徳島新聞で毎週木曜日に掲載されている
エッセイスト
阿川佐和子さんの『だいたいしあわせ』

先週は「笑う人々」についてのお話でした。

以前に訪れた金沢に震災後始めて訪れた阿川さんは、
被災の痕跡があちこちに残る地で、
とうてい観光気分にはなれないと予想されていました。

ところが迎えてくれた金沢の人々は、
お仕事関係者のみならず、ホテルのスタッフさんも
お店の店員さんも、阿川さんの緊張感を
むしろほぐしてくれようとするかのごとく、
誰もが温かく明るく接してくださったそうです。

そして阿川さんとかつて一緒に仕事をされた
お仲間の珠洲市出身の女性が、
ちょうど金沢のご実家に帰省されていて、
お母さまを金沢の温泉にお連れする旅の前にと
会いに来られ近況をお話なさいました。

幸い倒壊を免れたご自宅で寝泊まりしているという
お母さまは、まだお水が出ないことを、
娘さんは珠洲と比べたら金沢は天国みたいと、
それぞれ笑いながら語られたたそうです。

きっと内心では恐怖もショックも

悲しみも大きいにちがいない。にもかかわらず、

なぜそんなに明るく振る舞うことができるのか。
阿川さんはお二人の笑い声を聞きながら

胸を詰まらせました。

・下記に原文をご紹介させていただきます。

「日本人は災害に遭っても、
怒りや悲しみを他人に激しくぶつけることが少なく、
どちらかというと笑う傾向にあるような気がする。
今回の能登半島地震に限らず、笑顔を浮かべる被災者を
ニュース映像などでよく目にする。その理由は、
自らに降りかかった不幸を

他人にうつしてはならないという
マナーの意識が備わっているからだと、
あるとき誰かに教えられて納得した。

たしかにそんな笑いにつられると、
ついこちらはホッとしてしまう。
いや、いかんいかん。逆だろう。
この辛抱強くも前向きな人たちのために、
いったい私は何ができるだろう。
帰りの新幹線でウジウジと考えた。」


☆☆☆

そういえばニュース映像などで
被災された方々が本当に大変な状況のなかでも、
笑顔でお話なさっている場面を

拝見することが多くありますね。。

辛抱強いということは、それだけお辛い気持ちを
内に秘めて我慢をしておられるのではないでしょうか…。

今学ばせていただいているグリーフケアの講座でも、
様々な制限を受けることで悲嘆の感情を
表に出せない場合があると教えていただきました。
その状態が続いてゆくと、

やがて心身に不調が生じて来ます。。

東日本大震災の折には心とか精神、
カウンセリングなどの名称ではなく、

「お茶っこ」という東北地方の文化を基にされたそうです。

お茶を飲みながらの世間話に、いつしか心がほぐれて
少しずつお気持ちを信頼できる誰かにお話されることで、
心の奥に秘めていた様々な感情や思いが

涙と共に流れ手放されてゆくのですね☆

人のために明るく振る舞い笑う人々の中には
心の奥に悲しみや苦しみを

ずっと抱えたままの方がいらっしゃる…
その悲嘆に少しでも気づくことができますように
知識を深め繊細な感性を育んでゆければと思いますクローバー(*^_^*)

・イラストも筆者の阿川佐和子さんです☆

 ほのぼのしますね三毛猫