NORIKUMAです。

 

 

 

 

いや、やられましたね。やっぱりという感じです。

日産自動車の外国子会社合算税制の事案(非関連者の保険会社と締結した再保険契約に係る収入保険料は、「関連者以外の者が有する資産‥を保険の目的とする保険に係る収入保険料」に該当し、外国子会社合算税制の適用除外要件である非関連者基準を満たすか否かが争われている)は、最高裁で、6月に弁論が行われるとのことだ。

 

 

 

 

個人的には、東京高裁の判断は、結構いい線いっていると思ったが、否定的な意見の方が多いことは確か。高裁判断が覆されるのか。納税者側の弁護士さんは、今を時めく平川雄士氏。そのまま納税者勝訴で行って欲しいけどな。えー

 

 

 

さて、本日は、消費税。

早速、事案の概要から。

原処分庁が、非居住者である請求人に対し、請求人は輸出物品販売場で購入した消費税の免税対象物品を日本国内で譲渡したとして、消費税法8条《輸出物品販売場における輸出物品の譲渡に係る免税》5項の規定により消費税等の賦課決定処分をしたところ、請求人が、当該物品を日本国内で譲渡したことはなく、いずれの物品も日本国外へ輸出したとして、原処分の全部の取消しを求めた事案である。

 

 

 

 

輸出物品販売場については、いろいろ問題が指摘されているが、そこは置いといて・・・今回は、基礎事実のところの記載から今風な感じとなっている。

 

「国税庁は、輸出物品販売場から送信された請求人の令和3年11月1日から令和4年1月31日までの間の免税対象物品の購入に係る電磁的記録を受信した。

 本件電磁的購入記録情報によれば、令和3年11月1日から令和4年1月31日までの間において、ほぼ連日、免税対象物品が多くの輸出物品販売場で購入されており、その購入合計額は■■■■■■■であった。」

 

 

 

「電磁的記録を受信した」とは、一昔前ならありえなかったけどね。

 

 

 

さて、それがどう賦課決定処分とつながっていくのか、続きを読んでみよう。

 

 

 

「原処分庁所属の調査担当職員は、令和4年3月22日、請求人の滞在場所において実地の調査を行ったが、本件電磁的購入記録情報に記録された免税対象物品の所在は確認できなかった。なお、請求人は、本邦に入国してから同日までの間、一度も本邦から出国していなかった。

 本件調査の結果、請求人が遅くとも令和4年3月22日までに本件電磁的購入記録情報に記録された免税対象物品の全部を国内において譲渡したとして、請求人に対し、同日付で同日を当該免税対象物品の譲渡日とする令和3年11月1日から令和4年1月31日までの期間の消費税等の賦課決定処分を行った。」

 

 

 

 

話しが途中で飛んでいるね。つまり、購入したのは確認した。でも、もう持っていない。この量からすると自己使用ではない。ということは、「あんた、国内で譲渡したんやろ。消費税払いなはれ・・」ということらしい。

 

 

 

 

外国人相手にこのようなことをしているとは、この裁決を読むまでわからなかった。仕事熱心というか結構無理強いというか。

 

 

 

請求人は、「本件免税対象物品は、全て国外の友人又は知人方への贈り物として購入し、現に購入後に発送して輸出した。」と主張している。

 

 

 

 

国税不服審判所は、下記のとおり判断をして、請求人の主張を全て認め、処分を全て取り消している(R5.3.16 TAINS:F0-5-391)。

 

 

① 原処分庁の主張について

「原処分庁は、本件調査の結果、請求人の滞在場所において、本件免税対象物品の存在は確認できず、そのうちの一部の物品の梱包に用いられた箱及び袋の存在しか確認できなかったとして、請求人が本件免税対象物品を国内において譲渡した旨主張する。

 しかしながら、請求人の滞在場所に存在した箱及び袋が、本件免税対象物品の一部の梱包に用いられたものであるかどうかは不明であって、原処分庁主張の箱及び袋の存在は、請求人による本件免税対象物品の国内譲渡の事実をうかがわせるものであるとはいえない。そもそも、請求人が本件免税対象物品を国内において譲渡したことを示す直接的な証拠はないのであって、仮に、上記の箱及び袋が本件免税対象物品の一部の梱包に用いられたとの原処分庁の主張を前提としても、請求人が本件免税対象物品を購入後に自ら消費し、あるいは、他に譲渡したことがうかがわれるに留まる。原処分庁主張の事情は、請求人が本件免税対象物品を輸出したとの請求人の主張と何ら矛盾するものではなく、請求人が輸出した可能性を排斥できないから、当該事情をもって本件免税対象物品が国内において譲渡されたということはできない。」

 

 

 

 

② 請求人の主張について

「請求人は、本件免税対象物品の全部を輸出した旨主張し、これに沿う証拠として、令和4年2月11日及び同年3月27日に、国際スピード郵便(EMS)で、内容物の詳細は不明であるものの、中華人民共和国に向けて物品の輸出を行ったことを示す送り状を当審判所に提出し、さらに、少なくとも同年2月及び同年3月に、請求人が輸出を依頼したとする〇〇から、中華人民共和国マカオ特別行政区の特定の宛先に向けて、国際輸送サービスで何らかの物品の輪出が行われたことを示す複数の送り状を当審判所に提出している。上記国際スピード郵便の送り状に記載された請求人の住所は、請求人の滞在場所とは相違するが、請求人は、発送を知人に依頼したために、その知人の住所が記載されてしまったものである旨答述しており、請求人が輸出した物品が本件免税対象物品の一部である可能性を排斥するに足りる的確な証拠はない。したがって、本件免税対象物品が国内において譲渡されたものではなく、輸出された可能性を排斥することはできない。これらのことからすると、本件免税対象物品の全てが国内において譲渡されたと認定することは困難である。」

 

 

 

 

③ 結論

「本件免税対象物品のうちに請求人が国内において譲渡したものがあったのか否か、あったとして、それが本件免税対象物品のうちのどの物品であるのかを認定することができない上、本件免税対象物品の全部又は一部について消費税等を徴収する権限を有していたと認めることはできない。したがって、本件免税対象物品の一部に請求人が購入していないものが含まれているか否かにかかわらず、本件免税対象物品について、請求人に消費税法8条5項を適用することはできない。そうすると、本件賦課決定処分は違法であり、その全部を取り消すべきである。」

 

 

 

 

証拠不十分ということだろう。

 

 

 

おそらくだが、輸出物品販売場については、しっかりしているところもあるのかもしれないが、いろいろあることも事実。その中で、処分行政庁は、消費税の賦課漏れを防ぐために、がんばっているとも思えるが、がんばりすぎて、訪日外国人への目が厳しすぎ冤罪のような事態が起こるのも問題だ。

 

 

 

 

 

 

輸出物品販売場と消費税については、もう少し抜本的な賦課方法を構築する必要はあるよね。えー

 

 

 

 

NORIKUMAクマ