先日、上野の国立西洋美術館で開催されている「国立西洋美術館60周年記念 ル・コルビュジエ 絵画から建築へ―ピュリスムの時代」展に行ってきました。


国立西洋美術館本館といえば、2016年にユネスコ世界文化遺産に登録されましたね。
設計したのはフランスの建築家ル・コルビュジエという人物です。
コルビュジエが設計した国立西洋美術館は「無限成長美術館」とも言われ、中心から外へ螺旋状に成長する空間が続きます。
普段は常設の作品が展示されているので、常設展に行ったことのある方ならこの展示空間を体験されたことがあるかと思います。
今、現在の多くの美術館の展示空間はいくつかの部屋で分かれ、作品を鑑賞する時間が充実したものになるよう、作品に集中できる空間になっていると思います。

ですが国立西洋美術館の本館では、そのような展示空間とは少し趣が変わっています。
展示空間は仕切られることなく繋がり、空間の抜けと、抜けた先に待つ作品を感じながら展示空間を歩く感覚です。そして、展示室に立つ大きな柱は2作品見終わるごとに目の前に現れてきます。作品同士の距離感を保つかのようなその柱の存在は全体から見た景観をも支え、統一感を作り出すアクセントとなり、空間と絵画合わせて一つの作品となるかのような景色です。

そんな空間を生み出したル・コルビュジエの美学をコルビュジエの残した絵画や資料によって知ることができる展覧会です。

コルビュジエがあれほどの量の絵画を残していたことにまず驚きました。

(キュビスムやピュリスムや少し難しく聞こえる単語かもしれませんが、展示室入ってすぐの映像を見たら簡単に理解することができるのでその映像を見ることをおすすめします!)


様々な表現方法を使って物を見る視点を試し、また機械の時代に身近に溢れたコップやグラスなどの物に対する視点から様々な表現方法を試し、視点やモチーフが画面上で重なり合い、溶け込み、純粋な形態や小さな隙間、空間が出来きていきました。

その小さな隙間や空間が展示室に突如現れる柱や天井付近に突出する空間などと重なり、自分の歩く展示室の空間と絵画の中の空間が繋がりを見せました。

実際の作品を観て絵画と建築の関係を体験したのは初めてで驚きました。
コルビュジエの絵画が国立西洋美術館の本館で展示されているからこそ体験できたことだと思います。とても貴重な機会です。
普段、本館で展示されている巨匠たちの絵画も見どころ満載なのですが、
このコルビュジエの作品をこの本館で見ることに意味があると思いました。

ぜひ、この貴重な機会に改めて国立西洋美術館本館をコルビュジエをピュリスムという時代を楽しんでいただきたいです。



この展覧会を見ていて自分が普段触れていた絵画をまた違った視点から考えることができたのも大きな収穫でした。




「ル・コルビュジエ 絵画から建築へ―ピュリスムの時代」
国立西洋美術館で5月19日まで開催されています!

ぜひ、ご覧ください。


許可を得て写真を撮らせていただきました。


展覧会の感想をメモしておくノートに押してあるスタンプです^^