もともと東京の不動産価格はニューヨークやロンドン、

香港などと比べて割安にみられてきたが、

2013年に東京オリンピックの開催が決まったことで

海外投資家の目線が一気に集まった。

円安も追い風となって中国マネーの流入が続き、

都心部の地価は年々上昇。2018年の路線価トップとなった

東京・銀座の文具店「鳩居堂」前は、

1平方メートルあたり4432万円で

バブル末期のピークを上回る過去最高金額を更新した。

 

地価の高騰に伴い、世界的に見た東京の投資妙味は年々薄れている。

都市・国家の比較統計サイト「Numbeo.com」の

Property Prices Index by Country」によると、

日本の都心部の不動産投資表面利回りは2013年に4.75%だったが、

2018年は2.03%まで下がり(アメリカは10.26%)、

タイやマレーシア、シンガポールなどを下回ってアジアの中でも下位に落ち込んだ。

 

 

このような状況の中、中国人投資家の購入意欲は減退したという見方も多いが、

現場ではまた違った声も聞こえてくる。

 

 

地方都市でバッティングが続く

 

長野県で一棟アパートと戸建を中心に150室を所有し、

家賃収入7200万円に上るPascalさんは

「昨年、長野の物件で中国人投資家と買い付けが重なることが続いたんです。

中国人投資家といえば都心部のマンションというイメージだったんですが、

こういう地方都市でバッティングするのは意外でした」と語る。

 

昨年の春、懇意の不動産会社から3戸一括の戸建を紹介された。

価格は1200万円で、利回りは13%。

「築30年で汲み取り式トイレだったので、

修繕にかなり費用が掛かりそうだったことに加え、

立地もあまりよくなかったので高すぎると判断しました。

それでも800万円ぐらいで買えるならギリギリOKか、

と思って大幅な指値を入れたんですが、当然無理で流れたんです」

 

 

 

その後ネットに掲載されたが、

やはり半年ほど買い手がつかなかった。

「それがある日サイトから消えていたので、

『売れたんですか?』と聞いたら、『中国人が1100万円で現金買いしました』

というので驚いたんです。

その中国人は『銀行に預けるよりは利回りがいいから』と

言っていたようなんですが、

私からすればキャッシュだとしても買うべき利回りで

はないと思ったので疑問を感じました」

 

 

 

次回は

 

なぜ、利回り無視で日本を買うのか

 

楽侍より