超一等地にホテル、劇場、商業施設…
2023年には〝地下新駅〟も開業へ

大阪が熱い。2025年の大阪・関西万博や、カジノを中心とする統合型リゾート(IR)誘致による訪日外国人客の増加などを見越し、中心地の再開発がどんどん進んでいるのだ。

さらに、国も「財政投融資」という仕組みを使って、鉄道路線の整備を後押ししている。オフィスや商業施設が増えれば、住む人も増え、賃貸需要が大きくなるのは間違いない。不動産投資の新たな対象として、大阪を中心とするエリアを検討してみてはどうだろう。

 

大阪を、働く場所としても、オフタイムを満喫する場所としても大きく成長させそうなのが、JR大阪駅の北側にある梅田貨物駅跡地の再開発だ。

〝超一等地〟のこのエリアは「うめきた」と呼ばれ、駅の乗降客は1日250万人に上るといわれる。これまで7ヘクタールのエリアを対象に「1期」の開発がおこなわれ、13年には複合施設「グランフロント大阪」がオープンした。ショッピングモールや飲食店、劇場、オフィスビル、超高層マンションなどが入ってにぎわいを見せ、「大成功した」といわれている。

そして現在、24年の街開きを目指して進んでいるのが「2期」の工事だ。「1期」エリアの西にあり、広さは17ヘクタール。東京ドーム1個分4.5ヘクタールの公園が整備され、周辺に、ホテルやオフィスビル、商業施設などが立ち並ぶことになる。コンセプトは「みどりとイノベーションの融合」だという。

31年には、うめきた地下に23年開業予定の「北梅田駅」と、難波付近までの7.4キロを結ぶ「なにわ筋線」が開通する。南海電気鉄道とJR西日本の共同運転で、関西国際空港と梅田のアクセスが飛躍的に良くなることは間違いない。

ほかにも大阪では、再開発が目白押しだ。たとえば市の中心部を南北に走る御堂筋沿いでは、オフィス街の「淀屋橋」に、地上28階建ての高層複合ビルが2棟、完成する。その時期は、24~25年の予定となっている。

国が「なにわ筋線」整備バックアップ
「財政投融資」1148億円を投入へ

心強いのは、大阪の再開発を国がバックアップしていることだ。国は、先ほど紹介した「なにわ筋線」と、万博会場となる夢洲への交通を円滑にする臨港鉄道「北港テクノポート線」の建設資金の一部を、財政投融資でまかなうことになっている。

財政投融資とは、国が「財投債」という国債の一種を発行して集めたお金を、大規模で長期にわたるプロジェクトなどへ出したり、貸したりする仕組み。対象は、民間ではできないプロジェクトだ。

政府が昨年12月にまとめた20年度計画の財政投融資の金額は13兆2195億円で、3年ぶりに前年度の計画を上回る規模となった。20年度計画の金額のうち、1148億円を「なにわ筋線」、18億円を「北港テクノポート線」に回す。

具体的には、まず国が財政投融資のお金を独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」に貸し出す形をとる。そして機構は、「なにわ筋線」「北港テクノポート線」のそれぞれの建設主体に融資する。「なにわ筋線」の建設主体は関西高速鉄道、「北港テクノポート線」は大阪市などだ。

関空と大阪中心部のアクセス改善
大阪は進化の可能性、先手の戦略を

政府は、「なにわ筋線」が開通すれば、たとえば大阪駅から関西空港駅までJRで日中64分程度かかっている時間が、44分程度まで短くなるとみている。関空で来日する外国人客が大阪中心部まできやすくなるので、大阪は観光地として、よりにぎわいを増すだろう。 また、「北港テクノポート線」の整備は、より多くの人をスムーズに万博会場へ運ぶことを可能にする。

 

ここまで紹介した計画によって、大阪が爆発的に変わることは間違いない。足元では、新型コロナウイルスの感染拡大という懸念材料があるが、長い目でみれば、大阪は街として、より進化を遂げ、大勢の人が集まるようになるはずだ。不動産投資家は、その動きを見越し、先んじて、賢く戦略を打っていきたい。

 

2020.2.29 健美家 様より引用