何を隠そう、俺は人前で話すことが苦手である(特に女性と)。


職業上、どうしても説明義務で人と話す機会が多いが、たどたどしく、相手はきちんと理解できてるのかなと話しながら自分で心配になるほどだ。


そんな自分が学生時代に学会で研究発表を行ったことがある。


何らかの形で学生時代にやったことを残しておきたいと思っていた自分にはまたとないチャンス。先生の方から積極的に持ちかけられた依頼に乗る形でやることとなった。


学会までの1ヶ月間、これまで得られたデータをまとめて結論をつけ、そして各大学のお偉いさんから矢の如く浴びるであろう質問を想定しながら発表に関連した論文をひたすら読み漁る・・・


こんな作業を土日も昼夜も関係なしに行ってきた(夏休みも潰れた・・・。この間就職活動も並行)。


そんなこんなで迎えた学会発表当日。


俺の順番は初日の2番目・・・・。


事前に順番は分かっていたけど、朝からかつてないほど気分が悪くて会場までの道のりで吐きそうなくらい緊張していた。


最初の発表者が登壇したとき、自分は次演者席に移動。


胸の鼓動が周囲に聞こえないか心配になるくらい強い拍動を刻んでいた。


最初の発表者が終わり、早くも自分の番。


最初の演者と入れ替わりで登壇。


名前と発表演題が座長の先生にアナウンスされた後、マイクを握る。


ふと、どういうわけか心臓の鼓動が弱くなり、急に周りを見渡せるくらい落ち着いた。


原稿をよどみなく読む―


スクリーンに映し出されたスライドにレーザーポインターを当てながら適宜説明―


予定の発表を終える―


無事乗り切った。


そして壇上から顔を上げて前方に並んでいる学生や大学のお偉い先生方を一瞥する。


・・・・全員がぽかーんとしてる・・・・・


その原因は・・・


予定時間の7分よりも短い5分58秒で原稿を読み終えてしまったこと。


原稿をよどみなさすぎなくらいの速さで読んだから彼らはイマイチ内容が掴めなかったようだ・・・。


おかげで質問も座長の先生からしかなくて、楽でよかったんだけど・・・。


夜のお疲れ様会では研究室の先生に冗談交じりにチクチクいろいろ言われた。


なんだかんだで緊張してたんだなと思った。


でも先生に言われた一言がすごくうれしかった。


「お前は自分が思っているより実力あるんだからもっと堂々とすればいい」



でもこの学会発表のおかげで学校での卒論発表会とかではほとんど緊張しなかったので少しはいい薬になったのかなと思う。


今年はこの学会発表以来、たいしたところでの発表ではないけど何かしらの症例報告とかをできればと思っている。


まあ学会もいいけど、女性にも緊張せずにもっとうまく言いたいことや気持ちを伝えられるようになるといいな(笑)。


冗談はさておき、学会発表って自分が経験したことをほかの人に還元する場なのでパフォーマンス的なことはしないで粛々と誠実にやってきたことをうまくまとめて誰かが同じような症例に出会ったときに参考になるようなことを発表できればなといつも思ってる。