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語り部アロマの紡ぐ「ルネサンス幻影」第11場scene15

聞いていかれませんか。

 

 

一方、ユチョンとユンジェは織物卸問屋の足を踏み入れたとたん

「きゃ~~。すごーい。布地がいっぱい。ねえ。ユチョン。このダークブラウンの生地にスラッシュをたくさん入れたらシャツの白色が映えてかっこいい上着になりそう。こっちの紫の刺繍が見事な生地は女性用のドレスにいいんじゃない?」

ユチョン、生地を手に取り考えています。

「・・ジェジュンの意見いいかも。買っていって仕立ててみよう。いい物ができそう・・。ユノ。奥さんセンスよいのね」

ユノは頭をぽりぽりかいて、

「うん。センスがいいって親が言ってる。俺にはないらしい。うちの家族のコーディネートはジェジュンがしてるんだ。それにしても楽しそうだな~」

ジェジュンはずんずん奥に入っていきます。

「お譲ちゃん。きれいだね。この生地でドレス作って貴族でも落としてみちゃどうだい。あんたなら、どんな奴もいちころだね。保障するよ」

年配の仲買人にからかわれています。

「あっは。冗談でも嬉しいよ。おじさん」

ジェジュンご機嫌で返事を返します。

 

「君ひとりかい。とっておきの生地があの部屋に在るんだが、一緒に見に来るかい?」

ちょっと悪そうな雰囲気の男がジェジュンの肩に手を置き引き寄せます。

「とっておきの生地!見たい!」

ジェジュン、嬉々として返事をします。

 

男がドアを開けジェジュンを入れ込もうとした時、トントンと肩を叩かれました。

「あ、邪魔するな。いまから楽しむんだから」

振り返りもせず男は言い放ちました。

「・・ほう。な・に・を楽しむ気だ?」

「かわいこちゃんとすることなんかひとつしかねえだろ!しつこいぞ!」

男が振り返ると、恐ろしいほどの殺気を漂わせたユノが立ちはだかっていました。

「そ・の・かわいこちゃんと、楽しいことしていいのは俺だけなんだが・・」

殴りかかろうとしていた男は、ユノの殺気に怖じ気づいて、ジェジュンを差し出すと一目散に逃げていきました。

「ふん。カンのいい奴。殴ってやりたかったのに・・。ジェジュン、後で話がある」

 

ユノの重苦しい怒気はなかなか引かないようです。

ジェジュンの腰に手を回し、ぴったり身体をくっつけていますが、口を利いてくれません。

ちょっぴり涙目のジェジュンは、黙ってくっついていました。

 

ユチョンは自分の仕事を手早く済ませ、静かなユンジェを連れて帰りました。

 

 

次へ続く。