11.女子寮の夢
隣にいた赤ん坊を抱えた白人女性が近寄ってきてフォレストに話しかけます。
白人婦人:
「私も覚えているわ」
「知事が撃たれた時、大学生だったの」
フォレスト:「女子大?男女共学の大学?」
白人婦人:「共学よ」
フォレスト:「ジェニーは女子大で僕は入れてもらえなかった」
「でもよく会いに行った」
ジェニーはボーイフレンドに送ってもらって、車内でいちゃついていました。
それを見たフォレストはジェニーが襲われていると思い、ボーイフレンドに殴りかかります。
ジェニー:
「フォレスト!やめて!」
「フォレスト!やめて!何するのよ!」
ボーイフレンド:「こいつは何だ!」
ジェニー:「ビリー、やめて!」
「話を聞いて」
「フォレスト、ひどいわ!」
フォレスト:「チョコレートだよ」
「ごめんよ」
「僕は寮へ帰る」
ジェニー:「フォレスト、ズブ濡れよ」
「いらっしゃい」
ジェニーのようないつも愛情を求めている『愛情飢餓感』がある人は、他人に依存しないと不安でたまらないんですね。
そして、それを利用する人がたくさんいることも事実です。
このボーイフレンドはそういう人であり、そのことにジェニーも薄っすらと気づいているのだろうと思います。
簡単にフォレストを許して、女子寮の部屋に案内しました。
次の会話でとても大事な言葉が話されています。
ジェニー:
「夢を持ってる?」
「将来何に?」
フォレスト:「『将来何に?』僕は僕だよ」
ジェニー:「あなたはあなただけど、違うあなたになるのよ」
「私は有名になるわ」
「ジョーン・バエズのようなシンガー」
「誰もいないステージにはギターと私の声だけ」
「私1人」
「観客の1人1人に歌いかける」
「1対1で語りかけるの」
フォレストの言葉の方が逆説的です。
幸せになるための、自己実現のための近道のように感じますね。
あるがままの自分でいることが幸せを引き寄せてくる。
ジェニーは今の自分を否定しています。
努力して、今の自分を変えて生まれ変わりたい。
そして、人々の愛をすべて受け取りたいと願っています。
劣等感をもつ人は一人残らず、生まれ変わろうと必死にもがき、実らぬ努力をします。
どうして実らないかと言うと、何かを達成したとしても『渇き』は決して潤わないからです。
それほど、『愛情飢餓感』は底しれぬものであり、『無価値感』『自己否定』は治まることは決してありません。
人にはそれぞれの能力があります。
自分の適性に合っていない能力を目指しても、決してたどり着けません。
そのあとに来るのは、人への『嫉妬や恨み』と『自己憐憫』、そして『虚無感』です。
無理に決まってますよね。人はスーパーマンにはなれません。
ジェニー:
「女の子と一緒だった事は?」
「家庭科の時間は隣に座っていたよ」
ジェニーは下着を外し、フォレストに体を触らせました。
フォレストは呼吸を忘れ、苦しくなります。
フォレスト:「ごめん」
ジェニー:「いいのよ」
フォレスト:「目が回る」
ジェニー:「家庭科とは違う?」
フォレスト:「違うよ」
ジェニーは下着をつけて、子供の頃のようにフォレストの体のぬくもりを感じました。
傷ついたジェニーが癒やされているのが分かるシーンです。
12.ケネディ大統領
相変わらずのアメフトでの大活躍。
応援団の人文字が前回は『GO ALABAMA』から『GO FORREST』に変わっていて面白いです。
加えて『STOP FORREST』の横断幕。
相手選手たちはフォレストの速さにキリキリ舞いです。
フォレストのナレーション:
「大学ではフットボールの試合ばかり」
「『全米代表チーム』とかへ入れられ、合衆国の大統領に会う事ができた。」
『代表チームに入れられ』というのがフォレストだから嫌味がないのがいいですね。
TVのナレーター:「ケネディ大統領は全米代表フットボール・チームを激励」
フォレストのナレーション:「大統領に招かれて一番うれしかったのは食べ物」
「部屋中に食べ物と飲み物が並べてあった」
「腹は減ってなかったけど、のどが渇いて、それに無料だったので、ドクター・ペッパーを15本あけた」
飲みすぎてしまって、トイレに行きたくなり、もぞもぞしている映像が本物のケネディ大統領といっしょに映っています。
ケネディ大統領:「おめでとう、気分は?」
フォレスト:「小便したい」
ケネディ大統領:「『小便したい』だそうだ」
ホワイトハウスのトイレにはマリリン・モンローとケネディ兄弟の写真がありました。
ケネディ大統領にゆかりの深い悲劇の人物たちですね。
フォレストのナレーション:
「車に乗っている若い大統領を誰かが銃で撃った」
「数年後には、彼の弟がホテルのキッチンで撃たれた」
「兄弟って大変なんだな」
「5年間フットボールをして僕は大学を卒業した」
「ママは鼻を高くした」
13.入隊
卒業式にもらった陸軍案内に応募します。
これも面白い所ですが、ロバート・ゼメキス監督は小学校のバスと同じシチュエーションで陸軍に入隊します。
フォレスト:「僕はフォレスト・ガンプ」
バスの運転手:「名前なんかクソ食らえだ!」
「ザーメンなめてるウジ虫め!」
「とっとと座れ、タマなし野郎!」
軍曹の口が悪いのは『愛と青春の旅立ち』のように昔からずっとですね。
フォレストはスクールバスと同じようにほぼ満員のバスで席を探します。
男A:「よそへ行け」
男B:「行け」
フォレストのナレーション:「これは間違いだったのか、入隊最初の日にもう怒鳴られた」
「どうなるのか見当もつかなかった」
バッバ:「座りなよ」
「エビ捕り船に乗った事は?」
フォレスト:「ないよ、大きな船は乗ったけど」
バッバ:「エビを捕る船だよ。おれはずっと乗ってた」
「最初は9つの時。おじさんの船でエビを捕った」
「やっと自分の船を買えそうだ」
「おれはベンジャミン・ブルー」
「皆は『バッバ』と」
「ひどいだろ?黒人は皆『バッバ』だ」
フォレスト:「僕はフォレスト・ガンプ。呼び名もフォレスト・ガンプ」
フォレストのナレーション:「バッバの家は入江地帯で、ママの得意はエビ料理」
「ママのママもエビ料理」
「そのまたママもエビ料理」
「エビのことなら何でも知ってる一家だった」
白人に給仕する姿を何世代も見せることで、黒人の奴隷の歴史が分かりますね。
ブラックジョークですね。
バッバ:
「エビの事なら何でも知ってる」
「兵役を終えたらおれもエビで暮らしを立てる」
「いいね」
一般兵が整列している所に、怖い軍曹が顔を近づけて罵倒する、軍隊ではお馴染みのシーンです。
軍曹:
「ガーンプ!」
「貴様はなぜ軍隊に入った?」
フォレスト:「軍曹殿に従うためです!」
軍曹:「クソったれめ!」
「貴様は天才だ」
「すばらしい答えだ」
「お前の知能指数は160か?」
「実に頼もしい新兵だ」
フォレストのナレーション:「不思議な事に僕は釘のように軍隊にピッタリはまった」
「ベッドをきちんと作って直立不動」
「『はい、軍曹殿!』と答えればいいのだ」
ライフルの組み立ての訓練です。
バッバはエビのことばかり話します。
バッバ:
「仕掛けた網を引き上げる」
「運のいい日は50キロ捕れる」
「2人で1日10時間働くとガソリン代を差し引いても...」
フォレスト:「出来ました!」
軍曹:「早いな、どうやった?」
フォレスト:「お教え通りに」
軍曹:「たまげたな、こいつは新記録だ」
「ただの兵隊では惜しい」
「士官学校から末は将軍になる人材だ」
「次は銃を解体しろ!」
バッバ:「前にも言ったが、エビは海の果物だ」
「焼いても、茹でても、煮ても、炒めてもいい」
「エビ・カレー、エビのうま煮、エビ・ガンボ、エビフライ、カラ揚げ、衣揚げ、パイナップル味、レモン味、ココナッツ味、ペッパー味、エビ・スープ、エビ・シチュー、エビ・サラダ、エビ・ポテト、エビ・バーガー、エビ・サンド...」
「それだけかな?」
フォレストのナレーション:「兵舎の夜は寂しかった」
「ベッドに横になってママを想った」
「そしてジェニーの事も」
すると隣の男からポルノ雑誌を渡されます。
見てみると、ジェニーが掲載されていました。
14.風に吹かれて
フォレストのナレーション:
「大学のセーター姿で写真を撮らせたジェニーは大学を追い出された」
「彼女はツイてた」
「メンフィスで劇場を持ってる男が、彼女の写真を見て舞台で歌う仕事をくれた」
「僕は休みの日、バスに乗って彼女のショーを見に行った」
司会:「次はハリウッドから招いた目にも楽しい歌姫。ビートニック・ビューティーの登場です」
「ミス・ボブ・ディロン」
彼女はアコースティックギターで上半身を隠し、歌を歌うストリッパーになっていました。
『風に吹かれて』〜ボブ・ディラン/ジョーン・バエズ〜の曲を弾いていました。
~『『風に吹かれて』(Blowin’ In The Wind) ボブ・ディラン~
♫ How many roads must a man walk down
どれだけ多くの道を歩めば
♫ Before you call him a man?
人は人として認められるの?
♫ How many seas must a white dove sail
どれだけ多くの海の上を飛べば
♫ Before she sleeps in the sand?
白い鳩は砂浜の上で休めるの?
♫ And how many times must the cannon balls fly
どれだけ多くの鉄砲玉が飛んだら
♫ Before they’re forever banned?
それらが禁止されるの?
♫ The answer, my friend, is blowin’ in the wind
友よ、答えは風の中に舞っている
♫ The answer is blowin’ in the wind.
答えは風の中に舞っている
フォレストのナレーション:「彼女の夢は叶った」
「フォーク・シンガーだ」
この皮肉はとても悲しいものがあります。
『どれだけ多くの道を歩めば、人は人として認められるの?』はジェニーの今の心情を表していて、切なくなりますね。
歌詞とジェニーの現状をシンクロさせているところが、観るものの心に響きます。
観客:「ハーモニカに替えな」
「オッパイを見せろよ」
ジェニーは脚を触ってきた客と喧嘩になります。
ジェニー:
「やめて、歌ってるのよ!」
「やめて!」
フォレストはステージに上がり、客をジェニーから引き離しました。
ジェニー:
「フォレスト、あなたなの?」
「ここで何を?」
フォレストは裸のジェニーを抱えあげ連れ出そうとします。
ジェニー:「フォレスト、やめて!」
二人は舞台から出ました。
ジェニー:「私を助けようとするのはやめて」
フォレスト:「あいつら乱暴を」
ジェニー:「あれくらい慣れっこよ」
「いいこと?いい加減にやめて」
フォレスト:「でも君を愛してるんだ」
ジェニー:「愛が何か分かっていないのに...」
「昔、祈った事覚えてる?」
「『遠くへ逃げたいから鳥になりたい』と」
フォレスト:「もちろん、覚えてるよ」
ジェニー:「この橋から飛べる?」
フォレスト:「どういう意味だい?」
ジェニー:「いいの」
ジェニーは自死まで追い詰められていました。
どうしようもない『無力感』がジェニーを捕らえて離さないでいます。
ジェニー:「もう行くわ」
ジェニーは知り合いの車を見つけ、乗り込もうとしました。
フォレスト:「待てよ」
ジェニー:「私の事はもうほっといて」
「乗せて」
「どこへでも」
フォレスト:「さよなら、ジェニー」
「僕はベトナムに送られる」
「遠い外国だよ」
それを聞いたジェニーは車に乗り込むのを止めました。
ジェニー:
「待ってて」
「それなら約束して」
「何かあったら勇気など見せずに走って」
フォレスト:「分かった」
「ジェニー」
「毎日、手紙を書くよ」
ジェニーは何も言わず車に乗り込み去っていきました。
フォレストに度々干渉されながらも、心優しいジェニーはフォレストを許してきました。
それも段々と心の余裕が無くなってきているところが切なくなりますね。
一方のフォレストは、辛抱強くジェニーを見守り続けています。
フォレストから『無償の愛』を感じずにはいられません。
ジェニーにとって、フォレストは心の巣のはずです。
ジェニーは劣等感のため、そして自身の理想像を追い続けているので、今はまだ素直に受け入れることができないんですね。
フォレストのナレーション:「そのまま彼女は行ってしまった」
15.戦場へ
《ベトナム戦争》
ベトナム戦争(べとなむせんそう、ベトナム語:Chiến tranh Việt Nam / 戰爭越南、英語: Vietnam War)は、当時南北に分断されていたベトナムで社会主義のベトナム民主共和国(北ベトナム)と資本主義のベトナム共和国(南ベトナム)の間で勃発した戦争であり、冷戦中に起こった資本主義と社会主義の代理戦争であるとされる。経済力・物量の差から「象と蟻」の戦いと揶揄された。
ベトナムの南北両国では以前から対立が続いており、南ベトナム国内では北ベトナムに支援された反政府組織である南ベトナム解放民族戦線(解放戦線)が活動して南ベトナムの警察や軍などと争いが起こっていた。南ベトナムの同盟国であるアメリカ合衆国(アメリカ)は以前から軍事顧問を送り込むなどして南ベトナムを援助していたが、1964年8月のトンキン湾事件を契機として全面的な軍事介入を開始した。南北ベトナムと解放戦線、そしてアメリカは一気に全面戦争に突入したが、アメリカ軍は北ベトナム軍や解放戦線側によるゲリラ戦を相手に苦戦し、最終的に和平協定を結んで撤退した。戦争はその後、1975年4月30日に北ベトナム軍が南ベトナムの首都サイゴン(現在のホーチミン市)を陥落させるまで続いた。~Wikipediaより~
フォレストは出征前に母のもとに帰ります。
母は黙って優しくフォレストを抱きしめました。
綺麗なまだ暖かな夕陽がフォレストを包み込んでいました。
それは母性そのもののようでした。
フォレストの母:「無事に戻って来るのよ」
『フォーチュネイト・サン』〜クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル〜の曲と共に軍用ヘリの音でベトナム時代が始まりました。
フォレストのナレーション:
「ベトナムはアメリカととても違った国だと聞かされてた」
「缶ビールとバーベキュー以外は確かに違ってた」
バッバ:「この海にはエビがいるぞ」
「エビの捕れる国だ」
「戦争に勝ってここを占領したら、エビの漁師をここに呼ぼう」
「腰を抜かすほどエビが捕れる」
ベトナムに赴任してきたフォレストとバッバは小隊長に挨拶に行きます。
ダン小隊長:「お前らが新兵か?」
士官だと分かり二人は慌てて敬礼します。
ダン小隊長:
「手を下げろ!」
「ここでは敬礼するな」
「士官だと分かると狙撃される」
「小隊長のダン・テイラー中尉だ」
「その下唇は?」
バッバの下唇が突き出ている顔を見て言いました。
バッバ:「生まれつきです」
ダン小隊長:「引っ込めとけ。地雷線に触るぞ」
「出身は?」
フォレスト&バッバ:「アラバマ州です!」
ダン小隊長:「双子か?」
フォレスト:「血はつながっていません」
ダン小隊長:「ここは厄介な所じゃない」
「すべて俺と古参兵を見習ってりゃいい」
「生きてる兵隊と死んだ兵隊の違いは1つ」
「靴下だ」
「足をいつも清潔に保て」
「靴下は休憩のたびにはき替えろ」
「メコン川は足を腐らす」
「軍曹、おれの注文したロープは?」
軍曹:「発注してあります」
ダン小隊長:「催促しろ!」
フォレストのナレーション:「頼りになる上官だ」
「いい上官で僕は幸運だ」
フォレストの考え方はいつも前向きなんですね。
不安、心配事があれば、一気に心はそれに囚われて、恐怖心で一杯になります。
フォレストのナレーション:
「軍人の家系に違いない」
「先祖は国のために戦い戦死した」
前述のバッバの家系と同様に、アメリカの今までの戦争で戦死するシーンがコメディタッチで映されています。
途中で『スループ・ジョン・B』~ザ・ビーチボーイズ〜の曲が流れてきます。
ダン小隊長:
「アーカンソー出身か?」
「リトルロックを知ってるがいい町だ」
あまり話を聞かない上官ですね。それでもフォレストは頼りになると言っているところが面白いですね。
ダン小隊長:
「荷物を解いて足りない物は軍曹に請求しろ」
「腹が減ったらステーキがある」
「隊律を忘れるなよ。足を清潔に保て」
「バカはするな。特に敵に撃たれるような事はな」
フォレスト:「命令に従うぞ」
フォレストのナレーション:「あちこちを歩いてこの国の方々を見た」
「捜す相手は『ゲリラ』ってヤツだ」
「面倒な事もあった」
「小隊長は道を歩いててヘンだとヒラめくと、こう怒鳴った『伏せて声を出すな!』」
「僕らは従った」
「僕だけの意見だけど、皆いい兵隊ばかりだった」
「フェニックス出身の『ダラス』」
「デトロイト出身の『クリーブランド』」
「『テキサス』は彼は何州の出身かな?」
「ベトナムではいつもどこか行く所があった」
「何かやる事もあった」
「ある日雨が降り始めて4ヶ月ずっと降り続けた」
「あらゆる雨を経験した」
「身を刺すような雨」
「ボタボタ降る大粒の雨」
「横から吹きつける雨」
「時には下から吹きあげる雨もあった」
「雨は夜も降り続けた」
バッバ:「フォレスト、互いに寄り掛かって寝よう」
「泥の中に倒れないで済む」
「お前とおれは相棒だ」
「兄弟のように互いを気づかってる」
「考えてた事がある」
「大切な事を尋ねたい」
「おれとエビ商売を始めないか?」
フォレスト:「いいよ」
バッバ:「全部、経費を計算した」
「船を買うのは幾らか」
「ガソリン代もな。船で寝起きすりゃ、安上がりだ」
「おれが船長。だが稼ぎはきっちり分ける」
「5割ずつだ。それに好きなだけエビが食えるぞ」
フォレスト:「お前は頭がいい」
フォレストのナレーション:「バッバは頭がよかった」
「ジェニーにもその事を書いた」
「ほとんど毎日手紙を書いた」
「僕のしてる事を書き、彼女のしてる事を尋ねた」
「『いつも君を想ってる』と」
「『君の返事を待ちわびている』という事も書いた」
皮肉にも、差し込まれるジェニーの映像はヒッピーになってあてどなく移動しているシーンでした。
《ヒッピー》
1960年代のアメリカで既存の道徳観や生活様式に反抗し,ひげや長髪をたくわえ,ジーンズや風変りな衣装を身につけ,ドラッグやサイケデリックなロック音楽,東洋的な瞑想を好み,定職につくことを拒否して放浪した人々を指す。アメリカにおいて、ヒッピーの一部はベトナム戦争と徴兵制に反対し、そのため主流社会の軍事的覇権主義に反対し、父親世代の第二次大戦や原子爆弾への無条件支持の姿勢、ベトナムでの米軍の圧倒的な軍事力による暴力やホロコーストなどに対して、音楽や麻薬、非暴力によって対抗(カウンター)しようとした。結果、自然と愛と平和とセックスと自由、巡礼の旅の愛好家として社会にうけとめられた。彼等は当時、西側の若者の間で流行した毛沢東思想や、コミューンの形成、環境運動や動物愛護、自然食、LSD、マジックマッシュルーム、マリファナ擁護に加えて、ヨガ、インド哲学、ヒンヅー教、禅、仏教などの東洋思想に関心をよせた。これまでの欧米の思想にはない概念を東洋からみちびきだすことによって、より平和で調和に満ちたユートピアを夢見た。
~Wikipediaより~
フォレストのナレーション:
「無事だと知らせたかった」
「手紙の最後はいつも同じ。『愛をこめて、フォレスト・ガンプ』」
16.戦闘
フォレストのナレーション:
「ある日、いつものように歩いていると、突然何の訪れもなく、誰かが雨を止め、太陽が顔を出した」
すると、突然、部隊は敵に銃撃されました。
兵士:「敵はあの茂みだ!」
ダン小隊長:「本隊!こちら『リマ6』!」
兵士:「救急班!」
ダン小隊長:「森の中から攻撃を受けてる」
「敵の武器はAKライフル銃とロケット砲」
「敵兵の数は30人前後」
「こちら負傷者多数。ブルーラインまで後退する」
「後退だ、後退しろ!」
バッバ:「フォレスト、走れ!」
ダン小隊長:「後退だ!」
バッバ:「フォレスト、走れ!」
ダン小隊長:「何してる!走れ!」
ダン小隊長はフォレストに後退するように体を持ち上げます。
フォレストのナレーション:「
ジェニーの言葉通り僕は走った」
「走り過ぎて独りになった。ここではマズい事だ」
フォレスト:「バッバは?」
フォレストは親友が心配になり、前線へ戻りました。
フォレストのナレーション:「バッバは親友だ。無事を確かめねば」
フォレスト:「バッバ!」
フォレストのナレーション:「バッバを捜しに戻る途中、倒れてる奴を見つけた」
フォレスト:「『テキサス』!」
フォレストのナレーション:「ほったらかしには出来ない」
「彼をかつぎ上げて走った」
フォレストのこの行為を、人は『馬鹿だから』と解釈するかもしれませんが、私は違うと思うのです。
しっかりとした愛情で育てられた人は、他の人より日常の不安や恐れの気持ちが少ないのだと思います。
そういう人はしっかりと現実を直視できます。
そして『愛の人』はその育まれた、いいイメージを『意志』に変えて、『行動』を取ることができるのだと思います。
『行動』までしっかり導いてくれるこのイメージを心理学者ディヴィッド・シーベリーの言葉で『機能的心象』といいます。
自身が守られていると信じて疑わない人は迷いがないのだと思います。
フォレストのナレーション:
「バッバを助けに戻るたびに声がした」
「『フォレスト、助けてくれ』」
「バッバはどこにいるのだろう」
バッバを探している最中に脚が重症で動けないダン小隊長を見つけました。
ダン小隊長は無線で連絡を取り続けていました。
ダン小隊長:「敵に包囲されてる。空から掃射してくれ」
フォレストは横の兵士が死んでいるのを確認しました。
フォレスト:「こいつは死んでいます」
ダン小隊長はフォレストを跳ね飛ばし言いました。
ダン小隊長:
「彼だけじゃない、皆やられちまった」
「何する」
「何する!おれの事はほっとけ!」
フォレストは無線機とダン小隊長を切り離して、抱えあげて安全な場所まで連れて行きます。
無線機:「『リマ6』へ空から応援を送る」
フォレストのナレーション:「その時何かが尻を噛んだ」
ダン小隊長:「隊を見捨てる事はできん。さっきの場所へ戻せ!」
「お前だけ早く逃げろ!」
「聞こえないのか?」
「早く俺を下ろせ!」
「お前は逃げろ」
ダン小隊長の先祖の戦死の想像シーンもそうですが、皆、背中から地面に倒れて後頭部を打ちます。
ここにもなにげにリフレイン効果のユーモアが発揮されていますね。
ダン小隊長:
「誰がおれを運べと言った?」
「どこへ行く?」
フォレスト:「バッバを」
ダン小隊長:「空からのナパーム攻撃がある」
「ここにいろ!命令だ!」
フォレスト:「バッバを見つけなきゃ!」
フォレストは信念の人です。
馬鹿だから上官の命令にしたがっていたのではありません。
ちゃんと自分の意志を持っているんですね。
味方のナパーム弾が落ちようとしている所にまたフォレストはバッバを捜しに戻ります。
バッバ:「フォレスト...」
そこには瀕死のバッバが倒れていました。
バッバ:「おれは大丈夫だ。心配ない」
フォレストがバッバの腹部を見ると焼けただれていました。
フォレスト:「バッバ、大変だ」
バッバ:「大丈夫、助かるよ」
辺りからはベトナム語で喋る敵兵がうろついていました。
味方のナパーム弾攻撃が始まりました。
フォレストはバッバの巨体を抱え上げ、安全な場所に連れていきます。
フォレストのナレーション:
「これが最後だと知っていたら、もっと何か考えて話したのに」
フォレスト:「やあ、バッバ」
バッバ:「やあ、フォレスト」
「フォレスト、なぜこんな事に?」
フォレスト:「撃たれたのさ」
フォレストのナレーション:「それからバッバは一生忘れられない事を言った」
バッバ:「うちへ帰りたい」
この一言はフォレストにとって、大切な言葉として胸に刻まれます。
人は苦難が訪れると故郷に思いを寄せるのだなと悟ります。
のちにジェニーにもアラバマに戻るように言いますね。
人にはそれぞれ安寧の地、回復の場所があるのだと思います。
フォレストのナレーション:
「バッバは僕の親友だった」
「親友はどこにでもいるわけじゃない」
「エビ捕り船の船長になるはずが、ベトナムで死んでしまった」
「言えるのはそれだけだ」
バス停のベンチには中年男性に変わって座っていました。
中年男性:「弾丸だったのか?」
フォレスト(バス停にて):「弾丸?」
中年男性:「噛み付いた物さ」
フォレスト(バス停にて):「そうです。僕の尻に噛み付いたんです」
「皆は『100万ドルのケガだ』って」
「金は軍隊が取ったらしく、僕は見てません」
17.ダン小隊長の絶望
フォレストのナレーション:
「ケガして1つよかったのは、好きなだけアイスクリームをもらえた事だ」
「それに僕の隣のベッドには友達がいた」
「ダン小隊長、アイスクリームです」
「アイスクリームですよ」
ダンは脚を切断し、名誉の戦死もできず、生きる意味を失っていました。
フォレストが差し出したアイスクリームを取り、尿瓶の中に捨てました。
ダンの絶望感とフォレストのアイスクリームがとても対照的ですね。
ユーモアがあるシーンですね。
脚を切断して動けなくなった様子がユーモラスに表現されています。
ダン小隊長は入浴のために介護されて連れて行かれました。
フォレストに郵便が届きます。
兵士:「ガンプ、ガンプ」
フォレスト:「僕です」
ジェニーに送った手紙が宛先人不在ですべて返送されてきました。
リラクゼーションルームで傷を癒やしているフォレスト。
松葉杖の負傷兵士が卓球を教えてくれました。
松葉杖の負傷兵士:
「やるか?教えてやるよ」
「ゲームに勝つコツは1つだ。何があろうと絶対に球から目を離さない事だ」
フォレストのナレーション:「僕はなぜかピンポンと性が合った」
松葉杖の負傷兵士:「ほらな、バカでも出来る」
フォレストのナレーション:「僕はピンポンに凝り、相手のいない時でも一人で球を打った」
尿瓶に球を次々と入れてコントロールを磨きました。
次のシーンでは負傷兵士が集まって、フォレストの球さばきを見る慰安会のようでした。
フォレストのナレーション:
「皆は僕の事を『水を得た魚のようだ』と」
「どういう事かな?」
「ダン小隊長まで見物に来た」
ダン小隊長は窓を向いて不貞腐れていました。
こういった生きる希望を失った人をこのように『雑に』ユーモラスに扱っている所にこの作品の深さが感じられます。
人の悩みが不思議とちっぽけなものに見えてきます。
お笑いもペーソスといった感情を織り交ぜると不思議な効用を見せるものですね。
フォレストのナレーション:
「ピンポンにとりつかれてラケットを持って寝た」
真夜中、突然ダン小隊長がフォレストの首を掴み、思いをぶつけてきました。
ダン小隊長:
「人間には持って生まれた運命ってものがある」
「最初から決められてるんだ」
「部下と戦死すべきだったのに、俺のこのザマを見ろ!」
「両脚がないんだぞ。よく見ろ!」
「もう二度と歩けないんだぞ。貴様に分かるか?」
フォレスト:「分かります」
ダン小隊長:「話が分かったのか?」
「貴様のせいだ!」
「俺は戦場で名誉の戦死を遂げるはずだった」
「そういう運命を貴様がぶち壊したんだ!」
「俺の話が分かるか?」
「こんな事になるはずじゃなかった」
「俺の運命じゃない」
「俺はダン・テイラー中尉だった」
フォレスト:「今だってダン中尉です」
ダン小隊長:「俺を見ろ。どう生きればいい?」
「どう生きれば...」
ダン小隊長はこれから自分を見つめて受け入れることをしなければなりません。
今の彼の心はあの脚がなくなった戦場にいるままです。
現在にはまだありません。
フォレストの『今だってダン中尉です』と言った言葉が心の支えになってくれることでしょう。
フォレストが正直に言ったこういった言葉が、本当に真を捉えていて、演出の巧みさに驚かされてしまいます。
フォレストは先の戦場での仲間の救出で『栄誉勲章』を受けることとなりました。
それをダン小隊長に報告しにベッドにいきますが、彼は何も言わずすでに帰国していました。
フォレストのナレーション:「2週間後、僕も国へ戻った」
18.栄誉勲章と反戦運動
TVのナレーター:
「叙勲式に先立ち、大統領はベトナム戦争を更に拡大する必要性を述べ、4人の兵士に栄誉勲章を...」
『ミセス・ロビンソン』〜サイモン&ガーファンクル〜の曲が流れ、時代を感じさせます。
式には母の姿が誇らしげに映っています。
ジョンソン大統領:
「祖国から感謝のしるしを...」
「負傷をしたそうだな。どこに?」
フォレスト:「ケツです」
ジョンソン大統領:「危なかったな」
「見たいものだ」
フォレストは全国生中継のさなか、ズボンを降ろし大統領にお尻の傷跡を見せました。
ジョンソン大統領:「何て奴だ」
フォレストのナレーション:「ママはホテルで休むと言ったので、僕は1人で首都見物に出掛けた」
「ママがいなくてよかった」
「町は見物人でいっぱいだった」
「それも大声で叫ぶ行儀の悪い連中だ」
「何を見るのも行列だった」
反戦運動家たちの反戦集会とデモだったのです。
皮肉にも、叙勲式を受けたあと、知らずにバスに乗せられて、フォレストは反戦集会に参加することになります。
こういった何気にトラブルに巻き込まれる所はチャップリン作品のようでもありますね。
反戦運動家:「負傷兵のバスが来たわ」
フォレストのナレーション:「演説をしてる男がいた」
「アメリカの国旗のシャツを着てた」
「『F』のつく言葉を連発」
「何でもF...F...ばかり」
「彼がF言葉を言うたびに人々は大喜びした」
フォレストは壇上に呼ばれ、言葉を発するように求められます。
そこはワシントンD.C.リンカーン記念館のリフレクティング・プールで行われた反戦集会でした。
何万人もの大集会でした。
『F』の男:「前線の話を」
フォレスト:「ベトナムの話?」
『F』の男:「ベト『ファッキング』ナムだよ!」
『F』の男は観衆に向かって拳を突き上げます。
観衆は盛り上がり、フォレストのスピーチに注目が集まります。
フォレストのナレーション:「僕に言える事はたった1つ」
フォレスト:「僕に言えることはたった1つです」
「ベトナムでは...」
「.........(マイクが切られ音声が遮断される)」
「僕の話はそれだけです」
突如、戦争推進派の警備の男がスピーカーの線を抜いて、スピーチを妨害します。
フォレストのスピーチは肝心なところが聴衆には聞こえませんでした。
これには撮影当時の逸話があるそうです。
以下
本作には、ベトナム戦争で大活躍したフォレスト・ガンプが、ひょんなことから、ワシントンD.C.のリンカーン記念館のリフレクティング・プールで行われた反戦集会の壇上でスピーチを行うシーンがある。フォレストが話そうとすると、集会に反対する軍関係者がわざとマイクのプラグを抜いて、フォレストがどんな演説を行ったのかを群衆は聞きとることが出来ないというシーンだ。しかしトム・ハンクスが後日明らかにした話では、フォレストはこのように演説を行っていたという。“ベトナムに向かった人々は、時に足を失くしてママに再会することになったり、時には家に生涯帰れなくなることさえある。それは悪いことだ。ボクが言いたいのはそれだけなんだ。”ロバート・ゼメキス監督は、脚本家のエリック・ロスが出したスピーチのアイディアがどれも気に入らず、映画に関係していない親交のある俳優達にもアドバイスをもらったが、結局、どのアイディアにも納得がいかなかったため、苦肉の策としてマイクのプラグを抜いてスピーチの内容が聞こえないようにし、映画に出てくる幻の演説シーンに落ち着いたという逸話が残っている。~SCREEN ONLINEより~
『F』の男:
「すばらしい、その通りだ」
「君の名は?」
フォレスト:「僕はフォレスト・ガンプ」
『F』の男:「フォレスト・ガンプだ!」
19.生還の再会
ここでとても美しいシーンが始まります。
ジェニーとの再会です。
観衆の奥から、フォレストの名を叫ぶ女性が現れ、リフレクティング・プールに入水して歩いてきました。
ジェニー:「フォレスト!」
フォレスト:「ジェニー!」
フォレストは壇上から飛び降り、プールに入水してジェニーと再会を喜びました。
反戦運動のプラカード、当時のヒッピーの衣装を着た長髪でヒゲまみれの人々、そのような人々の真っ只中で、ジェニーと生還の再会をするシーンには涙なしには観れません。
何万人もの集会参加者が二人の再会を拍手して祝います。
圧巻のシーンです。
フォレストのナレーション:
「最高に幸せな一瞬だった」
「ジェニーと僕はまた豆と人参に」
「彼女は僕を案内して友達にも紹介してくれた」
それはブラックパンサー党の本部でした。
《ブラックパンサー党》
ブラックパンサー党(英: Black Panther Party、 BPP)あるいは日本語で黒豹党(くろひょうとう)は、1960年代後半から1970年代にかけてアメリカで黒人民族主義運動・黒人解放闘争を展開していた急進的な政治組織。1966年、カリフォルニア州オークランドにおいてヒューイ・P・ニュートンとボビー・シールにより、都市部の貧しい黒人が居住するゲットーを警察官から自衛するために結成された。共産主義と民族主義を標榜しており、革命による黒人解放を提唱し、アフリカ系アメリカ人に対し武装蜂起を呼びかけた。また、貧困層の児童に対する無料の食事配給や、治療費が無料の「人民病院」の建設を行った。
~Wikipediaより~
フォレストは夜景を窓から見ていました。
ブラックパンサー党員:「白いケツめ、俺たちは戦争してんだぞ」
ジェシー:「仲間なのよ」
ブラックパンサー党員:「いいか?黒人指導者を白ブタどもから守る戦いだ」
「奴らは黒人の女を犯し、黒人社会を潰そうとしてる」
ジェシーの恋人の党員:「こいつは?」
ジェニー:「前に話したフォレストよ」
「ウェスリーよ」
「UCLAの反戦委員会長で私と同棲を」
ブラックパンサー党員:「わかったか?我々は同志全員に助けの手を差し伸べる」
「我々『ブラックパンサー』は戦争反対だ」
「黒人を憎んでる国のためになぜ黒人が戦場に行くんだ?」
「前線で戦ってやっと国へ戻れば、自分の家で寝てて殺されるんだ」
フォレストはウェスリーがジェニーを平手打ちしたのを目撃しました。
怒りが込み上がったフォレストはウェスリーを押し倒して、何度も殴りました。
ウェスリー:「君をここへ連れてきたのが間違いだった」
フォレストはジェニーに弁解をしました。
フォレスト:「あいつ、君を殴った」
フォレスト達は本部を追い出されます。
ジェニー:「行くのよ」
フォレスト:「ごめんよ、ブラックパンサーたち」
外に出て二人は歩きます。
ジェニー:「彼はカッとしただけよ」
フォレスト:「僕は君を殴らない」
「君のボーイフレンドになりたい」
ジェニー:「...」
「軍服を着ると素敵よ」
「とてもハンサムだわ」
ジェニーは笑顔で微笑みます。
フォレストといると安心するのでしょうね。
自分の劣等感を刺激されないというのもあるでしょう。
ですが、しばらくフォレストといると自身の劣等感を彼に投影して嫌な気持ちになるのですね。
ジェニーは自分を受け入れることがまだ出来ていませんでした。
何か大きなものにすがりつく生き方。
今は政治思想や思想家に『依存』状態なのですね。
自分が大きく見える幻想の中にいるのだと思います。
フォレスト:
「最高だな」
「僕らの国の首都で君と一緒」
ジェニー:「本当に最高ね」
フォレストのナレーション:「ジェニーと僕は話しながら一晩中歩いた」
「彼女が方々を旅をした話」
「どうやって心を広げる方法を見つけ、調和を見出したか」
「カリフォルニアにはそういうものがあるらしい」
『花のサンフランシスコ』〜スコット・マッケンジー〜の曲が流れます。
フォレストのナレーション:「僕らだけの素晴らしい夜だった」
「終わらないでほしかった」
フォレスト:「行かないでくれよ」
ジェニー:「行かなくては...」
ウェスリー:「ジェニー、カッとなって悪かった」
「ジョンソン・クソ大統領のせいだ!」
「殴る気はなかった」
フォレスト:「ジェニー、君は故郷に帰るべきなんだよ」
「アラバマにね!」
フォレストにもジェニーは明らかに病んでいるのが分かったのだと思います。
いいえ、ジェニーを愛しているからこそ、故郷に帰って心を癒やして欲しかったのだとおもいます。
ジェニー:「フォレスト、私たちの道は違うのよ」
ジェニーはまた自身の幻影を追い求めることを選んでしまいます。
自分の価値を探しながらの辛い旅を続けます。
愛情の飢餓のため、大いなるものを求め続けます。
他人に利用される人生がしばらく続きます。
フォレスト:「君にこれをあげる」
フォレストは受け取った栄誉勲章をジェニーに渡しました。
ジェニー:「もらえないわ」
フォレスト:「君の言う通りにしてもらった物なんだよ」
ジェニー:「なぜ優しいの?」
フォレスト:「恋人だもの」
ジェニー:「そう、永遠にね」
『虚無感』でいっぱいのジェニーには、フォレストの優しさが心に染みてくるんですね。
ジェニーは帰るべき場所がどこなのか徐々に気づき始めます。
『ターン・ターン・ターン』~ザ・バーズ〜 の曲が流れ、ジェニーは出発しました。
20.ジョン・レノン
フォレストのナレーション:
「そのまま彼女はまた僕の前から消えた」
「ベトナムへは戻らず、僕はピンポンで共産主義と戦う事になった」
「特別奉仕隊に入って、方々で負傷兵を慰問しながらピンポンを見せた」
「腕を買われて、全米代表卓球チームへ」
「アメリカ人の中国訪問は何百万年ぶりとかで、『世界平和を担う者』などと言われた」
「でも僕はピンポンをしただけだ」
「なのに国へ戻ったら有名人になっていた」
TVショーにジョン・レノンといっしょに出演しました。
司会:
「フォレスト・ガンプさんです」
「ジョン・レノンだよ」
「中国へ行ったなんて...どんな国だった?」
フォレスト:「中国って国は人は何も持ってません」
ジョン・レノン:「何にも?」
フォレストはジョンに対して、『何だろうこの人』というような顔をしました。
フォレスト:「中国人は教会に行きません」
ジョン・レノン:「宗教もない?」
司会:「想像(イマジン)できん」
ジョン・レノン:「努力の問題さ」
フォレストのナレーション:「数年後、英国から来たその若者はファンのためにサインをしてて、何の理由もないのに誰かに撃たれた」
ジョンレノンの『イマジン』の歌詞そのままですね。
オマージュですね。
~『イマジン』(IMAGINE) by ジョン・レノン~
♫ Imagine there's no countries
想像してごらん 国なんて無いんだと
♫ It isn't hard to do
そんなに難しくないでしょう?
♫ Nothing to kill or die for
殺す理由も死ぬ理由も無く
♫ And no religion tooそして宗教も無い
♫ Imagine all the people
さあ想像してごらん みんなが
♫ Living life in peace
ただ平和に生きているって...
21.ダン小隊長の生活
フォレストが収録スタジオから出ると、何とダン小隊長が車椅子で待ち構えていました。
ダン小隊長:「議会から栄誉勲章をもらったそうだな」
フォレスト:「ダン小隊長だ」
「ダン小隊長!」
ダン小隊長:「聞いたぞ。議会から栄誉勲章を?」
フォレスト:「もらいました」
ダン小隊長:「あきれたな。お前なんかに?」
「テレビに顔を出して、全国民の前でトボけた事をしゃべるお前に、栄誉勲章だと」
フォレスト:「そうです」
ダン小隊長:「あきれてものが言えんよ!」
「いや、一つだけ言おう」
「こんな国、クソ食らえだ!」
去ろうとするダン小隊長は、スロープに残った雪に車椅子がすべって倒れてしまいます。
ダン小隊長は、名誉のために生きてきた男です。
フォレストが勲章を受けたのを聞いて、悔しくて絡んできたのですね。
そのまま、フォレストはしばらくダン小隊長の世話をします。
フォレストのナレーション:
「小隊長はホテル住まいで、脚がないのでもっぱら腕を強くする運動をしていた」
想像するに、酒をあおる腕の仕草の事だと思われます
フォレスト:「このニューヨークで何を?」
ダン小隊長:「政府のお乳を吸ってんのさ」
フォレスト:「僕は小隊長とクリスマスを祝った」
TV:「皆さんに神の祝福を!」
ダン小隊長:「キリストを見つけたか?」
フォレスト:「見つかるんですか?」
ダン小隊長は苦笑して答えます。
ダン小隊長:
「手足を失った兵隊が病院で話すのはその事だけさ」
「キリストが何とか、キリストがどうとか」
「『お前は彼を見つけたか?』」
「牧師まで俺の所に現れた」
「『神は祈りを聞き給うが自分の努力も必要だ』」
「『神を受け入れれば、神と共に神の王国を歩ける』とな」
「そう言いやがった!」
「『歩ける』『神の王国を歩ける』と言いやがった」
「ケツにキスしやがれ。何が『祈りを聞き給う』だ」
「ペテンだ!」
フォレスト:「僕は天国へ行きます」
ダン小隊長:「その前にひとっ走りして酒を買ってこい」
フォレスト:「イエス、サー」
大晦日の夜でした。
二人はバーへ酒を飲みに行きます。
ダン小隊長:「入り江に何があるんだ?」
フォレスト:「エビ捕り船です」
ダン小隊長:「エビ捕り船?それがどうした?」
フォレスト:「金を貯めて1隻買うんです」
「ベトナムでバッバと約束を」
「戦争が終わったら彼が船長で僕が一等航海士になるって」
「彼は死んだから僕が船長です」
ダン小隊長:「エビ捕り船の?」
フォレスト:「そうです。約束は約束です」
ダン小隊長は大笑いして叫びました。
ダン小隊長:
「皆、聞いたか?」
「ガンプ上等兵がエビ捕り船の船長だとさ!」
「お前が船長になる日が来たら、俺が一等航海士だ」
「お前が船長になったら、おれは宇宙飛行士になる!」
ダンの知り合いの女性:「誰なの?」
フォレスト:「僕はフォレスト・ガンプ」
ダン小隊長:「ズル賢いカーラと長いアンヨのレノーラだ」
カーラ:「しばらく顔を見なかったわね」
「クリスマスに無料でターキーを食べられたのよ」
「珍客が来てたもんでね」
レノーラ:「あたしたちもタイムズ・スクエアに行ったの」
「新年って大好き。またやり直せる」
「心を入れ替えてね」
何気なセリフですが、いい言葉ですね。
人は何度も失敗や過ちを犯しても、何度だってやり直せるんですね。
限界を決めるのは自分自身ですね。
フォレストのナレーション:
「この騒ぎの中で僕はジェニーの事を考えた」
「彼女は大晦日の夜をカリフォルニアで?」
彼女の生活はさらに荒んでいました。
コールガールのような服を着て、男の部屋を出ていくジェニーのシーンが挟まれます。
フォレスト:「新年おめでとう!」
ダン小隊長は車椅子なので他の人より少し背が低いんですね。
バーのカウンターから頭だけが見えています。
色とりどりの紙くずが呆然と『空虚感』に襲われたダン小隊長の頭の上に掛けられた様が私達に悲愴感を漂わせています。
ダン小隊長のホテルに戻り、4人はそれぞれカップルになりますが、フォレストはレノーラを拒否して、倒してしまいます。
レノーラ:
「何すんのよ、バカ!ひどいわ」
「戦争でアレを飛ばされたの?」
カーラ:「あいつはバカなの?」
ダン小隊長:「何だと?」
「『バカ』と呼ぶな!」
ダンはカーラを突き飛ばしました。
ダン小隊長:
「『バカ』と呼んだら許さんぞ!とっととうせろ!」
「メス豚どもめ!」
「出てけ!」
ダンは勢い余って車椅子から出て、無様に倒れてしまいます。
それを見た女たちは嘲笑し、罵声を浴びせて出ていきました。
フォレストは手を貸そうとしますがダンは拒否しました。
フォレスト:
「せっかくの夜をすみません」
「あの女、タバコの味で...」
フォレストのナレーション:「人にはそれぞれ嫌いなものがある」
「小隊長は『障害者』という言葉。僕は『バカ』という言葉だ」
ダン小隊長:「新年おめでとう、ガンプ」
この時からフォレストはダンに受け入れられたのだと思います。
~PART3へ続く