはいけない、と思い静かにドアを閉め、ありのままを皆に報告した。

「・・・・・・・意外とあいつら・・・早いとこ行きやがるな・・・」

「ちょっと優斗そういう話は勘弁して・・・」

「でもそんな雰囲気になられちゃもっと入りにくいよな」

「そうなんだけどさぁ・・・誰かもっと勇気のある人いない?」

「「・・・・・輝」」

亜衣と優斗が同時にこたえた。

「・・・・は!?なんで俺なんだよ!」

「「いつも空気ぶち破るから
      ぶち破りやがるから」」

「・・・・・・・・・・・・そんだけの理由か?」

「そんだけ」

「うん」

「・・・・・・・・・・・輝、ごめんなさい、本当に・・・お願いしますっっ!!」

すると輝はばつの悪そうな表情と照れたような表情を同時に浮かべて、

「ゎーったょ・・・」

と言って部屋のほうに向かっていった。

「よし・・・・あとはあいつらのみだな・・・」

すると、どうやら大丈夫だったようで、輝がまもなく戻ってきた。

「もう終わってたぜ。ほら、取ってこいよ」

「あ、ありがとう・・・!」

開け放されたドアから部屋に入ると、寿々が涙目でベッドに座っていた。

拓くんはもう下に降りていったようで、部屋にはいなかった。

私は寿々の隣に腰掛けて、寿々に話しかけた。

「寿々、大丈夫?」

「・・・・ひどいよ、拓・・・」

「・・・・どうしたの?・・・でもさっき、仲直りしてなかった?」

・・・言ってしまった、と思ったが、寿々はそのことに関しては恥じらいを持っていないようだった。

きっと、私たちも同じことをしているだろう、なんて思っているのだろうが・・・

事実、そんなことは1回もしていない。お気づきだろうか。

すると、寿々は少し間をおいて喋り始めた。

「・・拓は、どうせ私のことなんて、抱けば許す女としか思ってないんだよ・・・」

・・・・抱けば?

・・・・・寿々はもうそんなとこ行ってるのか?

「・・あ、いや・・抱けばって言うのは比喩のようなもんだよ?」

「あ・・・・、やっぱ?びっくりした・・・」

「まぁ、キスしたりとか・・優しくすれば機嫌直す女って思ってる、ってこと」

「・・・・うん、なるほどね・・・」

「輝はそんなことしないでしょう?・・・さっきだって、ちゃんと本当のこと言って謝ってたもん」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・さっきはね、・・・だけど、分かんない・・・な」

「・・・・・私なんかは、拓と似合わない。・・・・・きっと、そうなんだよ」

「そんなこと・・・!!!!!!」

「・・・・お風呂、入ってくるね」

寿々は手に持っていた着替えを抱きしめるようにして持ち、部屋を出ていった。

寿々の言葉の意味の整理に悶々としていると、寿々と入れ違いになったように輝が入ってきた。

「あ、輝・・・」

輝は扉をぱたんと閉めると、私の隣に座った。

さっきまで寿々が座っていた場所だ。

「・・・水瀬、どうだった?」

「・・・・私なんか、拓と似合わない、って・・・・・・・・。だけど、拓くんは寿々のこと可愛いって言ってたよね・・・・?」

「・・・・・ああ。・・・でも、俺的には疑わせるような態度とる拓も悪くないとは言えない、って思うよ」

「・・・・・だよね・・・・。それに、こんなことも言ってた。『どうせ、拓は私のことなんて優しくすれば機嫌直す女だと思ってる』、って・・・」

「・・・・確かに、簡単なことなら優しくすりゃ済むかもな」

「え!?」

「・・・え?」

「うそっ、輝、私が優しくすれば機嫌直す女だなんて思ってたの・・・!?」

「そんなこと言ってねーだろ!(笑)」

「・・・・~っ・・・・」

私が拗ねて後ろを向くと、輝が手を引っ張って向き直させた。

「・・・・・え?」

すると輝はふっと笑って、抱きしめるようにキスをした。

・・・・・・・・・えっ・・・!?

それから本当に抱きしめて、こう囁いた。

「・・・・・あいつらに負けたくねーから」

・・・と。

「・・・・・・ばか・・・」

・・・・ばかは私だ。

優しくすれば機嫌直す女、・・・・・・・・・なのは私。

だけど、こんなことされたら機嫌直るにきまってるじゃん。

「・・・・・・・・あつい・・・(笑)」

じわじわと耳や頬が火照ってくる。

「・・・・もう少し(笑)」

輝の息がかかって、もっと暑くなった。

「・・・・汗かいちゃうよ(笑)」

「・・・・・・・・・・いーよ別に・・・」

抱きしめる力がどんどん強くなって、どんどん苦しく、暑くなっていく。

真上にある冷房の風も、生温かく感じた。

「・・・・・・輝」

「・・・・なに」

「・・・・・もし、高校行って・・・・離れても、私はずっと輝が好きだから・・・」

顔が真っ赤になった。

こんなこと言ったって、この先どうなるかなんて分からないのに。

すると、輝が抱きしめていた私を離して、笑った。

そして、こう言った。

はにかんで、

「ばか」

と。

***

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