語り部アロマが紡ぐ

「石想アドバンス レベル75」聞いていかれませんか?

 

ドワーフの丘の村 地中のドワーフの国チャンミン、ユチョンは酒盛りを、ジュンスは果汁で乾杯しています。

「ところで、わしらの国に、どっから入ってきなさった?」

「はい、丘の草原に1メートルはあろうかという大きな穴から入ってきました!

あの空間、不思議ですね。ふわんふわんしてて、上に行ったり、下に降りたりが自由にできる。重力がない感じでしたよ」

「ああ、あれは、俺たちがこの国に暮らす100年の間だけできる空気穴みたいなもんだ。夕べここに集まったから開いたところだったんだ。よかったな。そこから来て」

「ん?というと、別の入り口があるんですか?」

「あるよ。滝の裏の洞窟から入ると、迷路になっているし、俺たちの石堀仲間の小さなドラゴンが見張り番をしているから、入るにゃ、ちょっとやっかいなんだ」

「へーーー」

いまだに穴から現れないユノとジェジュン。さては遠回りな入り口を選んだに違いないと、ほくそ笑んだチャンミンとユチョンでした。ジュンスはというと、何も考えず、ドワーフと大笑いをしておりました。

 

さあ、ユノとジェジュンとヒロミとエカルテとリョーコ。どうなっておりますやら。様子を見にまいりましょうか。

 

滝の裏の洞窟緩やかな下り坂を慎重に降りていく5人。

「きゃっ」

足を滑らせたリョーコを、咄嗟に抱え守ったのはヒロミでした。

「あ、ありがと」

「危ないから、僕の腕に捕まって」

「・・はい」

いつになく凛々しいヒロミの言動に、ドキッとするリョーコでした。そんな二人の様子を微笑ましく見守るエカルテ。素直に想いを表現できないヒロミと、美形ばかりに目が行くリョーコ。手のかかる幼馴染を、どうにかしてあげたいと常々思っていたエカルテでした。

蛇行しながら続く細道に、ジェジュンがため息交じりに呟きます。

「この地下道、どこまで続くんだろう?」

ユノがピタッと足を止めます。そして口元に指を立てて、声を出さないよう指示しました。

前方を曲がったところに、灯りが満ちた空間があります。低く響く、猛獣のうなり声が聞こえてきます。うなり声は重なり、何頭もいるのではと推察されました。

「何の声だろう?」

小さな声で、ユノに問うジェジュン。

「調べて来る」

振り向き小さく言うと、大きな手を広げて、待てと指示します。静かに剣を抜き、気配を消して、ひとり進んで行きます。明るい空間に近づいていくユノを、息を飲んで見守るジェジュンと3人。

 

しばらくしてユノが戻ってきました。

「大きな空間があって、そこにドラゴンが何頭もいる。回避したいが、ドラゴンがいる空間を抜ける以外の道はなかった。進む事を諦めて戻るか、ドラゴンと戦うか・・・」

「ドラゴン!ドラゴンって実在するんだ。でも、きっと強いよね。何頭もいるんだよね。う~ん」

「あ、あの・・」

ユノとジェジュンが相談していると、ヒロミが、おずおずと声をかけてきました。

 

To be continued