http://journal.mycom.co.jp/articles/2011/02/09/adpfsk/index.html
都内にて開催された「Adobe Digital Publishing フォーラム 2011」にて、G2010 代表取締役社長 船山浩平氏のセミナー「ワクワクする電子書籍」が行なわれた。G2010とは、船山氏が作家の村上龍氏と共に立ち上げた会社で、電子書籍の制作・出版が主な業務内容。セミナーで船山氏は、G2010を立ち上げた経緯や、App Storeで販売されている電子書籍『歌うクジラ』の制作秘話を語った。
試行錯誤しつつ電子書籍を作る
G2010代表取締役社長 船山浩平氏。「音をデザインする」をテーマにグリオを立ち上げ、キューバ音楽のレーベル運営や動画番組配信などを行なってきた。G2010は村上氏との共同経営
船山氏と村上氏は10年前から交流はあったが、書籍や出版に関する仕事は一切していなかった。共同作業と言えば、共通の趣味であるキューバ音楽の仕事に限られていたそうだ。村上氏は講談社の文芸誌「群像」で約4年間連載を続けていた『歌うクジラ』の連終了直後、船山氏に連絡を取ってきたという。ちょうどiPadが発表された時期で、村上氏は『歌うクジラ』を電子書籍として出版したいと告げたという。船山氏は「これまで村上龍氏と仕事をしてきたが、出版の仕事で関われるとは思っていなかった」と当時を振り返る。
船山氏はスタッフ全員で『歌うクジラ』を読み、電子書籍のアイデアを練った。これまでに出版に関する仕事は一切していなかったので、完全に手探り状態だったと言う。村上氏から生原稿を受け取り、実際に制作作業が始まった。原稿はまだ出版社の校正が入る前のものだったため、原稿用紙1,400枚すべての校正を行なった 作品は最終的に原稿用紙1,100枚くらいに整った。
校正を終え、本格的なデザイン作業に入ろうとしたとき、村上氏は「小説内に絵を200~300点入れたい」とアイデアを出してきた。この案に船山氏は疑問を感じたという。いくら電子書籍といえども、途中に絵を挟み過ぎると物語のイメージを変えてしまう可能性があるからだ。村上氏と話し合い、絵はなるべく減らす方向に決定したという。
また、縦書きか横書きのどちらにレイアウトするかも大きな問題だった。村上氏はルビ無しの横書きを主張したが、船山氏には小説は縦書きという概念があった。村上氏は「自分が原稿を書くときは横書きで書いている。なので縦書きにこだわる必要はない」と答えたという。
村上氏の友人であるアーティスト 坂本龍一氏が、この本のために楽曲をが4曲書いた。船山氏は届いた楽曲を聴いた瞬間、ある曲を本の最後で流したいと思ったそうだ。通常の小説の編集行程では考えることもない、電子書籍ならではのエピソードだ。
電子書籍の売り上げはこのように配分された
船山氏の話で特に興味深かったのは、電子書籍が発売された後の「コストと配分」に関する話。船山氏は「作品の売り上げは本人に還元されるべき」と持論を語った上で、「制作にかかる費用・かかった費用はスタッフ全員が正直に話し、売り上げ配分はしっかり決めておくことが重要」と言う。船山氏によると『歌うクジラ』の電子書籍の制作費は約150万円。プログラマーやデザイナーなど、どうしても制作に人件費は発生する。そこで、売り上げが発生してから150万円が回収されるまでは村上氏には印税は入らず、150万円を超えてから配分されると決められた。
制作費回収後は著者印税率40パーセント
具体的な利益配分の内訳はこうだ。App Storeの場合(※『歌うクジラ』の価格は1,500円)、売り上げの30パーセントがアップル、70パーセントが制作者に入る仕組みになっている。この70パーセント分が制作費の150万円に達するまでは、船山氏の会社に入る。これ以降の売り上げ分が、利益として配分されるのだ。制作費回収以降は、アップルの取り分を除いた売り上げの70パーセントを、村上龍氏 40パーセント、船山氏の会社 20パーセント、坂本龍一氏 10パーセントと配分したという。
船山氏はセミナー会場に集まった関係者に向け、「電子書籍だから売れるという考えだけで制作するのは苦しいだけなのでやめたほうがいい。文章にパワーがない作品を電子書籍にしたからといって、売れることはない」と苦言を呈した。また、「電子書籍は確かにブームになっているが、まだデバイスの普及率も低く、販路も限られている。そのため、現状では実際の書店よりも競争率は高い。顧客の目に触れる可能性が低いので、一極集中型になる恐れがある」と市場を分析した。
都内にて開催された「Adobe Digital Publishing フォーラム 2011」にて、G2010 代表取締役社長 船山浩平氏のセミナー「ワクワクする電子書籍」が行なわれた。G2010とは、船山氏が作家の村上龍氏と共に立ち上げた会社で、電子書籍の制作・出版が主な業務内容。セミナーで船山氏は、G2010を立ち上げた経緯や、App Storeで販売されている電子書籍『歌うクジラ』の制作秘話を語った。
試行錯誤しつつ電子書籍を作る
G2010代表取締役社長 船山浩平氏。「音をデザインする」をテーマにグリオを立ち上げ、キューバ音楽のレーベル運営や動画番組配信などを行なってきた。G2010は村上氏との共同経営
船山氏と村上氏は10年前から交流はあったが、書籍や出版に関する仕事は一切していなかった。共同作業と言えば、共通の趣味であるキューバ音楽の仕事に限られていたそうだ。村上氏は講談社の文芸誌「群像」で約4年間連載を続けていた『歌うクジラ』の連終了直後、船山氏に連絡を取ってきたという。ちょうどiPadが発表された時期で、村上氏は『歌うクジラ』を電子書籍として出版したいと告げたという。船山氏は「これまで村上龍氏と仕事をしてきたが、出版の仕事で関われるとは思っていなかった」と当時を振り返る。
船山氏はスタッフ全員で『歌うクジラ』を読み、電子書籍のアイデアを練った。これまでに出版に関する仕事は一切していなかったので、完全に手探り状態だったと言う。村上氏から生原稿を受け取り、実際に制作作業が始まった。原稿はまだ出版社の校正が入る前のものだったため、原稿用紙1,400枚すべての校正を行なった 作品は最終的に原稿用紙1,100枚くらいに整った。
校正を終え、本格的なデザイン作業に入ろうとしたとき、村上氏は「小説内に絵を200~300点入れたい」とアイデアを出してきた。この案に船山氏は疑問を感じたという。いくら電子書籍といえども、途中に絵を挟み過ぎると物語のイメージを変えてしまう可能性があるからだ。村上氏と話し合い、絵はなるべく減らす方向に決定したという。
また、縦書きか横書きのどちらにレイアウトするかも大きな問題だった。村上氏はルビ無しの横書きを主張したが、船山氏には小説は縦書きという概念があった。村上氏は「自分が原稿を書くときは横書きで書いている。なので縦書きにこだわる必要はない」と答えたという。
村上氏の友人であるアーティスト 坂本龍一氏が、この本のために楽曲をが4曲書いた。船山氏は届いた楽曲を聴いた瞬間、ある曲を本の最後で流したいと思ったそうだ。通常の小説の編集行程では考えることもない、電子書籍ならではのエピソードだ。
電子書籍の売り上げはこのように配分された
船山氏の話で特に興味深かったのは、電子書籍が発売された後の「コストと配分」に関する話。船山氏は「作品の売り上げは本人に還元されるべき」と持論を語った上で、「制作にかかる費用・かかった費用はスタッフ全員が正直に話し、売り上げ配分はしっかり決めておくことが重要」と言う。船山氏によると『歌うクジラ』の電子書籍の制作費は約150万円。プログラマーやデザイナーなど、どうしても制作に人件費は発生する。そこで、売り上げが発生してから150万円が回収されるまでは村上氏には印税は入らず、150万円を超えてから配分されると決められた。
制作費回収後は著者印税率40パーセント
具体的な利益配分の内訳はこうだ。App Storeの場合(※『歌うクジラ』の価格は1,500円)、売り上げの30パーセントがアップル、70パーセントが制作者に入る仕組みになっている。この70パーセント分が制作費の150万円に達するまでは、船山氏の会社に入る。これ以降の売り上げ分が、利益として配分されるのだ。制作費回収以降は、アップルの取り分を除いた売り上げの70パーセントを、村上龍氏 40パーセント、船山氏の会社 20パーセント、坂本龍一氏 10パーセントと配分したという。
船山氏はセミナー会場に集まった関係者に向け、「電子書籍だから売れるという考えだけで制作するのは苦しいだけなのでやめたほうがいい。文章にパワーがない作品を電子書籍にしたからといって、売れることはない」と苦言を呈した。また、「電子書籍は確かにブームになっているが、まだデバイスの普及率も低く、販路も限られている。そのため、現状では実際の書店よりも競争率は高い。顧客の目に触れる可能性が低いので、一極集中型になる恐れがある」と市場を分析した。