抜粋引用
アジア総局編集委員 村山宏
中国で1960年代後半の文化大革命時に戻ったかのような闘争を呼びかける論文が共産党機関紙の人民日報に掲載された。資源争奪や通貨戦争など国際闘争を呼びかけている。外国への不信と警戒に満ちた内容だが、習近平指導部の思考様式を反映しているとみてよいだろう。外資系企業の相次ぐ摘発やネット検閲の強化など最近の中国の行動の思想的な背景がよくわかる。
■随所に文革時の表現
題名は「“新たな偉大な闘争”を深く理解し把握せよ」。外国と外国に通じる勢力が中国を窮地に追い込もうとしており、8分野の闘争を長期に展開するよう主張。「闘争」という文革時の表現に驚かされる。
習近平指導部は反腐敗で政敵を追い落とすなど文革時代に似た“政治闘争”で権力を固めており、文革の空気が醸成されているのかもしれない。
習指導部の進める内外の政策をあまりにもうまく説明している。中国の資源買収もその一つに数えられる。五鉱集団がスイスのエクストラータからペルーのラスバンバス銅山を約70億ドル(約7200億円)で買収した。
■独禁法利用し海外で資源獲得
中国は外国企業同士の合併でも国内に影響を及ぼす場合、独占禁止法で審査する。グレンコアは同業のエクストラータとの合併を進めるため、中国独禁当局の承認を求めた。中国側は条件としてラスバンバス銅山売却を要求した。独禁法域外適用を巧みに利用し、資源を獲得した。中国自身が新しい形の戦争を仕掛けている。
闘争史観の是非はともかく、習近平指導部には倒すべき相手がまだたくさんいる。