6月28日、29日と第130回近畿産科婦人科学会総会に、ご挨拶でお邪魔してきました。
最新号のAnetisを掲示させていただきました。

さて、今日の読書はこちら。
学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話/KADOKAWA/アスキー・メディアワークス

¥1,620
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何度も書店の新刊コーナーで気になった本です。
登場人物は大きく3人です。お嬢ちゃん女子校で、金髪ギャルの「さやかさん」とおかあさんの「ああちゃん」、そして筆者でもある塾講師の坪田先生。
お父さんが脱サラし事業を立ち上げ教育方針の違いで「きしむ」中、学年でダントツビリの、高校2年生のさやかさんが塾にやってくるところから物語は始まります。
はじめはシャレで始めた「慶應義塾」に向けた勉強によって、さやかさんと、ああちゃん、そしてお父さんが変わっていく姿が、気持ちいいスピードでつづられていきます。
さやかさんのストーリーでありながら、お母さんのああちゃんがとっても魅力的なのです。
「ああちゃん、私絶対に慶應に受かるから。そして、いつか絶対倍にして返すから」
高校3年生に上がる頃、坪田先生は、さやかさんに「無制限コース」という、無制限に塾で勉強を教えてもらえるコースを提案します。
しかし、そのころさやかさんの家庭環境では、百数十万をまとめて払える余裕が無い。ああちゃんは、生命保険もすべて解約し、へそくりをかき集め、冊束でいっぱいの封筒をさやかさんに渡します。「合格不合格は関係ない。あの子は坪田先生を信頼して頑張っています。先生がそうおっしゃっているなら、お任せします」という言葉をもって。
そして坪田先生から「このお金の重み、わかる?」と言われたさやかは、「ああちゃん、私絶対に慶應に受かるから。そして、いつか絶対倍にして返すから」とああちゃんに話し、一心不乱に勉強をするようになります。
「さやちゃん、山登りって、どうやって登るか、わかる?」
3年生の夏、慶應の模試に「E判定」が出たさやかに、坪田先生は「本当は時間があったら山登りとかしたらいいんだけどね」と声を掛けます。
そこで、ああちゃんの言葉。
「あのね、山登りって、ずっと足元を見なきゃならないんだよね。たまに頂上をみて、あそこまでたどり着いたらどんな景色が見えるだろうか想像をして。・・・足元しか見ていないと苦しくて悲しくてつらいんだけど、そうして登っていくと、いつのまにか高いところについていて、思いがけない綺麗な景色が見えたりするんだよね」
一歩一歩の大切さを伝えながら、その辛さに見事に寄り添っています。
「あの子には、学校しか寝る場所がないんです」
だんだん成績も上がってきて、学年でも上位になるさやかですが、実は学校ではうまくいっていません。これまで先生に素行が悪いとみなされていたさやかは、塾と家庭で寝る間を惜しんで勉強をしているため、授業時中は寝てばかり。 先生に呼び出されたああちゃんはこのように反論します
「あの子には、学校しか寝る場所がないんです。先生は慶應に導いてくださらない。無理だと言って、笑っておられる。でも、塾の先生は”いける”とおっしゃる。さやかにとって信じるのは塾の先生ではないのですか。大学X(エスカレーターの推薦校)の推薦はいりません。ですので、どうぞ寝かせてやってください。
クラスの周りの子も、寝ているさやかに先生が注意しようとすると、かばってくれるようになります。そして、さやかは友達にも助けられながら慶應大学の受験を迎えます。
・・・あとはご自分で読んでみてください。もちろんタイトルの通り慶應大学に受かるのですが、それはあくまで結果の話。 この本がベストセラーになっているのは、登場するさやかさんと、お母さんのああちゃんの言葉に、多くの読者が心を動かされるからではないかと思います。
もちろん、勉強のメソッドも十分に出てきますし受験生を抱える親御さんや受験生にもピッタリですが、ひとつの物語としても十分に楽しめる内容かと思います。
ぶっちゃけ、泣けます。