新築ワンルームマンション投資にカモられる年収500万円以上のサラリーマン

 

インターネットで新築ワンルームマンション投資を誘う広告を見かける。

その内容はこうだ。

 

“人生の折り返しを迎える40代、年収も1,000万円を超えるサラリーマンも多い。

ところが所得税の税率が上がり始める場合も多く、収入の増加が難しくどうしたらいいのか?

副業もオープンになる昨今だが、本来の仕事が忙しくてなかなか副業ができない人も多く。

そんな年収500万円以上のサラリーマンの資産形成に向いているのは新築ワンルームマンション投資。

これから資産形成をちゃんとしたいサラリーマンや公務員には、安定、堅実な方法で可能な新築ワンルームマンション投資が向いている“

 

と、こんな内容だ。

 

 

はたして新築ワンルームマンション投資で資産形成はできるのだろうか?

事例を見ながら考えてみよう。

 

<事例>

Aさん、35歳、独身男性、年収700万円で上場企業に勤務。

新築ワンルームマンション投資を勧められた。

都内、某所に建つ新築ワンルームマンション。売買金額は3,300万円、30平方メートル程度のいわゆる1Kのマンションを買うことに…

不動産投資会社から自己資金は10万円だけでその他はすべてローンで賄うことができるとも聞いていたので、たった10万円で資産形成ができるとうかれてしまった。

 

不動産投資会社からは簡単な収支計算のシュミュレーションをもらい、「家賃からローン返済、管理費等を差し引いても、月2万円の負担で将来の年金代わりや生命保険代わりになります。」と・・・

まあ、2万円ならいいかと思い、さらには「家賃はサブリース契約で家賃保証をするから、空室になったとしても安心です。」と言われてリスクは少ないし、安定して家賃も入るからと思い購入を決意した。

通常、不動産を購入する際には登記費用やローンの諸費用がかかるものだが、そうした費用は不動産投資会社がサービスしてくれるとのことで、なんか得したと感じてしまった。

 

こうしてAさんはサラリーマン大家となったわけだが、購入から1年もしないうちになぜか月2万円の持ち出しだけでは済まない状況に気づいた。

 

Aさんのシュミュレーションはこんな感じ

ローン借入金

家賃(月額)

ローン返済(月額)

管理費等(月額)

収支(月額)

3,290万円

95,000円

108,985円

8,500円

▲22,485円

 

このシュミュレーションでは固定資産税など税金は加味されていない。

買った物件の固定資産税は概ね8万円から10万円はかかるので、月の持ち出しは3万円程度となる。

となれば、年で36万円程度の持ち出しが発生することに気づいたのである。

購入から2年経過した時点で不動産投資会社から家賃の見直しをする旨の通知を受けたが、買ったときは家賃が保証されると聞いており、なんでいまさらというのが実感だった。

不動産投資会社としては買ったときにサブリース契約でその旨は謳ってあると…

Aさんはひょっとしたら騙されたのではと思い始めたのである。

家賃の見直しは月額で5,000円のマイナスで、ますます収支は悪くなったわけだ。

家賃の見直し後のシュミュレーション

ローン借入金

家賃(月額)

ローン返済(月額)

管理費等(月額)

収支(月額)

3,290万円

90,000円

108,985円

8,500円

▲27,485円

 

この収支のシュミュレーションに固定資産税を加味して考えると、持ち出し金は増える一方である。

こんな状況はいつまで続くのかと思いながら、専門家に相談することにした。

専門家で今までの話を伝えると、赤字はローン返済が完済するまで続くと、つまり、35年も続くことを聞かされる。専門家の方は「年間の持ち出しが約45万円程度と見ればトータルで約1,575万円も持ち出しします。」と…

 

Aさんはショックを受け、何のための新築ワンルームマンション投資なのかと嘆いてしまった。

これではマンションを持っていても意味がないから、すぐに売却したいと方針転換をすることになった。

しかしながら、ローンの残債金額は概ね3,200万円で、今の市場価格ではとてもこの金額では売れないと専門家に言われてしまう。

専門家は「新築では市場価格の2割程度は高いから、実質の価格は2,600万円程度が上限だろう…」と。

Aさんはまんまと新築ワンルームマンションにカモられてしまった。

 

出口のない新築ワンルームマンション投資。ローンの残債金額と市場価格がイコールになるのは、当分先のことだ。仮に10年待ってローンの残債金額で売れたとしても、その間の持ち出しは450万円。新車1台分のお金を無駄に使うことになってしまう。

所得税の還付があったとしても、購入から5年ぐらいまでは還付金の多いがそれ以降は難しいのが現実だ。

 

 

 

都23区内のマンション価格は居住用、投資用も含めてかなり高くなっている。

居住用はともかく、投資用が価格上昇していると儲かる可能性は薄れてします。

 

物件の売値が高くても家賃はそれほど高くはなっていない。したがって、投資用の不動産ではなかなか儲からないのが現実。まして購入の際にローンを利用すれば余計に儲からない。

 

新築ワンルームマンション投資にカモられたAさんは、しばらくはマンションを売ることもできず八方ふさがりの状態が続きそうだ。

 

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