語り部アロマが紡ぐ

「魅力」聞いていかれませんか。

 

2022年5月 韓国

 

ユノとジェジュンの愛の巣であるマンションのリビングで、ジェジュンはYouTubeの動画を大きな壁面に投影して見ています。

「キャー!韓国でキングと呼ばれているのは、5人の東方神起とBIGBANGのふたつのグループ!でしょ。でしょ!

で、MR除去した生歌でわかる、一人一人の実力が完璧だって!うんうん!その通りだよっ。ユノーーー。これ、一緒に観よう!!」

ジェジュンのよく通る明るい声を聴いて、お風呂上がりのユノがバスローブのままリビングにやってきました。

「ジェジュン。どしたの?」

「うふふ。見て。ユノの大好きな『ミロティック』だよ!」

一時停止していた動画をスタートさせます。

 

流れてきたのは伴奏なしのジェジュン、チャンミン、ジュンス、ユチョン、ユノの歌声と透過性が高い映像。自然と歌声のみに集中します。

「2008年頃のライブ映像か。14年前だから俺は22歳か。めちゃ若いな」

「うん。ユノはナイフみたいにシャープでさ。セクシーだよね。この頃ってめちゃめちゃ忙しくって移動中にしか睡眠取れなかったよね。今考えると恐ろしいスケジュールこなしてたね」

「ああ。若いってすごいよな。なんか、時代のエネルギーも熱かったし、俺達の情熱も抑えきれないくらい溢れてた」

「ペンの熱狂ぶりも凄かった。ちょっと引くレベルのことも、あったねえ・・・」

「今みたいにマナーを守るなんてなくて、自分の感情をぶつけるのが当たり前な風潮だったからな。あっはっはっは」

「・・・そうやって、笑い飛ばせるユノの精神力。惚れ惚れするよ」

「おっ。今更か。なら、もっと魅せつけなきゃいけないかな。俺のジェジュン」

バスローブの胸元をはだけさせ、ぐっとジェジュンとの距離を詰めるユノ。

 

ユノの長い頸に白い腕を絡めて、熱いキスをしかけてきたのはジェジュンでした。

少し前まではドラマの役作りのためにがっつり筋肉がついた太い腕でしたが、トレーニングを止めた今は、滑らかな白い肌が際立つ、本人曰く赤ちゃんみたいな腕に戻っています。

 

細く筋張った長い指がその腕を掴みます。

「ジェジュンの肌は、手に馴染む。やわらかくて、あったかくて、時に紅く熱くなる・・・。俺はぞくぞくするんだ」

 

ユノの言葉に、花弁のような唇が艶やかに光ります。

「僕はね、ユノの声が好きだよ。こうして身体を密着させるとね、波の音みたいに僕に響いてくる。そして僕はユノと同調するんだ。その感じがたまんないんだよ」

 

ユノのアーモンドアイの瞳は、力強く真っ直ぐで、相手の奥底まで見通すようです。

「ジェジュの声は晴れやかで、柔らかで、ずっと聞いていたい。俺の傷ついた部分が治っていくみたいだ」

「あっはっ。じゃあ、僕はユノの薬箱だね」

「ああ、そうだ。ホントは俺だけのジェジュンでいてほしいけど、なにせ、この天使の翼はデカくて、俺の腕の中だけに留まっちゃくれないからな」

「うふん。僕の心の一番いいところに住んでいるのはユノだよ。ユノがいるから僕はがんばれる」

「俺もジェジュンがいるから何度でも立ち向かえる。俺の情熱の源はジェジュンだ」

「大好きだよ。ユノ」

「愛してる。俺のジェジュン」

 

ベッドでまどろむジェジュン。

ミネラルウォーターのペットボトルふたつを、キレイに並べられていた冷蔵庫の中から持ってきたユノは、ひとつを手渡します。

心地よくヒンヤリした水で、乾いた喉を潤したジェジュンは話します。

「2020年からのコロナ禍で時代の雰囲気が大分変ったね。日本での活動が再開できたけど、今流行りの曲は、リズムやアレンジが主役って感じで、軽くてノリがいいけど、あっという間に消費されていく。人気投票とか動画の再生回数とかの数字で優劣が決まるような風潮だけど、それに倣うのは違う気がするんだ」

 

水を飲み干したユノが答えます。

「ああ。俺達は、東方神起は、誰にも真似できない唯一無二の存在として、いつも全力で最高のパフォーマンスを提供し続けるアーティストだ。

韓国人だけど、日本語で歌って、日本語で挨拶できる。外国語で歌っているはずなのに涙を誘うバラードや、心に染み入る歌詞が日本人に好感を持って迎えてもらえる。ポージングの美しさは長年の努力の積み重ねの賜物だし、ライブで臨機応変な対応ができるのも、こなしてきた場数が違うからだ。何より、カッコいいを体現して維持している。何なら、観客の予想を超えてくるところが俺達の魅力だろう。

プレッシャーは凄いけど、応えてくれる観客がいるから頑張れる。

2004年熱狂のデビューと日本での活動、2009年休止があって、2011年再始動、そして2017年から2年間兵役を経て2018年にrebootしただろ。長いドラマティックな歴史をペンのみんなも知ってくれている。俺達がダメージ受けてへこんでいる姿や華々しくライブ活動している姿も知っている。確か、サジンを一番撮られたアイドルってギネスに載ったこともあったな。

インターネット上にはいろんな映像が星のかけらみたいに散らばっていて、アクセスすれば見返すことができる。共有できるんだ。面白いよな。がむしゃらにかんばって来た過去の東方神起を見て、ペンになる人もいるだろうし。常に全力で頑張ってきてよかったと改めて思うよ」

「うん。その通りだ。ユノは情熱財閥だね。東方神起のリーダーはやっぱりユノだよ。うん」

「東方神起のリードボーカルはジェジュンだろ。そういえば、『六等星』って歌、良かったぞ」

「うん。ジュンスと5人の頃の味をだそうとハーモニー響かせて、すごく心地よくて、これだよ、これ!気持ちティー!って感じで歌った。楽しかったよっ。

ジュンスもねっ、ミュージカルの役じゃなく、歌手シアとしてテレビに出られて嬉しいってめっちゃ喜んでた。あっはっ。ただ、DEATH NOTEのミュージカルで忙しくって声の調子が良くなくて残念がってた。本調子なら、ボクの声はもっとのびやかでキレイに響き渡らせられるのにってさ。」

「あっはっはっは。ジュンスが本調子ならもっとすごいんだ。さすがだな。それにしても、『気持ちティー』って新しい言葉か!ジェジュンは天才だな。外国語なのに、こんなに使いこなせるなんて!ホント、すごいよ」

「集中して頑張れるもの、コツコツ努力を積み重ねられるものが、僕は歌だったり、言葉なんだ。そういえば、チャンミンはこの頃ゴルフに夢中なんだって?」

「そうなんだ。仕事の前でも、ちょっとでも時間があけば練習に行っちゃうぐらいハマっている。もしかして仕事よりゴルフの方が好きなんじゃないかと思う時もある」

「うふん。大丈夫。『東方神起』が一番だよ。僕たち5人ともねっ」

 

「そうだな。そういえば、ユチョンはプロデュースの仕事をするって。自分が前面に出て俳優活動すると、いやがらせがすごいから、一歩引いて動くことにしたそうだ」

「俳優同士の足の引っ張り合いってコワイね。でも、ニュース画像みたけど、ユチョン、いい表情で笑っていたし、体形もいい感じに仕上がっていたから安心した。30代で裏方に徹することないもんね。プロデュースした子たちが活躍すれば、ユチョンにも注目が集まる。また表舞台に出られるよ」

「ああ。神の名を与えられた俺達5人の魅力は、まだまだこれからさ」

 

試練を乗り越え、大舞台に響きわたる煌めく5人の神のハーモニーが聞ける日を

心待ちにしているペンがいることを確認し合える6月10日

大切なこの日に、我らの願いよ。

世界に届け。

 

Fin.

 

過去作品の目次は前記事