近年、急速な円安が進んでおり、為替レートは30年ぶりの低水準を記録しています。建築資材や人件費の高騰により、新築住宅の価格は高騰しています。築き上げたマイホームは、資産価値を守るための強力な武器となり得ます。

 

円安による住宅ローン価値の目減り効果

過去にマイホームを購入し、住宅ローンを組んでいる方にとって、円安は大きなメリットとなります。なぜなら、住宅ローンは借りた時の通貨価値で返済するため、円安によって借入額の価値が相対的に減少するからです。

例えば、10年前、3,000万円の住宅ローンを組んだ場合、当時の為替レートで約24万ドル相当でした。しかし、現在のような円安水準であれば、同じ3,000万円の借入額は約18万ドル相当となります。つまり、約20%の借入額が実質的に帳消しになるという大きな恩恵を受けられるのです。

 

為替レートと住宅ローン金利の関係

住宅ローン金利は、主に以下の2つの要素で決まる。

  • 日本の政策金利: 日銀が定める短期金利。これが上昇すると、住宅ローン金利も上昇する傾向がある。
  • 長期金利: 将来の金利水準に対する市場の期待。金利上昇懸念が強まると、長期金利も上昇し、住宅ローン金利にも影響を与える。

為替レートは、日本円と他の通貨の交換比率を表す指標。円安が進むと、1ドルあたりの日本円が必要となり、輸入品の価格が上昇する。また、海外投資家にとって日本株や債券などの魅力が低下し、円売りが加速する可能性もある。

住宅ローン金利と為替レートは、直接的な関係はないものの、上記のように間接的に影響を与え合うことがある。例えば、日銀が政策金利を引き上げると、円高に向かう可能性が高まる。一方、円安が進むと、輸入物価上昇を通じてインフレ懸念が高まり、日銀が政策金利を引き上げる可能性も出てくる。

 

円安と住宅ローン返済への影響

円安が進むと、住宅ローン借り入れ時の借金が軽くなるというメリットがある。例えば、1ドル100円で1000万円の住宅ローンを借りた場合、円安で1ドル150円になったとすると、返済時に必要な日本円は750万円となる。

しかし、これはあくまで借金残高の額面だけの話であり、以下の点に注意する必要がある。

  • 家計収支への影響: 円安は輸入物価上昇を招き、家計全体にとって負担となる。特に、光熱費や食料品などの必需品価格上昇は家計を直撃する。
  • 住宅価格下落リスク: 経済状況悪化などで住宅価格が下落した場合、住宅ローンの価値が資産価値を上回る「オーバーローン」状態になる可能性がある。
  • 金利上昇リスク: 円安が長期化し、インフレ懸念が高まると、日銀が政策金利を引き上げる可能性も出てくる。そうなると、住宅ローン金利も上昇し、返済負担が重くなる。

 

まとめ

今のあなたの家を仮に新築で買おうとしたと時に、当時の金額では買えないのは確かです。材料の高騰と人手不足の為に人件費も高くなっているからです。

円安が進むと、住宅ローン借り入れ時の借金が軽くなるというメリットがある一方、家計収支への悪影響や住宅価格下落リスク、金利上昇リスクなど、様々なデメリットも存在します。 これから先の未来はわからないですが、夢のマイホームなのですから大事に住み続けたいものですね。