中国ニュースネット 10月12日 出所:中国品質報
 中国が公布した燃料電池の国家標準は現時点で40本。国際標準を採用したもの13本、独自制定が27本。中国工程院士で全国燃料電池及びフロー電池標準化技術委員会主任委員の衣宝廉中国科学院大連化学物理研究所研究員が北京開催の2015年燃料電池技術・標準化国際シンポジウムで明らかにした。
 燃料電池は汚染フリーで効率の高い発電方式で、応用領域は幅広く、軍事、宇宙、発電のみならず、電気自動車、移動設備や家庭でも応用可能で、究極の発電方式とされる。2015年は燃料電池の産業化元年になると業界関係者は考えている。燃料電池自動車が市場投入され、定置式燃料電池が商業化に入るとともに、ポータブル式やマイクロ型分野でも商業化への道筋が広がりつつある。

 そうした中で、標準と規格は、燃料電池の産業化に向けた最重要プロセスの一つになる。現在、日本や韓国などアジア諸国、米国、ドイツ等の欧米諸国が燃料電池を高度に重視し、産業化に力を入れている。特に、標準を積極的に押さえることで機先を制しようとしている。IEC(国際電気標準会議)は、IEC/TC105(燃料電池委員会)を設け、燃料電池の国際標準を制定している。同委員会の現在の議長は日本人で、事務局はドイツに設置されている
 中国は、2008年には全国燃料電池標準化技術委員会を設置し、2012年に全国燃料電池・フロー電池標準化技術委員会(SAC/TC342)に改称した。「中国は一貫して国際標準化作業に前向きに参加し、IEC/TC105の各作業部会には既に10数名の専門家が関連作業に加わっている。2012年に中国が提案した低温冷起動試験方法はすでに国際標準の「固体高分子型燃料電池の単一セル試験方法」に組み込まれている。中国の斉志剛博士はWG1(専門用語)の幹事に任命され、燃料電池の標準化で新たなブレークスルーを実現した」と盧琛鈺SAC/TC342事務局長は解説する。
 中国の燃料電池標準体系も絶えず整備が進められている。40本の国家標準が公布され、基礎標準、FCモジュール、定置式FC発電システム、ポータブル式FC発電システム、マイクロ型FC発電システム、駆動補助動力用FC発電システムなどから構成される標準体系が形成されている。燃料電池の産業応用において、燃料電池自動車が新エネルギー自動車の寵児の一つになりつつあることは特記すべきだ。中国は非常に早くから燃料電池自動車の研究を進めており、2008年の北京オリンピックや2020年の上海万博では実証レベルの製品をリリースした。製品の性能はほぼ国際レベルだが、コストや耐久性では改善が待たれる。
 中国がすでに公布している国家標準の中でも、燃料電池自動車は重要な構成要素になっており、「燃料電池・電気自動車用燃料電池スタックの安全要件」「自動車用燃料電池発電システム・技術条件」「乗用車用燃料電池発電システム試験方法」など燃料電池自動車関連は10本余りに上る。「中国は自動車用燃料電池と燃料電池車で好ましい進展を遂げている。引き続き耐久性や低コスト化の研究を進め、実証と応用を促す。燃料電池の標準化作業は既に良好なスタートを切った。今後は国際協力を強化し、燃料電池技術と標準化作業がより高度に発展するよう促す。」と衣宝廉氏は述べた。