「悪霊が、14万4千人の地上の残りの者である姉妹を攻撃してきたという事は、いよいよ終りが近い!」と会衆の姉妹達は、ただ事ではない出来事に緊急感を持っていました。


「エホバの証人だけが、真理の神を崇拝しているからサタンは攻撃してくる。」

「真理ではない世のキリスト教の『自称クリスチャン』は、真理を持っていないから、偽物だからサタンからの攻撃は受けないし、信仰の試みにも遭わない。聖書中の人物はみな迫害を経験しているし、ナチスでもエホバの証人が迫害を受けた。」という理屈から、姉妹達の信仰は一層熱心になったようでした。


※JWは自分たちだけが真のクリスチャンであり、世のキリスト教の信者を自称クリスチャンと呼んで差別化します。

キリストを神として信じて受け入れている者が「クリスチャン」と言われる者であり、JWはエホバを神として信仰しているので、本当はJWが自称クリスチャンなんですけどね。

JWは「クリスチャン」の意味を理解していません。




私も、その理屈から「真理だから攻撃されるんだ。天的級は本物なんだ。本当に終りは近いんだ。本当にこの組織は本物なんだ。」と、熱い思いがこみあげてきて感動しましたし、エホバに対して、組織に対して「確信」が強まってきたようでした。


エホバに対して、組織に対して、この今抱いている確信をより一層強く持つために、一日も早く天的級の姉妹と個人的に交わり、いろんな事を聞いて質問して、いろんな事を教えて頂きたい。

そしてこの確信をもっとゆるぎない確固とした確信にしたい…と本当に純粋に心から思いました。



本当に真理を求めていたんです。

本当にエホバの証人になりたかったですし、エホバのために働きたかったし、今、地上で苦しみ、もがいている人たちがエホバを知る事で希望を持って幸せに生きることができるんだと心から信じていました。




そして、だいぶ月日が経った頃、天的級の姉妹の食事招待に、ついに私にも声が掛かりました。




天的級の姉妹と近しい姉妹から、天的級の姉妹はお寿司が大好きだと聞いていたので、知り合いの「小僧寿し」の店長にお願いして、結構豪華なサービスまでして頂いたパーティー用のお寿司を持って、食事招待場所の姉妹宅を訪ねました。


少人数ではあったのですが、姉妹にたくさん召し上がって頂きたかったですし、特開者は質素な生活をしていらっしゃるので、ぜひこのような日だけでも少しだけ贅沢な思いをされてもいいんじゃないだろうか…と、ただただこちらとしては、「喜んで頂きたい。」「おもてなしをしたい。」という気持ちだけでした。



周りの姉妹達は気を遣って下さって、ご自分たちが腕を振るって作った料理よりも、研究生の私が用意した「小僧寿し」のお寿司をその日のメイン料理としてテーブルの真ん中に置いて下さいました。





かなり目立ちました。




私は天的級の姉妹が、いつお寿司に手を伸ばして下さるのかドキドキしながら待っていました。


姉妹が「美味しい」って言って下さった時、何て返事しようか…などと一人でいろんな事を考えて緊張しました。



天的級の姉妹は、テーブルに並んだ食事に笑顔で「これは●●姉妹の手料理でしょ?私、姉妹のこの料理大好物なのよね。」と、一つ一つの手料理にコメントを下さいました。


「姉妹の料理はいつもハズレがないわよね、どれも美味しい」と誉めてもらったり、「私の好きな味付けだわ」と天的級の姉妹から「美味しい」「美味しい」と言われた姉妹達は、みんな嬉しそうでした。






ところが、なかなかお寿司に手を伸ばしては下さいませんでした。




「もしかしたらお寿司は嫌いだったのだろうか?…好きなネタが入ってないのだろうか?…刺身は生ものだから、お寿司を嫌う人もいるだろうけど…でも、お寿司が好きだと聞いていたんだけど、私の聞き間違いだったんだろうか…」と、だんだん不安になってきました。



なかなかお寿司に箸をつけない天的級の姉妹に、一人の姉妹が「姉妹がお寿司が好きだと聞いて、今日はAngeさんがお寿司を持ってきてくださったのよ。

イクラの軍艦寿司がたくさん並んだお寿司って、すごく贅沢ね。

美味しそう。

どうぞ、姉妹から好きなお寿司を頂いて」と勧めてくださいました。





『イクラの軍艦寿司』と聞いた天的級の姉妹が、「姉妹、もしかしてこれ本物のイクラだと思ってるの!?と、急にケラケラ笑い始めました。





そう質問された姉妹も、当然私も天的級の姉妹が何を聞いているのかすぐに理解できませんでした。



質問された姉妹は驚いたように目を見開いて「えっ?イクラに本物と偽物があるの?」と聞き返しました。


天的級の姉妹は更に大声で笑いながら「えぇっ~?姉妹、知らないのぉ~?これ『人工イクラ』だよぉ~本物のイクラじゃなくて、イミテーションなの!という言葉に、その姉妹も当然私も「何?『人工イクラ』って????」という反応でした。



天的級の姉妹は、「これ、小僧寿しのお寿司でしょ?小僧寿しが本物のイクラを使うわけないじゃない!(笑)

あっ?もしかして『人工イクラ』を知らないってことは、姉妹はサラダなんかにもよく使う『カニ棒』も本物のカニだと思ってない?」と聞いてきました。


周りの姉妹達は「えっ?人工イクラって何?何?」「えっ?カニ棒ってカニじゃないの?」と、自分たちが本物だと思っていた食品が、じつはイミテーションだったという話題で盛り上がり、天的級の姉妹は得意気に「姉妹達が本物だと思っているカニ棒の品質表示を見てごらんなさいよ。本物のカニなんて一切使用されてませんよ。

確か『カニエキス』って表示がされていると思うわ。

香りも味も本物に似せて作ってるのよ。

模造品、イミテーションなのよ。」と話すと、食事招待の家の姉妹が、「あっ!うちの冷蔵庫の中に今『カニ棒』があるから見てみる」とキッチンから急いで持ってきました。



家の姉妹が手にしたカニ棒に、みんなの視線が集中しました。


確かに天的級の姉妹がおっしゃるように、本物のカニの肉は使用されておらず、「カニエキス」と記票されていました。


その事実を知った姉妹達は「ホントだぁ~!」と、目からウロコ状態で「確かに考えてみてもそうだよね。本物だったら、こんな安くで買えないよねぇ~」と、自分達がいかに無知だったかということを知って驚いていました。


それから天的級の姉妹が、人工イクラはどうやって作るのかを面白おかしく説明して、周りの姉妹達を自分の話に引き込んでいました。


天的級の姉妹は行き付けの割烹があるようで、本物の食材にこだわり感を持っていらっしゃいました。


本物の味を知っていらっしゃる方の、「美味しい寿司とはどのような物なのか」という話を聞いていると、小僧寿しの寿司を「どうぞ召し上がって下さい」と勧めることは、とても恥ずかしくて言えませんでした。


結局その日、私が持ち寄ったお寿司は天的級の姉妹に一つも召し上がって頂けず、他の姉妹達も、あれだけ本物のお寿司の味を語られた天的級の姉妹が、小僧寿しのお寿司に手を付けないことは口には出さずとも納得されているようで、誰一人、目の前のお寿司の話題をすることはなく、気が付いたら軍艦寿司の海苔も、最初は立派に青々としてパリパリ張って人工イクラを堂々と囲っていたのに、真黒く変色して、何とも頼りなくしなびた姿に変わっていました。



マグロも艶を失い乾燥して干からびはじめてしまいました。




そろそろ食後のコーヒーとデザートの時間だということで、テーブルの上の料理を下げて、招待宅の姉妹が手際よく残った料理を折り詰めにして他の姉妹達に持たせてくださいました。



折り詰めの中に小僧寿しのお寿司がたくさん入っていたのを見るのは、何とも寂しかったことを今でも覚えています。



天的級の姉妹に喜んで頂きたいという思いが強かっただけに、リーズナブルで小市民が口にするようなお寿司を持って行くなんて、天的級の姉妹に対して大変失礼なことをしてしまったと心が痛みました。


笑顔を失っていた私に、一人の姉妹が気づいて下さり「Angeちゃん、今日はお寿司ありがとう。うちの家族みんな小僧寿しが大好きなのよ。残ったお寿司、頂いていくね。」と優しく声を掛けてくださいました。


あの時は、その姉妹の一言がとてもありがたかったです。



キッチンで、コーヒーやデザートを用意するのを手伝っているとき、一人の姉妹が、「Angeちゃん、天的級の姉妹は、エホバから直接教えられている方だから、聖書に関することは何でも聞いてごらん…。

素晴らしい聖書理解を持っていらっしゃるわよ。

私たちが聖書を読むのと、天的級の姉妹が聖書を読むのは、全然違うんだって。

私たちが聖書だけを読むと、『アレ?これってどういう意味なんだろう?』って、理解できないことが沢山あるでしょ?

だから組織からの出版物が必要で、組織からの出版物が私たちの聖書理解を助けてくれるわよね。

でもね、天的級の姉妹は、聖書だけで聖書の全てを理解できるらしいのよ。

聖書を読んでいてもね、『エホバが直接語りかけてくださっている』と感じるらしいのよ。

そもそも聖書は、14万4千人のために書かれた書物だから、天的級が聖書を読むと『自分に向けられて書かれている書物だ』って感じるんだって。

私たちは聖書の言葉に感銘を受けたりするけど、読んでいて『自分に向けられて書かれているようだ…』とか、『エホバから直接語られ、教えられているように全て理解できる』なんて実感ないでしょ?

それだけエホバからの聖霊の注がれ方が私たちとは違うのよ。

そこが天的級か天的級じゃないかの違いなのよね。」と話してくださいました。




エホバの証人は、よく「聖霊の注がれ方が違う」とか、「エホバの活動力である聖霊」という言葉を用いますが、当時の私には何度聖書を読んでも「聖霊」がエホバの活動力というエホバの「力」…つまりJWが認識しているエホバの「パワー」というようには思えませんでした。



ヘブライ語聖書(旧約聖書)とギリシャ語聖書(新約聖書)に聖霊のことが何か所も出てきますが、どんなに読んでも、旧約時代の聖霊と、新約時代の聖霊に違いを感じていましたし、それが働きの違いなのか、性質の違いなのか、これをどのように理解していいのか分かりませんでした。



とても理解できず、どんなに組織からの出版物を調べても、司会者に質問しても、明確な答えが返ってこなかったので、きっと天的級の姉妹ならご存知だと思い、「今日は、ぜび天的級の姉妹に、聖霊についての質問をして、正しい理解を教えて頂きたい。

きっと今日、明確な答えが与えられるに違いない。」と期待に胸を膨らませていました。




そして、挽きたての美味しいコーヒーとケーキを頂きながら、和やかな雰囲気の中で、聖書の話題になった時、一人の姉妹が、天的級の姉妹に「姉妹、今日Angeさんは姉妹とこうして交われることをとても楽しみにしていたんですよ。

Angeさんは本当に進歩的な研究生で真理を求めていることが周りの私たちから見てもよくわかります。

個人研究も熱心だし、彼女の質問から私たちも学ばされることがあるんですよ。

今日はぜひ姉妹に教えて欲しいことがあるらしいのですが、姉妹、Angeさんの質問を聞いて頂けませんか?」と話を切り出してくださいました。



さすが天的級の姉妹は余裕があり、堂々とされていて、笑顔で「質問は何かしら?まぁ、私に答えられる範囲であるなら答えられますけど…最近私も個人研究してないからぁ~答えられるかしらぁ~?(笑)」と笑いながらおっしゃっる姉妹に「素晴らしいなぁ、これも余裕だから言える言葉だよな。凄い!この姉妹は本物の天的級だ!」と私は一層期待感を持ちました。




「きっと素晴らしい聖書理解から教えて頂くことができる。」


「今日で私の疑問は解消できる。エホバ…感謝します。」と本当に、本当にそう思いました。



そして、姉妹に私がずっと理解に苦しんでいた事を質問してみました。



ところが、私が質問した事によって、状況が思わぬ方向に行ってしまいました。