神戸新聞さんで2月に連載されていた『三歩進んで、二歩下がり』

今回のタイトルは東日本大震災で2歳の息子さんを失ったお母様が
この9年の日々を振り返って絞り出された言葉だそうです。。

大切な人と死別した後、人はどう生きるのだろう。
そもそも、時間は悲しみを和らげてくれるのだろうか。
残された遺族の心模様は家族の中でもさまざまだ。
私たちは、最愛の人を失った後の暮らしを
できるだけ丁寧に聞かせてもらおう、との
記者の方たちの思いを受けて取材に応じてくださった方々。

お互いに伴侶を亡くされた後に再婚、
「命」をテーマにした絵本を発表しておられるご夫婦。
脳出血で倒れたお父様の臓器提供を選択した女性。
丁寧に聞き取られた心のお声が21回にわたり綴られていました。

家族を失った悲しみは、いつか癒えるのだろうか? 記者の方々は
ご遺族のお話を聞かれた後、グリーフケアの専門家を訪問されました。

神戸赤十字病院心療内科 
村上典子医師は

「悲しみがなくなることはありません。
 心も生活も、元通りにはなりません。
 傷口には薄いカサブタがあるだけで、
 引っかくとまた血が流れます」

「遺族が自身の語りを通じて、心に落ちるところを得ることが大事です。
 私のもとを『卒業する』と言った患者さんが何人もいます。
 悲しみは形を変えていく。
 人は悲しみと付き合うすべを知っているのだと思います」と話されました。

淀川キリスト教病院に2016年開設されたグリーフケア外来で
カウンセリングを担当される公認心理師の
出﨑躍氏はこう言われました。
「公認されない悲嘆をサポートしたいのです」

公認されない死とは? 流産や死産、家族ではない友人や恋人の死、
死の状況が話題になりにくい自死…などが、それに当たるそうです。。
「いつまでも泣いて、悲しんでいる自分は良くないのでしょうか?」と
外来に来られ、そう話される親御さんたちに、出﨑さんはこう書いて示されます。


「悲しみ」と「愛しみ」

「愛しみは『かなしみ』と読めます。
 悲しみは愛なのですから、亡き人を思うのは当たり前」

「悲しみをやっかいなものととらえないでほしい。
 心も体もないけれど、語り掛け、
 思い続けることで一緒に生きている感じがする。
 『見えないつながり』を感じることが、心の回復にもつながると思います」


☆☆☆

悲しみの底でもがいていても、
何かのきっかけでふと光が見える。
そうかと思えば突然、罪悪感や孤独感に襲われる。心が折れる日もあるだろう。
ただそうした日々を積み重ねることは、
亡き人を思い、死者と対話することにほかならない。

「心の中に生き続ける」とは、
そういうことなのだと私たちは考えている。


                     (紺野大樹・中島摩子・田中宏樹 記者)

☆☆☆

思い出すと辛くて悲しくて苦しくなる日々。。
それがいつまで続くのかは誰にもわかりませんが…
紡がれた思い出がいつか、心を和らげ癒してくれる。
少しの涙と笑顔で振り返ることができる日が、きっと訪れます。
その道程を心の中に生き続ける愛する人と共に歩んでゆくのです 
クローバー (*^-^*)