先日、長年一緒に働いてきた事務の午後パートさんがお辞めになりました。(理由は体調不良です。)

この午後パートさんは、腰が低くて、とても感じの良い方でしたが、なぜかよく仕事を休むし、人の話は聞いていないし、聞いていないからこそのミスを連発するしで、残念ながらあまり仕事が出来る方ではありませんでした。
でも誰も叱らないし、「間違いは訂正すればいいよね」とコースっぽい感じで、みんなでフォローして、それなりに彼女とは10年程一緒に働いてきました。
どうすれば、彼女がミスらずにスムーズに仕事を遂行できるか、あの手この手を考え、随分と工夫しましたが、まるで「暖簾に腕押し」「ぬかに釘」の如くほとんどのことが徒労に終わり、最後は「彼女はミスしてもいい」というところに落ち着いたように思います。

ところがそんな風に彼女を受け入れたのにも関わらず、彼女はなぜかどんどん仕事ができない人になっていき、結局、彼女の方から急に辞めることになりました。

あわてた社長が、
「誰か知り合いで、午後パートに来てくれそうな人はいない?」
と言い、更に常勤事務さんが、
「みずほさんの顔の広いところを見込んで、誰かいい人はいないかしら?」
と言って来ました。

私の方もそう言われれば思い当たらなくもなく、具体的にAさんなる人物を思い出し、彼女なら一緒に楽しく働けるかもしれないというイメージが降りて来ました。
…が、しかしです。
みなさんなら、どうですか?
自分の職場に知り合いの人を誘って一緒に働くのって、どんな感じがします?

私は微妙に恥ずかしい気がして、Aさんに連絡できないでいました。
それは多分にAさんとの関係性の問題だと思うのですが、正直、彼女とはどういう知り合いなのかと聞かれたら、ちょっと答えづらいなと思ったのです。
なので、
「いなくもないけれど…自分の知り合いって微妙よね…」
と歯切れ悪く答えて、うやむやにしました。

そうこうしているうちに、社長が求人サイトに募集を出しました。
でも2週間経っても何の音沙汰もありません。
前に同様の募集をかけた際には10人以上の応募があったのに、今回はなんだか変です。
採用について毎日心配していた常勤事務さんが、
「いくらコロナ禍で薬局が嫌厭されるにしても、ちょっとおかしい」
と言って求人サイトを確認したところ、『レセプト(保険請求業務)ができること、Excel、Wordができること、経験者優遇』と書いてあったそうです。
いやいやここで15年働いている午前パートさんでさえ、レセプトなんてやったことはないと言ってるし、この職場にいる誰もがまともにExcel、Wordが使えるとは思えません。
(私だって、すごいテキトーに使ってるのに、できるだなんて口が裂けても言えない。)
なので、これ程のスキルを持つ人が、コンビニのバイト並みの時給で午後だけ働くなんてことはありえません。
応募者がいないのは当然でした。

うちのパート事務さんは、簡単なパソコン入力とレジと受付が出来れば充分で、仕事はさほど難しいものではありません。
だから未経験者の方でもいいと常勤事務さんが言っていました。
だとしたら、最優先事項は、人柄です。
まずは感じのいい方で、話しやすい人ならOKなのです。

「どうも社長に任せておくと嫌な予感しかしない」
とみんなが言い、私に再び、
「みずほさん、誰か本当に紹介してください」
と懇願されました。
ここで一度は通り過ぎたAさんの笑顔が再び私の脳裏に降りて来ました。
私は今度は何も考えずに、その場ですぐにAさんに電話をしました。
だからみんなに
「Aさんって、みずほさんのどういうお知り合い?」
と後で聞かれてはじめて焦りました。
何となく言いづらいな思いながら、
「実は元々親業のお仲間さんなんです。私がインストラクターをしていた時の受講生さんだった方です」
と説明しました。

親業訓練協会

そう説明すると、
「まあ、親業の勉強をされていた方なら、間違いないわ。ぜひ来て頂きましょう」
とみんなが言ってくれました。
Aさんについて、これ以外の具体的な説明はしていないのに
「きっといい人だ、大丈夫、会うのが楽しみだ」
などとみんな乗り気です。
親業って、そんなに権威だった?
というか、みんなが私をそこまで信頼してくれているんだ、ということが伝わって来て、嬉しかったです。

Aさんの方も私からの6年ぶりの連絡に喜んでくれて、
「みずほさんと週4日もお仕事でお会いできるなんて嬉しいです。ぜひ働かせて下さい」
と言ってくれました。
彼女はずっと専業主婦で職歴と言えば、結婚前に銀行に数年勤めていた位だというので、もしかしたら怖がって断られるかと思いきや、
「みずほさんが私を思い出してくれたのなら、私、引き寄せましたね 笑」
というお返事だったので安心しました。

こんな風に兄弟とのつながりを感じて、ルンルン気分で早速社長に
「採用のご検討をお願いします」
とメールで伝えたところ、社長からの返事にびっくり!

「青木さん、ありがとうございます。早速、週明けに連絡を取ります。火曜日の昼に面接が出来ればと思います。
採用についてはしっかり面接をしてから、と考えたいと思います。
まずは御礼まで」

>採用についてはしっかり面接をしてから、と考えたいと思います。

って、えっ⁈  この一文、要る?
社長が採用するかどうかを決めるのは自明の理と心得ているのに、なぜあえてこう言ってくるのか困惑しました。
そもそも社長が誰かいないかと言うので、知り合いを紹介しただけなのに、こんなマウント取りな一文をあえて入れてくるなんて、モヤモヤが止まりません。

それから週が明けて、月曜朝一番に社長がメールの件について言い訳をして来ました。
「青木さん、採用の件ありがとうございます。せっかく紹介してくれたけれど、以前、知り合いの人を何人か採用したことがあってね。いい人もいれば、そうでない人もいたからさ〜。とにかく面接はするけれど、実際のところ、誰かの知り合いを採用するのって、どうかなと思っている」
だって。
はあっ⁈だったら、最初から軽口叩いて、「誰か、いい人はいない?」なんて言わなきゃいいのに、ただの社交辞令だったんかい。
「いい人もいれば、そうでない人もいた」って、どんな採用だって当てはまることやろ〜‼︎
(もう自我の声しか聞こえません。)

T-9.Ⅲ.4.1-2
少しでも誤りに反応するとき、あなたは聖霊に耳を傾けていない。聖霊は誤りをただ無視したのだから、あなたが誤りに注意を向けるなら、聖霊から聞いていないことになる。

次の日、Aさんが面接にきたのですが、社長のAさんへの評価はやはりよくありませんでした。
社長は感じの悪い言い方で、
「彼女、普通のお母さんだよ」
と言いました。
どうも彼女に職歴らしい職歴がないことが社長には面白くないらしい。

私としては、Aさんが採用されようがされまいが、どっちでも良かったので、まあそれはいいとして(台本通りですものね)、とにかく社長の言動にモヤモヤが止まらないので、ここに来てやっと、聖霊を思い出し赦しました。

この一連のドラマを聖霊と共に見たところ、社長は私の投影であることはまず間違いありません。
(ええ、いつだって投影です。)
社長がマウントを取ってくるような発言をして来てモヤモヤしてるってことは、私もマウントを取る人間だということです。
わお!ここでコースお得意の権威問題だと気づきました。
私はまた神に対してマウントを取ろうとしていたのです。

さて、社長としてはAさんを気に入った訳ではなかったのですが、だからと言って、他の人を探す余裕もないらしく、現場のみんながいいと言うなら、とりあえず仮採用するということになりました。
思えば社長は自分がしっかり面接すると言っておきながら、結局、私を除く全員にAさんと1対1の面接をさせたのです。
なんだか滑稽で、おかしくて仕方ありません。
私は過去何ども転職をして採用面接を受けてきましたが、職場の人全員と1対1で面接をするなんて経験一度もしたことがなかったからです。
なんだか社長って、突っ込みどころ満載のネタの宝庫のような人です。
(ということは、私もネタの宝庫?)

結局、社長を除く全員が両手(もろて)を上げて彼女を気に入り、
「感じのいい人です。明るいし、かわいいし」
と言ってくれました。

よくよく考えてみれば、社長は誰かの知り合いを採用する気はなかったのに、結局仮採用したのだから、社長なりに譲歩してくれたということです。

振り返ってみると、マウントを取る取らないということも、どうでも良くなりました。
マウントを取りたいなら、取りたいだけ取ればいいと微笑ましく思う次第です。

T-9.Ⅲ.6.4
あなたに任されているのは、兄弟を変えることではなく、彼をただありのままに受け入れることである。