救急病院から家に帰ってきた私は、散らかった部屋で途方に暮れてしまいました。
これからどうなるんだろう。
もし、母が動けなくなってしまったら、介護生活が始まる訳です。リハビリが成功して戻って来たとしても、またいつ倒れるか解らない。
これからは、母から一時たりとも目を離すことが出来ないのかも。
施設って月にいくらかかるんだろう?
ガスはIHに変えないとかな?
車なんか運転したら大変だから、鍵隠さなきゃ。
庭の木も伸びきってるし、私草むしりとかしたことないよ。
回覧板って次どこに回すの?
クレジットの請求書来てるけど、口座にお金入ってる?
薄焼きイワシにごぼう茶の定期購入も支払わなきゃ。 あら?警察からの請求が。倒れる2日前に一時停止の違反切られてる。怖すぎるよーっ。
困った、分からないことだらけ。私、どれだけ母に無関心だったんだろう。
テーブルに雑に積み重ねられたチラシの裏には、日付と朝、昼、晩、食べたものがちゃんと書き込まれていました。身体の事、気を付けていたんだね。
どれどれ、『お昼、モンブラン。夕飯、ドーナツ2つ』 そりゃ、倒れるさ。
これから、この出戻り独りっ子のダメ娘が母の介護問題に直面します。
まずは不自由な身体で戻ってきてもつまずかないように、部屋を片付けなきゃ。
よし、溜め続けた梅酒の瓶から捨てていこう。
廊下、テーブルの下、シンクの下、50本出てきました。飲んでる姿なんか、一度も見たことないし。
砂糖たっぷりでそのまま流せないから、ビニールにキッチンペーパー敷き詰めて流し込み、瓶だってゴミ捨て場まで50本も持っていくの、その重いこと、重いこと。
正直、一瞬、早く倒れてくれて良かったと、不謹慎にも思いました。
私が60代になっていたら、こんな重労働こっちが倒れちゃうもん。
親の生前整理は、自分も若いうちに考えておかないとだなぁって。
屋根裏とかもう10年近く上ってないんだよなぁ。
何かいるのかなぁ、怖くて見れないよ。