語り部アロマが紡ぐ

「石想アドバンス レベル1」聞いていかれませんか


むかしむかし、あるいは遠い未来なのかもしれません。あるところにアルカディア王国がありました。王国といっても軍隊はありません。

国の守るべき規則は3つです。

1つめは   『だましてはいけない』
2つめは   『他人に迷惑をかけてはいけない』
3つめは   『責任は自分で取りなさい』
これさえ子供のころから教え込めば犯罪などそうめったに起きないものなのです。

小さな村が点在するこの王国は、お互い助け合いながら穏やかにくらしておりました。通貨は存在せず貧富の差はありません。その日食べるものは、村人みんなで共有してつくるので老若男女分け隔てなく食べることができました。若者は畑で作物をつくり、時に狩りや漁に出掛けました。織物の出来る老婦人は村の少女たちに教えながら今日も旗を織り、お話好きのおばさん達は、おしゃべりしながらも小さな子供たちの子守をしています。年寄りたちは気候の変化を調べ、長年の経験から次はどの作物を植えるのがよいかを話し合っています。

さて、このような貧富の差のない国に「王」が必要でしょうか?私たちが思い浮かべる王とは、権力と富を独占し、己が血族にその財産を継がせる物質的占有欲と権利を有する者です。
しかし、このアルカディアにおいては
「智慧をもって人の役に立つ事柄をすること」
このことが最も重要で最善のこととされているのです。『智慧』とは知的な理解などではなく、体験から得られる感情レベルでの理解をさします。

ですので、勉学に励み経験を積み、その専門技術に長けたものは、智慧を持つ者、すなわち『マスター』と称され民から敬意を払われました。
火を操り、鉄から道具を作りだす『ファイヤーマスター』
水の特性を知り発酵技術に長け、酒を作り出す『ウォーターマスター』
植物に精通し、栽培技術に秀で、薬草を選び出せる『グリーンマスター』
などさまざまなマスターが活躍いたしておりました。
病を患った者は石で癒すのです。『パワーストーンマスター』と呼ばれた者が病を癒す役目をはたしました。

王の役割とは、国中から才能のある子供たちを集め、それぞれに適した教育を提供するのです。すべてのマスターの頂点に立つ者が「王」です。アルカディア王国における王とは『才能を見出す能力を持つ者』なのです。あまりつまびらかにされてはいませんが、人の持つオーラを感知できると噂されています。ですから王は世襲制ではなく、その才能を持ったものをマスターの中から王自身が見極め次の王が選ばれるならわしでした。そしてパワーストーンを扱いオーラを高める技術に長けた『パワーストーンマスター』の中から選ばれるのが常でありました。ですから『パワーストーンマスター』は皆の憧れの的でもあり、選ばれる事は大変な名誉ことであったのです。

木々の葉の色が濃くなる時期に、村々から選ばれた少年がアルカディア城に集いました。
「ここが・・・玉座の間か・・・」
堅牢な石作りの扉の前に佇むのは5人の少年たちでした。

To be continued