ようこそ
語り部アロマの紡ぐ「ルネサンス幻影」第12場scene10
聞いていかれませんか。
ヴェネツィアを離れフィレンツェへ戻る日がやってきました。
倍に増えた荷物を荷台に積むのに御者が苦労しています。
「あの大きなトランク3つは僕達のじゃないよ」
ジェジュンが不思議そうに聞きます。
アルマーニ夫人が答えます。
「劇の『感動』へのお礼よ。職人さん達からユノ達へのプレゼントが詰まっているの。一流の腕で粋を凝らして作られたものばかり、売ったらいくらになるかわからないわ。
みんなの想いを汲んで大切に使ってね」
「えっ。嬉しいですが、俺達、お礼も言えてないです。頂くのは申し訳ない」
ユノが遠慮すると、
「ああ、お礼は家のユチョンとジュンスに行かせましょう。商売を兼ねてね。目を引く品物がいくつかあったの。次の流行を左右するわ。ふふっ。
貴方達は素直に受け取ればいいの。それだけのものを貴方達は魅せてくれたのよ。
そうそうチャンミン。あなた宛のプレゼントが一番多かったの。向こうに着いたらゆっくり見て頂戴」
「えっ。私は何も目立つことはしていませんよ」
チャンミンが意外な顔で答えます。
「あら、私が一番の貴方のファンよ。抱きしめてもいいかしら?」
チャンミン。ヴィスコンティ夫妻からハグされます。
「ありがとう。ユノとジェジュンの結婚式、ホントはすごく見たかったの。親として一番幸せな時間を貴方から頂いたわ。ありがとう。チャンミン」
「あ、あのっ。・・・はい」
抱きしめられ頬を染めるチャンミンはいつになく幼い表情をしています。
「いいなぁ。チャンミン。ねぇ、聞いてよ。俺達宛てのプレゼントも頂いたのよ。ジュンスのは良いんだけど・・・」
言いよどむユチョンを制してジュンスが楽しそうに説明します。
「女性向けの品物ばっかり!うはん。お礼を言いに行く時、ドレス着なきゃね。僕エスコートします!」
みんな大笑いです。
次へ続く。