新型コロナウイルスの影響が賃貸住宅市場にも広がっている。リーシング・マネジメント・コンサルティングが3月上旬に実施した「新型コロナウイルスによる賃貸住宅マーケットへの影響について」を見ると、賃貸仲介事業者の4割強が売り上げに影響を受けている。

首都圏(1都3県)の賃貸仲介 151 社のアンケートをもとに集計したもので、具体的な影響については、「来店数の減少」が最も多く、「入居日のずれ」であったり、「申し込みキャンセル」も発生していることがわかった。「中国の工場が稼働していない影響で資材が調達できず、新築の竣工やリフォームが遅れており引っ越し日がずれた」という声もあった。

 

新型肺炎の収束・終息が今後の展開を握っているが、このまま見通しが立たずにズルズルと時間が経過するほど悪影響は大きくなり、それは賃貸オーナーにまで及ぶことになる。

経済が大きく落ち込んでしまうと給料が下がったり、ボーナスが大幅にダウンしたりする。個人の所得水準が低下するだけではない。人員整理によるリストラで収入が途絶えてしまうと家賃が支払えない入居者の続出に戦々恐々とする賃貸オーナーが増えるかもしれない。

すでに契約を更新してもらえなかった契約社員やフリーランスの懐具合を直撃している。職を追われなかったとしても、レイオフ(一時解雇)や自宅待機(一時休業)を求められ、その間の給料が6掛けだったり、もらえなかったりする人もまた珍しくはない。これから入居者の賃貸負担能力が一気に低下することは間違いない。

 

■信用力のある保証会社=信用力のある管理会社

入居者のリストラは、大家の死活問題にも直結する。ただし、数ある保証会社の中から選ぶのは難しい。なんでもいいわけでもなく、保証会社の倒産も念頭に置いておく必要がある。過去には保証大手が倒産したケースもあるだけに安心はできない。

使いたい保証会社を賃貸オーナーは指定できない、選べない、といった実態もある。管理会社が取引のある保証会社を優先的に使う傾向が強いためだ。

保証会社は、自分のところを使ってもらえるよう賃貸管理会社に手数料を上乗せするケースがあり、〝そうしたインセンティブ〟欲しさに賃貸管理会社が保証会社の実績や能力、信用力で判断していないケースを見受けたりもする。

賃貸オーナーは、賃貸管理会社がどのような保証会社を使っているのかを調べた上で管理会社を選択したり、仮に自分の意にそぐわない保証会社を使っていた場合は管理会社をリプレイスするなど講じられる手立ては限られている。保証会社を見ると、管理会社の本質も見えてくる。

■コストと安全性を天秤にかける

では、その保証会社選びのポイントはなにか。端的に言えば、保証会社の財務体質がしっかりし、保証にかかる費用もかかり過ぎずに満足のいく保証が受けられることであろう。滞納者の続出により、保証に追われて倒産してしまう弱小保証会社では本末転倒なことになる。

保証料金が高過ぎれば、内見者の入居をためらわせてしまう。保証料の支払いは、銀行口座の引き落とし手数料やクレジットカードでの決済手数料が毎月の賃料の支払とは別に発生するし、入居者が銀行に取り込んだとしても振り込み手数料がかかる。

保証会社の収入源を見ると、契約時の初回保証委託料という初期費用と保証の更新料の2つが柱である。初期費用は一般的に月額賃料の0.5~1カ月分程度がベースとなっており、更新料も月額賃料の0.3~0.5カ月分と言われ、滞納がない場合は更新料を割り引いたりもする。その保証契約も1~2年など期間がまちまちである。

安全性を担保するには、相応のコストが生じるとしても、家主に負担感を与えずに入居者の誘致に響かない程度にすることが求められる。国・業界団体は、保証会社選びをサポートする取り組みをしている。国土交通省は、家賃債務保証業者の登録制度を創設しており、公益財団法人日本賃貸住宅管理協会の家賃債務保証事業者協議会では、家賃債務保証の業務運営に関する基準を定めている。

家賃収入が途絶えると、賃貸オーナーの資産形成計画に狂いが生じる。入居者の不測の事態に備える。改正民法の施行では、賃料の減額や敷金、原状回復に関するルールなどの明文化に加え、連帯保証人への滞納賃料・原状回復費用・損害賠償請求は極度額を定めなければならない。個人根保証契約でも極度額を定めないと効力を持たない。

民法改正で家賃保証を使うという機運が高まっていることを契機に家賃保証の内容と保証会社を見直してはどうか。まずは、家賃保証に加入しているかを管理会社に問い合わせること。たまに保証手続きされずに放置されたままのケースがあるためだ。

 

2020.3.28 健美家様より引用