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語り部アロマの紡ぐ「ルネサンス幻影」第3場scene1

聞いていかれませんか。

 

ユノに「お前は魔力を持っている。俺を落とす為に魔力をつかったでしょ。」と言わしめたジェジュンの魅力。当のジェジュンは自覚していないのですが、誰もが認めるその魔性を証明する物語をいたしましょう。

 

 

フィレンツェのビィスコンティ家。

港に大きな船を所有し胡椒や羊毛を商いして富を蓄えている商人です。

 

ユノが連れ帰った美少年ジェジュンを見て、一人息子しか授からなかったユノの母親が一番喜びました。

 

「初めまして、ビィスコンティ家の皆さん。僕はジェジュンといいます。お世話になります」

握手する手をおずおず出すジェジュン。

ビィスコンティ夫人がぎゅっと抱き寄せ頬にキスをします。

「あら、あら。なんてきれいな子なの!

ん!ああ、男の子なのね。ま、いいわ。こんなに綺麗なんだもの!いくつ?14歳。うふふ、あと2年もしたら誰もが振り返るようなすごい美人さんになるわね。素敵だわ。

実は私、娘が欲しかったの。ドレス着て私と一緒に舞踏会にいきましょう。今から楽しみだわ。ふふふ。髪はこのまま伸ばしてね。流行の髪型に結い上げなきゃいけないから」

ジェジュンの顔や髪を撫でながらあれこれプランを立てていく母親。

 

ジェジュンは早くに父母とは死に別れおばあさんとふたりひっそりと暮らしてきたので、あまりの違いにびっくりして固まっていました。

でも、かまってもらえることがうれしくて、されるがままになっています。

 

「俺が見つけて連れてきたんだから俺が面倒みます。母さん、かまわないでください」

ジェジュンが母親に気に入られたのはうれしいが、なんとなく面白くないユノはふてくされたように声をかけます。

 

「こら、親の庇護のもとで暮らしているお前が生意気言うな。母さんのいいようにさせなければこの子を置いてやらんぞ」

ビィスコンティ氏は機嫌の良い奥さんを見てご満悦です。

 

「わかりました。父さん。でも、俺専属の身の回りの世話をする子でいいでしょう。母さんが気に入ったのなら弟として引き取ってもいいし」

「よかろう。だが養子の話はしばらく様子をみようか」

「ああ、そうですよね。願いを聞いてくれてありがとうございます。父さん。

さあ、ジェジュン。俺の部屋に行くよ。風呂に入って着替えよう。あ、着替えがないか。母さん。俺の小さいときの服を出してください。お願いします」

 

次へ続く