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スヴィニー文化財を紹介するTrèsor d’un prieuré clunisien刊行記念式典に参加するため、日帰りでのスヴィニー美術館再訪。朝5時起床、暗いうちに家を出てベルシーの駅から、昇る陽に照らしだされる田園風景の中を揺れ二時間半の旅をした。同じ電車に乗っていた修復家の方と共に、迎えに来てくださったクリスチャンの車で、スヴィニーへと向かう。夢のように長く続く並木道を抜け、18世紀の大きな家の立ち並ぶ古い町並みが見え町が近づくこの瞬間の満ち満ちる気配。

2017年、まるで呼ばれたようにこの街にたどり着いてから、ブルボン家の天井壁画の研究を行い、その成果から博論を書き上げ2020年には野村財団のお支えをいただき小さな展覧会と美術館からの論文の刊行を行った。昨年はスヴィニー壁画が鍵となった私の博論を届け、同美術館の依頼を受け書籍に寄稿をし、今日の日を迎える。スヴィニーの文化財に関し、多くの新たな発見を顕わにすることになったすばらしい共著のなかで、収めていただいた私の論考は幸せに奏楽天使の美しさをうたう。教会と美術館には変わらずそこにある壁画と、いつでも大きな愛と友情で私をつつんでくださる、マチュー、ポール、エルザ、ルシー、ガブリエル、ローロンさん、市長さん、教会のクリスチャン、クリスチャーヌ、ムッシュー・ブトネ。愛おしい壁画と愛おしい方々を抱きしめるような日に、私はまた美術館、修道院の庭、教会、その命をなす見えるもの見えないもの、過去と未来と現在のすべてに抱きしめられてあるのを感じるのだった。

サン=マルク聖堂での美しい式典が終わり、学芸員マチューの案内で修復中の教会堂の足場に上り、高い場所から眺める景色に再び街を抱きしめる。皆にしばしのお別れを告げた後、今はムーランに住む音楽学者のペロー夫妻に駅まで送っていただき、夕方の電車でパリに8時着、友人から励ましのメールを受け取り幸せを感じながら、夢のようにサン=ジョルジュ広場にもどり、その晩は長く眠った。

2024年4月6日スヴィニー