不動産投資のリスクは管理会社が握る

不動産物件を購入するとき、利回り、立地、築年数、土地建物の積算など、多面的な情報で購入判断しているのが一般的だが、管理会社の存在は見落としがちだ。

市場にはたくさんの物件が出ているが、販売図面に書かれている「想定表面利回り」のなかで、どれくらいが「実質利回り」になっているのかいつも疑問に感じる。

どうしても購入時には「利回り」や「価値」という数字に引っ張られがちだが、想定しているキャッシュを得るためには、NOI(営業純利益)を安定させなければならない。

そのNOIを上げるためには、不動産管理会社のパフォーマンスやスキルが鍵となることが、実はあまり重視されていない。言い換えればスキルの高い管理会社に巡り会うことができれば、極端な話、どんな地方物件でも恐れることはない。

しかし、ほとんどの場合、物件購入時に「管理会社選び」という概念がなく、購入した不動産会社または物件の近隣にある会社に管理を任せることになることになる。

一旦管理を任せてしまえば、すぐに管理会社を変えることも面倒で手間がかかるため、多少満足できなくてもそのままにしてしまうことになる。

購入時にお世話になる「仲介会社」と、購入後に運営をしてもらう「管理会社」は本来全く別物であるが、不動産会社という枠の中で一体と見られがちである。

大都市エリアは比較的分業がされているが、地方都市になると全て一体となった「総合不動産業」になりやすい。購入時の情報に引っ張られるのではなく、購入後の管理会社のパフォーマンスに目を向けることで、想定利回りを実質利回りに近づけることができるのだ。
 

 

管理会社がどこに注力しているのかを見極めよ

管理会社といっても仲介に力を入れている会社は、管理物件以外の他社管理の決めやすい物件や、より広告料の高い他社物件を平然と紹介している。本来管理会社は、自社で預かっている物件を全力で決めることに注力しなければならないのだが。

それを見極めるには、「全成約物件の何割程度が自社管理物件なのか」をヒアリングするのも重要なポイントである。物件を委託しても、ほかの物件を紹介されてしまってはたまったものではない。次に滞納処理能力についても確認が必要だ。

最近では滞納保証会社があるので、この手の仕事はアウトソーシングしている管理会社が多いが、まだ地方都市ではそれらを利用せずに自社で対応しているところもある。

気をつけなければいけないのが、管理会社が自社で対応をしていて、人数が少なく滞納督促などの業務が後手に回ってしまう会社があることだ。滞納督促は初動がとても重要である。

最初は悪意がなくても2ヶ月以上滞納になってくると滞納することが当たり前になってしまう。そうなる前に処理をしなくてはいけないのだが、後手になってしまうことでどんどん悪化してしまう。運営経費にも注意を払いたい。運営経費は項目が多岐に渡り、どこをジャッジして良いのか一見でわかりにくい。

 

管理料のコストパフォーマンスは適正?

管理料や広告料などは管理委託契約時に確認していると思われるが、管理業務の詳細までは詳しく見ない人が多いのではないだろうか。

例えば入居者募集であれば、募集時にどの媒体を利用しているのか。ポータルサイトの種類、ホームページ、SNSなど、利用媒体を細かく確認した方が良い。次に定期巡回や定期清掃は管理料に含まれるか、またどの頻度で行われるのかなども確認すべきだ。この辺りは、巡回をしてもいい加減にされることがあるので注意が必要だ。

それから修繕費用一覧が存在しているか、またその金額はどうなっているのか。クロスやフロアタイルなどを基準でみれば高いのか安いのかがわかる。

最近では自主管理を実践している人もいるが、これだけ雑多な賃貸管理を自ら行うのは、正直自らのパフォーマンスを落としてしまう。全国的に管理料が賃料の5%というのが相場であるが、きっちりやってくれる信頼できる管理会社であれば、むしろ安いのではないだろうか。

物件購入は物件ありきでジャッジをする人が大半だが、実現するためには管理会社のスキルが大きく左右する。物件選びと同じくらいに管理会社を選ぶことが重要なのだ。

そのためには管理会社へ任せている仕事の内容を知り、管理会社の存在を起点に物件探しをすることが、成功する不動産投資への第一歩ではないだろうか。

 

2020.2.19 健美家様より引用