「 何事もそうだが経験をしている人と経験のない人との間に横たわる深い断絶を、私は常に感じるようになった。(略)私にとっての切実な苦悩が殆どの人にとっては理解の外のことであるのはいたしかたのないことだった。」
「治る希望のある病人は、病気の苦しさや辛さを人に訴えたり、医師に説明を求めたりする。だが病が長びき重篤になってくると、何もいわなくなる。健康な人にはこの絶望がわかるわけがないのだ、わかれという方が無理なのだと思うようになるからであろう。」
佐藤愛子『私の遺言』より
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