日本は世界一の対外資産を持っている国でありながら、国民の間には「金持ち国」という実感がないのはなぜでしょうか?

このブログ記事では、その理由について、米ドル基軸体制と海外投資という2つの視点から考察していきます。

 

 

1. 米ドル基軸体制と外貨資産

第二次世界大戦後、国際決済は米ドルを中心とした米ドル基軸体制に移行しました。この体制下では、日本は輸出で得た外貨を米ドルで受け取り、輸入代金を米ドルで支払うことになります。

その結果、日本の対外資産は主に米ドル建てで積み上がり、財務省の資料では円換算で表示されています。しかし、諸外国の資産や負債も基本的にドル建てであることを考慮すると、日本の実質的な対外資産は3兆ドルを超える外貨であり、これは海外への投資として運用されていることになります。

つまり、日本が保有する資産は、日本国内ではなく海外で活用されているという側面があるのです。

 

 

2. 海外投資による恩恵の錯覚

海外投資は、長期的な経済成長に貢献する重要な要素です。しかし、その恩恵は必ずしも国内に直接的に還元されるわけではありません。

投資先の国や企業が利益を上げれば、日本は配当や金利収入を得ることができます。しかし、その利益は円ではなく、投資した通貨で受け取ることになります。

そのため、国民は円建ての所得で恩恵を実感することができず、「金持ち国」という実感が生まれにくいのです。

 

 

3. 政府の借金と国民の生活

さらに、日本政府は財政赤字を補填するために、国内から借金をしています。この借金は、国民の税金によって返済されることになります。

一方、海外投資で得た利益は、必ずしも国内の財政状況の改善に直接結びついているわけではありません。

そのため、国民は**「世界一の純資産国なのになぜ借金をしているのか?」という疑問を抱き、「金持ち国」という実感**が得られないのです。

 

 

4. 歴史的背景と現状の変化

かつて日本は、国内投資と輸出に重点を置き、高度経済成長を達成しました。しかし、人件費の高騰や日米貿易摩擦などの影響を受け、近年は海外投資が活発化しています。

これは、国際競争力維持や経済成長のための戦略的な選択である一方で、国内への投資不足という問題も指摘されています。

近年では、政府も国内投資の重要性を認識し、様々な政策を打ち出しています。しかし、その効果はまだ十分とは言えません。

 

 

5. 中国の未来と日本の教訓

中国も近年、急激な経済成長を遂げ、日本の対外資産保有額を上回る可能性が高いとされています。

しかし、中国も日本と同じように、海外投資に偏重した経済構造を抱えています。

日本の経験を教訓に、中国が今後どのように経済発展を進めていくのか、世界中が注目しています。

 

 

6. 考察と提言

日本が「金持ち国」としての真の実感を得るためには、海外投資の恩恵を国内に還元することが重要です。

そのためには、以下のような取り組みが必要と考えられます。

  • 国内投資の促進: 政府によるインセンティブ付与や規制緩和などを通じて、国内企業の投資を活性化させる。
  • 円建て資産の増加: 海外投資で得た利益を円換算し、国内経済に循環させる仕組みを構築する。
  • 国民への還元: 財政再建と社会保障制度の充実を通じて、国民生活の質を向上させる。

これらの取り組みを通じて、日本は真の意味での「金持ち国」としての姿を実現し、国民に豊かさを実感できる社会を築いていくことができるでしょう。

 

 

このブログ記事が、日本の経済状況について考えるきっかけになれば幸いです。

※このブログ記事は、あくまでも筆者の見解であり、必ずしも専門家の意見を反映したものではありません。