語り部アロマが紡ぐ
「地上に花 夜空に星 十輝」聞いていかれませんか。
ミモザの木があるユノの家
家に着いた早々、ジェジュンはユノの母親に呼び出されます。
「ジェジューン。買い物行くんだけど付き合ってくれる?」
「あ、はいっ。僕、荷物持ちますよ」
「きゃー。やった!嬉しいわ。ユノもチャンミンも家事とか興味なくて、ついてきてくれないのよ」
「あっはっ。僕、お料理手伝います。教えてください」
「う、嬉しすぎるっ。お嫁さんってこんな感じなのかしらねぇ。さ、行きましょ」
「はいっ。おばさま」
白いパーカーとジーンズに着替えたジェジュンは仲良く買い物に出掛けました。
「母娘に見えねえか?」
「どーみても女の子ですね」
見送るユノとチャンミンの感想です。
どっさりと買い物してきたふたりは、キッチンで大はしゃぎです。助手がいるなら、いつもより手の込んだものが作れると母親はすごく楽しげです。父親の帰宅を待って、5人で食卓を囲みます。
普段はドレッシングで和えただけのグリーンサラダが、今日は、ゆで卵のスライスや、パプリカ、アボガドのブロックカット、ボイル海老が散りばめられ、カラフルで食欲をそそります。
ソラマメをミキサーにかけた冷製スープ
鴨肉のオレンジソースかけとマッシュポテト添え
チキンの香草焼き
トマトとモッツァレラチーズのスパイシーオリーブオイルがけ
デザートに真っ赤に輝く大粒の苺『あまおう』
「どうした?今日・・・結婚記念日でしたか・・ね?」
あまりに豪華な夕食を前に、プレゼントを用意していない父親はしどろもどろになっています。
「違うわよ。何の記念日でもないわ。ジェジュンと作ってると楽しくって!
ああ、野菜はジェジュンセレクトよ。いつものスーパーじゃなくて、八百屋さんでジェジュンが新鮮なのを吟味してくれたの。ねっ」
照れ笑いを返すジェジュン。
「うん。確かに歯ごたえもいいし、野菜の味が濃いです。とても美味しいです。ジェジュン」
口いっぱいに頬張って吟味してから、チャンミンが感想を述べます。
「イチゴ・・・先に食べちゃダメか?」
ユノは大好物が気になって仕方ありません。
「いいねえ。家に嫁が来たみたいだな。あっはっは」
美味しそうにビールを飲み干した父親が、豪快に笑います。
「そうね。ジェジュン。ユノかチャンミン。どっちがいい?」
ユノママ、ムチャ振りです。
「あっ、えっと・・・じゃあ、ユノ」
なんと、答えちゃうんですね。ジェジュンさん。
「はい。決まりね。ユノ。こんな可愛い子逃がしちゃだめよ」
ユノママ、さらに上をいきます!
「えっ・・・あ、ああ。はい」
ユノ、抵抗すら放棄ですか。
「・・・僕、ユノのお嫁さん・・・。」
幸せなジェジュンは夢見心地です。
「あなた。ユノの可愛いお嫁さんが出来たわ。乾杯しましょ」
「おお、いいねぇ。美男美女のカップルだ!目出度い」
最高級な天然夫婦でゴザイマス。
「父さん、母さん。すでに酔ってますか?ジェジュンは男ですよ」
チャンミン、頑張った!
「いいの!ママが気に入ったの!女で美人でも料理しませんとか、性格悪い嫁が来るよりジェジュンがいいわ」
「ありがとうございます。おばさま。僕ユノと結婚します。今日から夫婦です」
ミョーなノリで結婚宣言しちゃうジェジュン。
ユノもまんざらではないようでニヤニヤしています。
冷静なチャンミンは呆れ果てますが、それでも、ご馳走が毎日出てくるならまあいいかと自分の旺盛な食欲に追従する事にしました。
一風変わった家族団欒の時間は、瞬く間に過ぎていきました。
続