★6668★ 「Fate/stay night [HF]」下屋則子と伊藤美紀インタビュー① | NO HOBBY NO LIFE

★6668★ 「Fate/stay night [HF]」下屋則子と伊藤美紀インタビュー①


2019年1月12日(土)より、劇場版『Fate/stay night [Heaven's Feel] 』Ⅱ.lost butterflyが全国でロードショーとなります。

今もなお、数多くの作品が作られている『Fate』シリーズの原点ともいえる『Fate/stay night』。その最終ルート[Heaven's Feel](以下、HF)は、劇場3部作で映像化。2019年1月からはその第二章にあたるエピソードが公開となります。

公開時期が少しずつ迫る中、本作のヒロイン「間桐桜」を演じる声優・下屋則子さんにインタビューを実施しました。今回は日常の象徴として桜と共に登場することの多い、藤村大河を演じる伊藤美紀さんが登場。とくに今回は、作品についてのトークだけに留まらず、長い付き合いであるお二人ならではのやりとりも満載で、笑いの絶えない内容となっています。是非ともご一読ください。


――公開も少しずつ迫りつつある、現在の心境について教えてください。

間桐桜役・下屋則子さん(以下、下屋):まだまだ先だと思っていたら、あっという間でしたね。

藤村大河役・伊藤美紀さん(以下、伊藤):私は最初劇場アニメになることを知らなくて、現場で他の人から「『Fate』、劇場アニメ化するんですよね! 楽しみにしてます!」と、ギラギラした目で言われて驚いた記憶があります(笑)。

下屋:確かに、隠れ『Fate』ファンって私の周りにすごく多くて、どこにいっても「[HF]楽しみにしてます!」って言われますね。

伊藤:実は私は、今回の収録は別録りで、前半の台本ももらってない状態で、それまでの流れというのがよく分かっていなかったんです。ただ、作中の藤ねえ(※伊藤さん演じる藤村大河の愛称)の立場も同じで、裏で起こっていることを知らないんですよね。なので、それはそれでよりリアルな藤ねえに近い心境で演じられるのかなとも思っています。まだ全体の流れを知らない分、出来上がった映像を見るのがすごく楽しみなんです!

下屋:第一章ですばらしい形のスタートを切ることができたので、皆さんの第二章への期待というのはすごく高まっていると思います。私もまだ完成した映像というのは見れていなくて。台本を読んでいるのでストーリーは知っているんですが、第一章の時も、内容を知っているにもかかわらず、(完成した映像を)最初に見た時の衝撃というのがものすごかったんですよね。台本の時点でも、第一章の驚きを超えるくらいの展開が待ち受けていたので、また出来上がったものを見たら腰を抜かしてしまうんじゃないかと心配しているくらい(笑)、ファンの皆さんと同じような持ちで楽しみにしています。



――アフレコの段階では、まだ絵コンテの状態だったのでしょうか。下屋:絵コンテではあったのですが、その状態でもキャラクターの心情が十分に伝わってくるくらいのクオリティだったので、アフレコもやりやすかったですね。個人的に気になっていた、とあるシーンの絵コンテを須藤監督に見せてもらったことがあるんです……ネタバレになっちゃうので詳しくは話せないのですが、とにかくものすごい出来になっていて、絵コンテを見ただけで衝撃を受けましたね。

――『Fate』から数えても、お二人は10年以上のお付き合いになると思うのですが、初めて共演されたのはいつ頃だったのでしょうか?

伊藤:確か、最初の共演は『マリア様がみてる』(2004年)ですね。私とか、(中田)譲治さんくらいの世代の人はだいたいそうだと思うんですけど、最近のことは曖昧でも、あの頃のことはいくらでも話せるくらいよく覚えてます(笑)。



――その頃の下屋さんへの印象というのはいかがでしたか?

伊藤:もうね、あの当時から本当に可愛くて……。今の若い声優の子達って、皆かわいいじゃないですか。昔は少し違っていたので、(下屋さんを見た時)衝撃的だったんです。あの頃から可愛さと色気を合わせもっていて……。

下屋:ええ!? きっとそれは、別の方と勘違いされているのでは……?

伊藤:いやいや、そんなことない! よく覚えてるから!(笑)あの頃は、まだ(下屋さんが)デビューしたばかりくらいの時期だったんだよね。他のキャストさんも同じくらいの若い子が多かったので、やっぱり皆緊張していておとなしくて。私は一人だけ年が離れていたので、「(自分が率先して)楽しい現場にしていかないと!」という意識があったんですが、その中でも下屋ちゃんはいつもニコニコと楽しそうにしていてくれたのを覚えていますね。

下屋:私自身としては、『マリア様がみてる』の時は、周りの若手の人たちもキラキラしたメンバーばっかりだったので、とにかく緊張した現場だったのを覚えています。美紀さんの役者としての芝居の引き出しの多さには、その頃から驚かされていたのですが、祥子様(※『マリア様がみてる』の登場人物・小笠原祥子)のイメージが強かったので、藤村先生を演じると聞いた時には……。

――結構なギャップがありますよね。

伊藤:それは、祥子の方が素の私だから(笑)。

下屋:あれ? 藤村先生を演じられる時、「素でやってる」って皆さんからよく言われてますよね(笑)。

伊藤:はい、そうです。本当の素は大河の方です(笑)。

一同:(爆笑)。

――下屋さんから見た大河、というのはどんなキャラクターでしょうか?

下屋:[HF]は別なのですが、他のルートだと桜と大河って日常の象徴として一緒にいることが多いんですね。藤村先生がいてくれるからこそ、あの衛宮家の食卓の空気感が出来ているというか、そこにいてくれるだけで安心できるような存在です。

伊藤:平和のシンボル、鳩みたいな(笑)。



――では、伊藤さんから見た桜というのはどうでしょうか?

伊藤:士郎が元気で楽しい毎日を過ごす上で、必要不可欠な存在でしょうか。実は藤ねえも私も考え方が似ていて。一番大切なのは士郎なんですが、女同士の嫉妬とかやっかみとかをあまり抱かないタイプなんですね。傍から見ていると、桜が士郎にアピールをしている光景もあると思うのですが、それに対しても「かわいいじゃない」と思うくらいで、桜に対して邪魔だと思ったりする感情は一切ないと思っているんです。ただただ純粋に、士郎のそばにいてあげて欲しいなと。


――桜と大河って、一緒に出ているシーンは多いのですが、二人だけで話すシーンは少ない印象があります。演じるお二人としては、それぞれのキャラクターがお互いをどんな存在として認識していると考えられていますか?

伊藤:たぶん藤ねえは、先程話した私自身と同じ感覚で桜ちゃんを見ているんじゃないかと思います。藤ねえは物語の裏側を知らず、日常だけを生きているので、士郎がごく普通の男の子として成長していく姿を見ていきたいんだと思うんです。そのためには桜の存在というのは絶対必要だし、衛宮家って母親的な存在がいないんですよね。藤ねえも年上ですけど、母性的なキャラクターかというと違いますよね。そういう意味でも、母性的な雰囲気を感じさせる桜ちゃんが近くにいてくれるのは安心できるし、士郎自身もそれを求めているんじゃないかなと。

下屋:桜が衛宮の家に通うようになって、明るい一面を見せるようになったのは、士郎と同じくらい藤村先生の存在が大きかったんじゃないかと思っていて。第一章の特典のドラマCDで、藤村先生が今まで夏祭りにいったことがなかった桜に、浴衣を用意してくれるというエピソードがありましたが、きっとそれ以外にも、それまで間桐家という世界だけで過ごしてきた桜が、藤村先生から初めて教わったことというのはすごく多いと思うんです。そうした出来事があったからこそ、現在の桜があるんだろうと。そう考えると、藤村先生は桜にとってもすごく大切で、彼女が守りたいと思う日常の中になくてはならない存在だと思っています。桜は、他の女の子に対しては「先輩を取られたくない」という気持ちを少なからずもっていると思うんですが、藤村先生に対してだけは、そういう嫉妬的な感情は一切ない気がしていて。感覚的には、本当の家族のような存在なんじゃないでしょうか。

伊藤:桜ちゃん自身の家庭(間桐家)も、なかなか複雑なのがあるしね。藤ねえは教師なので、聖杯戦争のことは知らなくても、身上書とかで桜の家庭についてはある程度は知っているけど、それに敢えて触れないようにしていたんじゃないかと思うんです。衛宮家に迎え入れたのには、教師として、そういった事情の桜をフォローしてあげたいという気持ちもあったのかなと。

下屋:いつも見守っていてくれて、ありがとうございます(笑)。



――[HF]第一章の中で、印象に残っているシーンはありますか?

下屋:一番印象に残っているのは、やっぱり冒頭の桜の中学生時代のエピソードですね。藤村先生も桜の熱意にほだされていたんだなということも分かって(笑)。バトルのシーンとかもどれも印象深いのですが、やっぱり最初の出会いから演じられたというのは凄く大きかったです。

伊藤:自分が出ているシーンよりも、とにかく最後の冬木市の雪景色がとにかく印象深いですね。最後にエンディングがかかってきた時に、自然とただ涙が溢れてきて。平和な冬木市の大切さようなものが伝わってきて、今でもあのシーンは脳裏に残っています。



――あの静かなラストシーンは、まさに他のルートとは違う、[HF]ならではのエンディングだったと思います。個人的には、慎二の描かれ方というのも印象的でした。

伊藤:あの子は本当に面白くてかわいいですね(笑)。これは私の悪い癖なんですが、声優さんとキャラクターを被せて見てしまう部分があって。別の作品の話で申し訳ないんですが、慎二役の神谷(浩史)くんとは、『夏目友人帳』から一緒だったので、その時の印象が被ってしまって、どうしても慎二を憎めないんですね(笑)。

一同:(爆笑)。

伊藤:(笑)。もっと遡ると、彼が20代のまだ青二のジュニアだった頃から、ガヤとかで私の出ている作品に参加してくれていたという付き合いもあって。それでいて、あの(慎二の)性格じゃないですか。本当は優しいところがあるのに、無理やりつっぱっているところとか、ついからかいたくなる(笑)。確かに「憎たらしいな!」と思うところもあるんですが、私はすごく好きなキャラクターですね。