私はあまり日本の歌謡曲を聞くことがありません。



最近、息子がテレビを見て感動していたので、たまたま私も一緒になって見ていました。




その番組で、さだまさしさんの「風に立つライオン」という曲を紹介していました。



さだまさしさんの曲で、私が知っている曲といえば「関白宣言」…。



大ヒットした曲ですね。



叔母に連れられて、さださんのコンサートに一度だけ行ったことがあります。

さださんは、とてもお話もお上手で歌だけでなく、トークでも観客を盛り上げることができるサービス精神の旺盛な方でした。



おそらくその時に聞いたのか、テレビで紹介された「風に立つライオン」を聞いて、聞き覚えのある懐かしい感じがしました。



でも、その曲がつくられた背景の説明を聞いた後に、この曲を聞いたために、涙が止まらず感動が倍増しました。




この曲の詩は、アフリカで医療活動に参加する日本人の青年医師が、日本に残してきた恋人から届いた手紙に対して返信する、彼の思いがいっぱい詰め込まれた内容の文面でした。




切ないんですけど、青年医師の手紙の内容は感動するんですよね。




曲の最初に流れるアフリカの大地を思い浮かべるようなパーカッションで聴衆をアフリカまで一気に引き込んで、そして間奏に流れるアメイジンググレイスが心を静かにさせてくれます。




何よりも、胸を打つ詩は本当に素晴らしいです。



アフリカの美しい壮大な自然や、貧しい暮らしであっても、心が純粋で美しい瞳の輝きを失わないアフリカの人々に対する思い。

そんな人々を助けたい思いが強い反面、日本へおいてきた恋人や家族に対する思いや、忘れられない日本の桜の光景…。




そして、最後に、この青年医師が何を彼女に伝えたかがわかるのですが、涙涙で聞いてしまう曲なんですよね。




この曲は、さださんの知り合いで同郷の実在する青年医師から聞いた経験に、さださんが感動されて作ったそうです。



実話だからこそ、このような重みのある感動的な曲がうまれるのでしょうね。









私の姉のご主人の実のお兄さんは、若い頃、JAICA(青年海外協力隊)に参加し、発展途上国の方たちの力になれるようにと励んでいましたが、その国では日本人の活動に対して理解されなかったのか、不幸なことにその国のゲリラに拉致され射殺され、遠い国の地で命を落としました。



大変ショッキングな出来事で、当時の日本のニュースでも大きく報道されました。




さださんの「風に立つライオン」を改めて聞くと、男の人の信念を貫く姿勢の強さは、女性にない強い面がありますが、亡くなられたお兄さんも、この青年医師と同じ思いを持っていただろうなと、感じました。





 








風に立つライオン


作詞・作曲 さだまさし

突然の手紙には驚いたけど嬉しかった
何より君が僕を怨んでいなかったということが
これから此処で過ごす僕の毎日の大切な
よりどころになります ありがとう ありがとう

ナイロビで迎える三度目の四月が来て今更
千鳥ヶ渕で昔君と見た夜桜が恋しくて
故郷(ふるさと)ではなく東京の桜が恋しいということが
自分でもおかしい位です おかしい位です

三年の間あちらこちらを廻り
その感動を君と分けたいと思ったことが沢山ありました

ビクトリア湖の朝焼け 100万羽のフラミンゴが
一斉に翔び発つ時 暗くなる空や
キリマンジャロの白い雪 草原の象のシルエット
何より僕の患者たちの 瞳の美しさ

この偉大な自然の中で病と向かい合えば
神様について ヒトについて 考えるものですね
やはり僕たちの国は残念だけれど何か
大切な処で道を間違えたようですね

去年のクリスマスは国境近くの村で過ごしました
こんな処にもサンタクロースはやって来ます
去年は僕でした
闇の中ではじける彼等の祈りと激しいリズム
南十字星 満天の星 そして天の川

診療所に集まる人々は病気だけれど
少なくとも心は僕より健康なのですよ
僕はやはり来てよかったと思っています
辛くないと言えば嘘になるけど しあわせです

あなたや日本を捨てた訳ではなく
僕は「現在(いま)」を生きることに思い上がりたくないのです

空を切り裂いて落下する滝のように
僕はよどみない生命(いのち)を生きたい
キリマンジャロの白い雪 それを支える紺碧の空
僕は風に向かって立つライオンでありたい

くれぐれも皆さんによろしく伝えて下さい
最後になりましたが あなたの幸福を
心から遠くから いつも祈っています

おめでとう さようなら