先週、大阪で開催された日本獣医学会に参加してきた。私も学生時代、発表したことがある学会であれから数年しかたたないのに随分時間がたったように感じる。参考になる発表演題もあったりして充実した時間を過せたと思う。勿論、大阪観光も含めて。


今年も多くの学生が発表を行っていたが、数年前は私も彼らと同じ学生の身分でこの学会に臨んでいた(先生の陰謀で参加させられていた 笑)。


自分の実験したデータをパワーポイントでまとめていきなり本番で発表・・・というわけでは勿論なく、事前に先生や上司の指導の下、「予演会」というものを行うのがどこの機関でも常であろう。


この「予演会」で先生や上司の細かい指導の下、自分の作成したパワーポイントスライドの訂正、さらに研究内容から想定される質問対策を練ったりする。勿論、本番に即した厳しい指摘を何度もくらいながら、本番に向けてベストのものに仕上げていく(学生の発表は学生自身より先生の責任が大きいので、先生方も必死になるのだと思う)。


その中で大学時代に指導していただいた先生に言われた一言を今も鮮明に覚えている。


「あのね、発表の舞台に立てば学生とかそんなの関係ないの。学生でも『先生』。立場に甘えてはいけない。その研究に対しては自分が一番勉強してるはずだから、堂々と発表しなさい」


社会人になって業務で参加する学会で、大学時代の専門でなかったり、苦手科目だったり、上司に発表を強制されたりとかいう理由で平気で「私は○○が専門でないのでわかりません」とか言う人がたまにいる。学生でも言わないようなことを社会人となった獣医師が学会発表の場で言うのを聞くと同じ獣医師として恥ずかしく思う。


私は別に研究や発表の内容がまずいとか症例の診断が間違っているとかは正直どうでもいいと思っている。大学の先生や経験のある先生のほうが私のような若造の獣医師より知ってるわけだから、わからないことや診断の間違いは彼らが答えてくれたり指摘したりしてくれるはずである。


一番大事なことは発表演題に関しては壇上に立つ以上、自分自身が誰よりも「プロフェッショナル」でなければならないから、関連分野を一生懸命勉強して準備することだと思う。予想もしない質問が飛んできてわからなくても、気持ちが逃げ腰な人とは心の余裕が違うと思う。


目の前の現実から安易な理由で逃げないこと、自分の責務(発表演題)を全うすること。


私は学生時代の学会発表を通じて、そのことを先生から学んだ気がする。それは社会人の仕事にも通じるところがあると感じてる。


そんな私も近いうちに学会発表をする予定。とにかく真摯に、ひたむきに、症例と研究を向き合おうと思っている。