NORIKUMAです。

 

 

 

確定申告も終わり、通常運転で。ただ、3月決算法人の利益が気になるが・・・・。えー

 

 

 

 

さて、本日は、減価償却資産の種類の区分。つまり、建物か、建物付属設備でしょうか。はたまた、機械及び装置でしょうか工具器具備品でしょうか。

 

 

 

 

これ、一番難しいと思う。

 

 

 

早速事案の概要から。

本件は、所轄税務署長が、畜産業を営む原告に対し、同人が所有する鶏舎等、牛舎等、中古鶏舎等の各物件はいずれも「建物」に該当するから建物の償却に用いる定額法に基づき計算すべきであるとして、平成25年度から平成29年度の各事業年度に係る法人税、復興特別法人税及び地方法人税の更正処分について、原告が、本件各物件はいずれも「構築物」に該当するとして定率法により減価償却を行うべきであると主張し、被告に対し、同主張に基づいた各原告主張税額との差額部分についての取消しを求める事案である。

 

 

 

建物か構築物か。しかも、鶏舎とか牛舎の場合は、どうか。

 

 

 

普通に考えれば建物だが、でも牛舎は、横の部分、空いてますよね。鶏舎は今は鳥インフルエンザの関係で、結構しっかりした建物が多いのではないでしょうか。

 

 

 

というか、「建物」ってすでに書いちゃった。えー

 

 

 

 

この事案の場合、鶏舎等は、いずれも建物として表題登記されている。

 

 

 

 

納税者は「構築物」としているのだが、その理由をみてみよう。

「耐用年数省令別表第一には特段規定がないものの、「構築物」については「飼育場」が例示に上げられ、耐用年数の適用等に関する取扱通達をみても(同通達2-3-15)、鶏舎や堆肥舎はこれに該当すると解される。

 固定資産税依命通達の解説によっても、「例えば鶏舎、豚舎等の畜舎、堆肥舎等」は、特段のものを除き「一般に社会通念上家屋とは認められない。」としており、この内容からすると、本来、鶏舎や堆肥舎等は家屋とせずに構築物として取り扱うのが原則と考えられ、「特にその構造その他からみて一般家屋との権衡上課税客体とせざるを得ないもの」といえる例外的なものに限り建物として扱うべきである。

 畜舎は、いずれの市町村においても構築物としての固定資産課税となっているように、市町村においては、建物ではなく構築物として評価されているのであるから、本件各物件は、構築物に該当する。」

 

 

 

 

上記の通達2-3-15だが、

2-3-15 別表第一の「構築物」に掲げる「飼育場」とは、家きん、毛皮獣等の育成、肥育のための飼育小屋、さくその他の工作物をいうのであるが、これに附帯する養鶏用のケージ等の一切の施設もこれに含めてその耐用年数を適用することができる。」と書かれている。

 

 

 

 

これで、構築物に該当するのか・・・微妙。

 

 

 

 

高松地裁は、下記判断をして納税者の請求を棄却している(R4.9.13 TAINS:Z888-2499)。

 

① 法令解釈

 

「不動産登記事務取扱手続準則は、建物の認定基準として、原則として、①土地の定着性、②外気遮断性、③用途性を要求し、ただし、②外気遮断性については、準則77条1号の例示から類推するに、少なくとも周壁については、必ずしも完全な外気遮断性があることまでを要求するものではなく、その建築物の用途や利用状況を勘案して、完全な周壁を設けないことがその建造物の効用上合理的であり、完全な周壁を設けるとかえって不都合が生じると認められる場合には、同要件を緩和して認定することを妨げない趣旨であると解するのが相当であり、耐用年数省令別表第一に規定する建物についても同様に解すべきである。」

 

 

 

② 本件物件への当てはめ

 

「本件各物件は、いずれも各物件を建築するために設置されたコンクリート基礎を有し、柱は当該基礎に固定されていることからすると、容易に分解して移設撤去できるものではなく、土地に定着した建造物であると認められる。

 本件各物件は、いずれも屋根及び柱を有し、その利用状況に応じて鋼板等の周壁や金網等を設けた形状になっており、いずれも完全な周壁は設けられていないものの、鶏舎、牛舎または堆肥舎としてそれぞれの目的とする用途に供し得る状態にある。

 本件各物件は、鶏又は牛の飼育ないし堆肥の集積をするためという用途や利用状況を勘案した場合に、当該建造物の効用上、完全な周壁を設けないことが合理的であり、完全な周壁を設けるとかえって不都合が生じると認められる。したがって、完全な外気遮断性に係る要件を緩和して認定することが相当である。」

 

 

 

「以上によれば、本件各物件は、いずれも完全な周壁を有してはいないものの、そのような構造は、これらの物件が鶏及び牛を収容して飼育するための畜舎等として使用されている関係から、その通気性を確保するなど必要なものであって、その用途に照らし、合理的なものというべきである上、いずれも、一定の堅固な構造を有する大規模なものであり、その資産価値が相当に高いものと認められることや一般家屋との権衡からしても、耐用年数省令別表第一に規定する建物に該当するというべきであり、このことは、本件各物件のうち、鶏舎等、牛舎等、牛舎等の一部及び中古鶏舎等の一部が、それぞれ建物として表題登記されていることとも整合する。」

 

 

 

 

上記の法令解釈部分は大事だ。

不動産登記事務取扱手続準則から、税務上の建物の要件として、①土地の定着性、②外気遮断性、③用途性を挙げている。

 

 

 

 

不動産登記事務取扱手続準則を参考にするという点は、賛否両論あると思う。

例えば、笹目孝夫著「償却資産の固定資産税申告Q&A」78頁では、固定資産税の家屋と原則的に意義が同じものはどれかの問のアンサーとして「企業会計上の建物」「税務会計上の建物」「不動産登記法の建物」の3つを挙げているが、答えは、最後の「不動産登記法の建物」となっている。

 

 

 

 

つまり、固定資産税と不動産登記法の建物は原則的に意義が同じとして、今回の地裁判決と同様に①土地の定着性、②外気遮断性、③用途性を挙げている。

 

 

 

そして、会計上や税務上の建物の判断は、不動産登記法には縛られていないとの記載もこの書籍ではある。

 

 

 

ただ、実務上建物とは何かという明確な定義づけがないため、裁判などになった際には、それが定義づけられている法律を参考にするしかない。

また、償却資産税(固定資産税)が所得税や法人税の減価償却という点に着目しているところからも、同じく不動産登記法より意義を考えるのも間違いではない。

 

 

 

 

とかく、減価償却資産の種類の区分は難しい。今回の確定申告でも機械及び装置か工具器具備品か非常に迷う事案があった。

 

 

 

 

そもそも区分ができなきゃ、耐用年数など・・・その先には進まん。えー

 

 

 

NORIKUMAクマ