2005年5月の日誌に「少年の涙」 と言う記事が、あります。

家庭の事情で、別れなくては成らなくなった、少年と犬。

皆が心を痛めました。

そして、新しい家庭に巣立ち、家族の一員として、再び幸せな暮らしを手に入れました。

しかし、病魔に侵され、余命幾許もなくご家族は、出来る限りの事を懸命に行って下さっていました。

先日の譲渡会にも、「もう、移動できるのもこれが、最後になると思うので、会ってあげて下さい」と、ご連絡を頂きました。

まさか・・・としか思えませんでした。

譲渡会当日は、可愛い笑顔で、私達に沢山の事を語りかけてくれました。


元飼い主の少年にもこの日誌で呼びかけました。

その日までは、連絡がとれずで、「何とか・・・会わせてあげたい・・・。」と焦りました。

その数日後、やっと連絡がとれ、翌日の4日、私は少年を迎えに大阪に走りました。

少年も悩んでいました。

私達が、当時事務所を構えて居た場所へも、足を運んだそうです。

僕が会いたいと言う事で、里親様が嫌がられないか・・・等。

まだまだ、子供なのに、大人へずいぶん気使いして悩んだようです。

ルーティーは、大阪と奈良との県境。

年月は経ち、少年は高校生になっていました。

車の中で、当時の話をしたり、今自分が感じる事など、沢山の話が出来ました。

里親様、S様から連絡が入り、

「ルーティーはもう歩けないようです。朝から食事も出来ません。」との事で、お宅にお邪魔しました。

少年(N君)が、玄関のドアを入ると、何と言う事でしょう!!

ルーティーが、ブンブンとシッポを振ってお出迎えしてくれています。

笑っています。

最高の笑顔で、ニコニコとN君に笑いかけています。

その姿を見て、私は胸が一杯で、涙をこらえるのに、必死でした。

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ルーティーのお部屋に案内して頂き、しばし他のワン達と戯れ、落ち着いた時、N君の前にルティーは、黙って座って、ずっと顔を見ていました。

何を言っているんだろう・・・。

「会いに来てくれてありがとう」

「大丈夫だよ。私、頑張ってるから・・・」

「元気だった?会いたかったよ」

色んな、言葉が浮かびました。

ワンは、人を恨んではいません。

ルーティーは、N君を許しています。

ルーティーが、今、幸せ一杯だから、優しい温かな笑顔で、かえってN君を心配しているようでした。

犬は素晴らしい生き物です。

健気であり、飼い主に一心で全てを信じて生きる子達です。

「ルーティー、こんなに元気な姿だったら、奇跡はおこるよ。頑張って!!」と、帰宅しようと立つと、バタバタと玄関にやって来ました。

昨日までは、カートに乗ってのお散歩。

奇跡でした。

飼い主様が驚かれました。

カートは、空でおして、ルーティーは、N君に引かれ一緒に、見送りに来てくれました。

走っていました。

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N君の気持ちは、彼の流れ落ちる涙が、物語っていました。

何も話しかけなくても、ルーティーとN君は、理解し合ったようでした。

会えて良かった・・・。

本当に良かったです。

帰りの車の中では、黙って涙を流しながら、彼は彼なりに、ルーティーへの思いを心に刻んでいました。

そして、3日後。。。。

ルーティーは、お空に帰って行きました。

飼い主様にも、心配をかけないように。。。

皆がお休みの日曜日でした。

まるで、眠っているような、穏やかなお顔でした。

早すぎる犬生でしたが、私達はルーティーから、強くなる事を教わりました。

ありがとう・・・・ルーティー。

合掌