このブログを始めようと思ったきっかけ

それはこのリサという猫との

これまでずっと心の奥でくすぶり続けて来た

 

どうしても払拭できない

辛い思い出による。

 

心から

すまない

 

本当に申し訳ないという懺悔の気持ちを

いつか

何らかの形で届けたいという思いが常に強くあった。

 

結局

それに対する納得のいく答えを見つけられないままではあるが

ノラ猫たちを出来るだけ助けてあげるという行為によって

自分なりに償いの気持ちを僅かではあるが表してきたつもりだった。

 

と同時に

やはりそれだけでは物足りないという気持ちからも

ずっと逃れられずに苦しんできたのも事実である。

 

リサというメスの成猫

長毛の茶色のタビーで美人(猫)であった。

 

いつの頃か私たちの部屋に来ては

ベッドの上を静かに歩いたりしながら過ごし

私たちはそれを微笑ましく見つめていた。

 

だが野生の動物に子孫を残すという本能

妊娠はつきものである。

 

健康な雌猫

リサもノラ

避妊などしているわけはなかった。

 

やがてリサも妊娠するようになった。

 

それも毎年。

 

最初は面倒を見ることが出来た。

 

しかし

数が増えるにつれ

悩みの種となり

 

その結果

夫に頼んで捨てに行ってもらったり

自ら

ミルクを飲んで無邪気な格好で

すやすや眠っている赤ちゃん猫たちを

そっと箱に入れて捨てに行ったこともあった

 

また

義母がいつの間にか捨ててしまっていたということもあった。

 

当然

生まれて間もない赤ちゃん猫

助かるわけなど無い

 

母猫なしで

皆お腹を空かして

寂しい思いをしながら

亡くなっていったことであろう。

 

今も尚

あの時の

 

箱に入れられながらも

まだスヤスヤと

思い思いの可愛いポーズで

時折欠伸をしながら

無邪気に眠っていた

 

あの赤ちゃん猫たちの姿が

瞼の奥に焼き付いて消えない

 

 

そして

最も辛く苦しい出来事

 

それは

或る雨の日の夜に起こった

 

益々激しくなっていく雨の様子に

リサは赤ちゃんたちのことを心配したのであろう

 

私たちの部屋の前に赤ちゃん猫を連れて来て

鳴き続けた

 

生まれたばかりであろう赤ちゃん猫も

リサと一緒に一生懸命に鳴いていた

 

私は迷った

 

しかし

一匹入れてしまうと

全ての赤ちゃんを抱えてしまうことになる

辛い決断をしなければならなかった。

 

リサは随分長いこと部屋の前で鳴いていた

 

懇願するような

悲痛な鳴き声だった

 

そのうち

 

リサと赤ちゃん猫の鳴き声が

赤ちゃんだけの小さな鳴き声に変わった

 

やがて

そのか幼い声も絶えた

 

翌朝

部屋の前に

 

生まれたばかりの

ちっちゃな

ちっちゃな赤ちゃん猫が

 

たった一匹で

氷のように冷たい冷たい体で

横たわっていた

 

生まれたばかりなのに

たった一匹で孤独に死んだ

あのちっちゃな赤ちゃん猫の

 

あの氷のように冷たい感触が

今でもこの両手に残っている。

 

凍えるような寒さの中

生まれたばかりなのに

たった一匹でさぞ辛かっただろうと

怖い思いをしただろうと

 

ごめんねと

その言葉を吐くことすら

罪の深さから

戸惑う自分がいる

 

しかし

今も尚

ごめんねという

 

その言葉しか

見つからない。

 

数日後

リサは

亡くなった他の赤ちゃんを

自ら食べていた。

 

 

あの頃

あそこは私たちだけの家ではなかった。

 

どうしようもなかった。

 

あれから4年

 

今もリサの姿を探してみるのだが

あれ以後見かけない。

 

本当にあの頃は

どうしようもなかった。

 

この言葉だけが

今も尚

頭の中をぐるぐる駆け巡っている。