初めて見る被告人


マスクをして

目の下まで前髪を伸ばし

まるで顔も表情も読み取れなかった


事故後 2か月ほど入院して

それからどう過ごして来たのだろう

途中退院して弁護士が付いてから

黙秘した


煮え繰り返る怒りが湧いたが

弁護士さんに

拷問などにより自白強要を防ぐ

弁護士さんがそれによってやりにくくならないための当然の権利だと聞くさっきまで

どんなヤツだと思っていた


もっと自分を擁護して

決められたセリフを並べるのかと思っていたので

本当の事を言ってる?

謝罪文以外は

そんな不自然さを感じない一幕もあった


そして助手席の子は

息子の友達にしては珍しく

真面目でおとなしそうな文系

長時間の尋問では良く考えて丁寧に言葉を選び

でも最後に力強くハッキリと

「危険運転致死傷罪にして欲しいです」

そう言った。


涙が出た

本当に立派だった


事故前後を全て知り

大切な友人を2人亡くし

自身も未だリハビリに通い

その後大学に戻って

その毎日がどんな思いか


私達のように弁護士がついてるわけでも

サポートを頼む訳でもなく

自分の意志で

父親に支えられながら

全日程参加して最後まで見届けてくれた


途中で知ったがお父さんも

自費で初回から毎回通い

メモを取り

最後までご参加くださった

聞けばそれなりのお父様だった

我々皆親として同じ年頃だろうが

そのお父さんも真面目そうで

笑うと優しく

半世紀近く生きてきた

その人となりが滲み出ているオーラ


もう一人の被害者のご両親共に

こんな形で会いたくなかった

長く接客業した私でもあまり無い

出来た方々


そしてココに来ていない約一名


交わり得ない

人間性の違いを実感してしまった