3ヶ月ぶりに帰った家はどれ程ホコリだらけかと思いきや、殆ど汚れてなかったです。 

 ホイホイも一匹もかかっておらず、排水の匂いもカビも全くありませんでした。 

 一通り空気を入れ替え、軽く掃除をして、入院中の荷物の片付け。それから食材の買い出しへ。 

3ヶ月ぶりのビール!一人でささやかな退院祝いです。 


 でも翌日、目が覚めると身体が動かないんです。起き上がれない。

  何が起きたのか自分でも解らなかったけど、四つん這いになって膝を進めようにも、一歩も前に出せない。

 3ヶ月もベッドの生活をしていたせいか、筋力が衰えていて足が動かなかったのです。 

 前日に買い物掃除と駆け回ったせいか、まともに歩けなくなってました。 

 体力ってこんなに落ちるのね? 

 こんなんで私、働けるのかな?新たな不安に襲われました。 


 ショッピングカートを支えに、母の病院へ向かいます。駅まで何度も足を止め休み休み、大袈裟ではなく本当に自分の力で身体を支えられない。

 タクシーを使いたいけど、入院費で50万遣っちゃったし、節約しないと。 


 3ヶ月ぶりに会う母はすごく痩せていました。車椅子生活で、私ですら筋力が落ちるのだから、70代ともなれば立ち上がるのがやっとです。 

 でも、情緒はかなり落ち着いていて穏やかでした。

 ラスボス先生とバッタリ会うも『もう大丈夫なの?本当に大丈夫?』と気にかけてくれて。

 本当だったら母を放置して怒られてもいいくらいなのに。 


  私は早速診断書を書いて貰い、○○ぽ生命と自分で入っていた医療保険に給付金を請求しました。

  驚いたことに1週間後には、粥子の極貧底辺生活2年分に価する給付金が振り込まれました。

 そもそも口座にこんな大金入っていたことが無いから、銀行から確認のメールがきた程です。 

 良かった、これでしばらく生活の心配しなくていいし、母にも頻繁に会いに行ける。


 顔面神経麻痺再発から9ヶ月、仕事を辞めたり、母が倒れたり、一時は八方塞がりだったけど、人生って何がどう好転するかわからない。 

 この頃の私は、心と懐に余裕ができて、少し舞い上がっていました。