ようこそ
語り部アロマの紡ぐ「ルネサンス幻影」第8場scene1
聞いていかれませんか。
ユノに「お前は魔力を持っている。俺を落とす為に魔力をつかったでしょ。」と言わしめたジェジュンの魅力。誰もが認めるその魔性を証明する物語をいたしましょう。
ビィスコンティ家の書斎。チャンミン先生による勉強の時間です。
「ジェジュン。ユノは
『ジェジュンには、いつも優雅で美しく女性的であってほしい』
なんて貴方を鳥かごの中に入れて守りたいようですが、この激動の時代に男として生まれたからには自分で飛び立てる強い翼を手に入れるべきです。
自立した人間になれば魅力も増します。例えば、恋人には、しっかり愛を伝えていないと逃げられるような危機感を与えられます。
それができたら恋の駆け引きは楽しいものになるはずですよ。んー。15才の君にはまだ難しいかな。
とにかく、ユノの恋人になりたいなら、ユノの周りに群がる輩に懐柔されないだけの智恵をつける必要があります。ユノはこのフィレンツェでも1.2を争う豪商の跡取りです。いずれトップに立つ男です。ユノは人望があるから、部下はみなついてきてくれるでしょうが、それを妬む者も多いでしょう。そういう奴らに付け込まれないように貴方は自分の身を守る必要があるのです。
ユノは
『自分がジェジュンを守る』
といっていますが、どういうことが起きるかわかりません。貴方は自分で自分の身を守る術を持ちなさい。厳しいことをいえば、最悪の場合、みずから毒をあおるぐらいの覚悟をね。そこまでの覚悟を持てるのなら私はあなたたちを応援しますよ」
しばらくチャンミンの言葉を反芻して考えていたジェジュンは、視線をまっすぐチャンミンに向けて答えました。
「チャンミンの言う恋の駆け引きはよくわからないけど、
自分で何かできるようになりたい。ユノには『可愛い』って言ってほしいけど、僕、強くなりたい。おんぶされて守られてばっかりなのはヤダ。
僕も男だ。ユノを守りたい」
次へ続く