ようこそ
語り部アロマの紡ぐ「ルネサンス幻影」第12場scene5
聞いていかれませんか。
~第四幕 教会~
チャンミン神父がジェジュンの懺悔を聞いています。
ジェジュン:大好きないとこのユチョンの命を奪ったユノが憎い。けれど愛しい。美しい暴君!天使のような悪魔!鳩の羽をした烏!狼のように貪欲な子羊!ああ、愛しいユノを憎まなければならないのが切ない。
チャンミン:実はユノが街を離れる前にここに懺悔をしに来ました。ユチョンの命を奪ったのはユチョンの剣。ユノは争わないでやり過ごすつもりであったが、もみ合っているうちに剣先がユチョンの喉を貫いた事故であったと。
ジェジュンが勘違いして悲しむのがつらいといっていました。
ジェジュン:おお。では、ユノは私に誠実であったのですね。憎まなくてもよいのですね。
ですが、街の噂を否定することは難しい。敵同士の家であることが恨めしい。
愛しいユノと添い遂げることは出来ないのでしょうか?
チャンミン:長きにわたる両家の諍いには私も心を痛めています。もはやなにが原因であったのかも忘れ去られている。
ユノとジェジュンが恋に落ちたのなら仲直りできるときが来たのかもしれませんね。
二人の思いを叶える手助けをいたしましょう。
少々荒療治ですが、貴女にできますか?
ジェジュン:なんなりとおっしゃってください。
チャンミン:ここに仮死状態にしてくれる薬があります。
ジェジュンは夜明け前にこれを飲んで朝を迎えるのです。朝、乳母が起こしにくるときには身体が冷たくなり死んでいるようにしか見えません。そして、この教会のサンティ家墓所に安置される。
私はユノの友人に頼んで、ことの真相を伝えます。
ユノも墓所にきてジェジュンのそばでこの薬を飲んで仮死状態になる。
ふたりが死んでいるのを私が発見したと大騒ぎをしましょう。
お互い一人っ子の子供を失った悲しみに暮れているときに、両家の諍いを正すよう私が説得します。
両家が和解したときに目覚めれば、貴方たちの結婚も許されるでしょう。
どうです?できますか?
ジェジュン:いたします。死んだようになるのは不安だけれど。墓所にひとり安置されることも怖いけれど。
やります。薬の瓶をください。
チャンミン:神のご加護がありますように。
さて、ユノの友人ジュンスと連絡を取らなければ。
チャンミンがジュンスにことづてをしています。
次へ続く。