NORIKUMAです。
7月18日の最高裁判決です。
上記が、地裁と高裁について記載したブログ。
この事案そのものは、外国子会社合算税制の保険業で、さらに、「租税特別措置法施行令(平成28年政令第 159号による改正前のもの。)39条の117第8項5号の、しかも括弧書きに書かれている「保険の目的」って、何でしょうかね。ということが争点となっている。
ま、マニアックといえば、マニアックだよね。
高裁の判断のうち、「括弧書きにいう「資産」や「損害賠償責任」は例示にすぎず、」というところは、おや?と思ったけれども、保険料の実質的負担者の点から、「元受保険契約は各顧客の生命、身体等に対する保険危険を担保する保険契約であるから、再保険契約に係る収入保険料は、本件括弧書きにいう「関連者以外の者が有する資産又は関連者以外の者が負う損害賠償責任を保険の目的とする保険に係る収入保険料」に当たる」としたことは、そう悪くないと思っていた。
だが、この事案を雑誌で書いている方は100%「最高裁出るだろうね。で、この高裁の判断は覆るだろう」とする見方だった。
その予想が的中した。
7月18日の最高裁は、破棄自判。(判決文は、裁判所のHPで誰でも無料で読むことができます)
① 法令解釈について
「施行令39条の117第8項5号は、措置法68条の90第1項の規定の適用が除外される場合の要件の一つである非関連者基準を、主として保険業を行う特定外国子会社等について具体化するものである。そして、本件括弧書きは、特定外国子会社等が関連者との間の保険取引に関連者以外の者を介在させた場合の収入保険料の取扱いを明確にし、上記の者を形式的に介在させることによって非関連者基準を充足させ、同項の適用が除外されることとなるのを防ぐ趣旨に出たものと解される。」
「このような本件括弧書きの趣旨に加えて、通常、保険に加入する者は、保険金の支払を受けることによって経済的不利益の保障、填補を受けることを目的として、 保険料を負担して保険契約を締結するものと考えられることを踏まえると、本件括弧書きは、特定外国子会社等が保険者として再保険取引を行うに際し、当該再保険取引が関連者以外の者の資産又は損害賠償責任に係る経済的不利益を担保しようとするものである場合に限り、当該特定外国子会社等が当該再保険取引から得る収入保険料は関連者以外の者から収入するものとして扱うこととしたものと解される。 したがって、本件括弧書きにいう「関連者以外の者が有する資産又は関連者以外の者が負う損害賠償責任を保険の目的とする保険」とは、関連者以外の者の資産又は損害賠償責任に係る経済的不利益を担保する保険をいうものと解すべきである。」
② 本件への当てはめ
「NRFMは、クレジット契約を締結した各顧客が所定の保険契約を締結しない場合には、元受保険契約に各顧客を加入させ、各顧客から、クレジット債権の残高に応じて定められる元受保険契約の保険料に相当する金額を徴収して保険料をAVMに支払っており、また、元受保険契約においては、NRFMが優先受益者に指定され、この指定は取り消すことができないこととされるとともに、各顧客の死亡等又は失業等の保険事故が生じた場合には、それぞれ、所定の限度額を上限として、クレジット債権の未償還残高又は月額賦払金6か月分に相当する保険給付を受けることとされていたというのである。」
「上記のような元受保険契約の実質に照らせば、再保険契約に係る保険は、NGRE事業年度におけるNGREに係る関連者に当たるNRFMが有する資産であるクレジット債権に係る経済的不利益を担保するものであるということができる。したがって、上記保険は、括弧書きにいう「関連者以外の者が有する資産又は関連者以外の者が負う損害賠償責任を保険の目的とする保険」には 当たらないから、NGREはNGRE事業年度において非関連者基準を満たさず、措置法68条の90第1項の適用が除外されることとはならない。」
最高裁の判断については、確かにね・・・と思う。
この事案を最初に聞いたときには、皆さんきっとそう思ったはず。
「この規定は、特定外国子会社等が関連者との間の保険取引に関連者以外の者を介在させたることにより、非関連者基準を充足させ、外国子会社合算税制の適用が除外されることとなるのを防ぐ趣旨だよね。じゃあ、この事案はダメだよね。」
第一印象は大事。
でも、地裁、高裁とめぐり、いろいろな意見を聞くと、いや、もしかするといけるかもと思ったが、やっぱりだめだってということ。
最高裁の結論は、処分は適法で、しかも裁判官全員一致の意見とのこと。誰か反対意見とか、補足意見とかないんかい。・・・と思ったが、何もなし。
残念。
ということで、以上が自動車販売会社さんの外国子会社合算税制の事案でした。裁判所のHPには、会社名がしっかり出ているけど。
平川雄士弁護士のファンとしては、非常に残念だわ。
NORIKUMA