もともと、

油絵か彫刻をやりたかった。

仕事としては、芸術では食べていけないと言う親の刷り込みのおかげで

手に職の道.......美容師へと心は決まっていたが、

ただ、

創作活動に身を投じたかった。










こないだの弾丸カニづくしバスツアーで

久々に丸一日母と過ごし、

たくさんのことを話した。


お互いにハグをしているおかげか、

これまで経験したことのないほど、

愚痴も不平不満もない、

笑いに満ちた1日となった。




。。。。。。いやいや、
一人暮らしのお年寄りは、
不平不満愚痴がほとんどでしょ?
母といると、
キーキーきゃんきゃん、
文句しこたま言い続けるのは正直きつかった。

が、

ハグのおかげで自分を愛し始めた母は、

それはそれは優しくって可愛らしい笑顔で

楽しそうによく笑い、

一人で喋っている。

何か、
自分の中の思いを確かめるかのように.....

朗らかに1日が過ぎた。






その会話の中で私は

絵を描くのが楽しくてやめられない。

アクリル絵の具って楽しくって....



と話した。






もともとこの母に絵心があり、

彼女の血が、

私、

そして息子たちへと流れている。




彼女の子供の頃の話にも絵の話。


そして彼女の記憶に残る私の絵のこと......


「あの時、絵を習わせてやるべきだった。
あのおっさんがあかんって言うたんや....
(おっさんとは私の父親のこと。彼らも離婚している。)
結局金や。
あんたの絵の学校の金を出したくなかったんや」




...........だそうだ。



それぞれの夫婦の事情

それぞれの家庭の事情

親としての人間性




いろいろあるよね。











ちょうど中学3年の秋になる頃だ。


たまたまいつも買っているマンガに、

いっつもいっつもついてるハガキ





[  講談社フェーマススクールズ  ]

このおじいさんに、影を書き込んでみよう





で、送るというもの。

アーティスト排出の先駆け的なものだったんだろうか.....


何度もなんどもそのハガキを見て、

何度も影を描き込んだ

でも、投函はしていなかった。

でもある時、

ふと送ってみたくなって送った。


そしたら程なく
「是非当スクールで学んでみませんか?」

てな封書がやってきた。




行きたい
行ってみたい




思い切って親に話す。


お腹が痛いことも言えなかった子が、

こんなこと話すなんて勇気がいったことだろう。
(もう覚えてない)



とりあえず、

見学においでくださいとのこと、

親とともに出かけて行った。











数日して親から言われたのは、


「今のりちゃんは中学3年だよね。
これから受験だよね。
あのね、高校の受験は今この一回しかないんだ。
でも、のりちゃんはまだこれから高校に行くんだし、絵の勉強はこれからいつでもできるんだよ。
だから今回は受験に専念してほしい。
またもっと大人になって学校に行きたいなら、
その時は相談にのるよ。」



てな具合だった。









私はそのまま高校進学、

もともと仕事と決めていた美容師の道へ進んだ。





絵描きでは食べていけないっていうし.....

美大に行くって選択肢は思いつかなかったし、

勉強したくなかったし......






自分では何1つ後悔していない。

父親のあの時の言葉にも深く納得したのを覚えている。

だって、高校受験はこの時限り.....

ごもっともだ。




でも、

高校受験は、

絵の勉強しながらでもできると思うけどな......


って感じたのも事実だ

でも言わなかった。

もともと親が首を縦にふるとは思っていなかた。

ただ、

スクールの見学に一人で行く勇気はなく、

一緒に来てくれるような友人も持っていなかった。

というか、

そんなこと、

人に話すタイプではなかったから......












あれから33年目にして明かされる真実.....

      【  お金   】





今、

絵を描いてて

母が言った真実をふと思い出した。





親のことを批判するつもりはないし、

恨んでもいない。

別に今この人生に大変満足している。

しかもまだ夢を追いかけている。




ただ、

自分の息子たちのために、
お金のせいで彼らの夢の種を潰してしまうことはしたくない。


できる限り、

夢を一緒に追いかけることのできる親でありたい。

人として、

それができる私でいたい。


強くそう思う。










ハグがもたらす気づきは多い。


でも、

間違いなくみんなが幸せなんだね、

生まれてきた、

ただそれだけで。