( Bloomberg News)
http://online.wsj.com/article/SB126082776435591089.html
World's Top Polluter Emerges as Green-Technology Leader
中国は、世界最大の二酸化炭素排出国だが、グリーン技術でも大きな存在になりつつあることはあまり理解されていない。中国の巨大市場と規模の経済が、太陽光発電や風力発電や電気自動車用蓄電池など環境に優しい技術のコスト削減につながるが、それを経済的なものにするには、巨額の補助金が必要である。安い労働と資本が製造業のルールブックを書き換える「中国価格」は、グリーン技術にも広がりつつある。中国政府もこれを後押ししている。シンセンの経済特区の成功に習おうとしている。規制当局は来年にも低炭素製造・輸出を促進する優遇政策を伴う複数地域での低炭素センターを発表する予定である。中国の目標は、大きな課題に直面している。中国は、単なる低コスト生産国にとどまり、イノベーションの源泉とはならないかもしれないし、もっと悪いことには、コスト削減力が外国のイノベーションを抑圧してしまうかもしれない。中国の炭素の足跡(カーボンフットプリント)を減らす道は遠い。時代遅れの発電所を2年間クリーンアップキャンペーンで閉鎖しても、その倍の発電設備を新設している。しかも、より良いはずの発電所がまともに動いていない。企業幹部が金のかかる排出量削減を望まないからだ。
地球温暖化への戦いの中で重要な手段の一つに炭素隔離がある。中国とアメリカは、世界の44%の石炭を保有しており、安価で信頼できるエネルギーを手放すつもりはない。米政府の予測では、2030年までに石炭使用量は50%増加するという。米環境団体クリーンエアタスクフォースの専門家は、発電所からの排出を減らさない限り温暖化は回避できないとして、米中協力の重要性を強調する。燃焼後にCO2を補足する技術は、既存発電所にも適用できるが、20%以上のエネルギーロスが生じる。燃焼前に取り除くガス化発電(IGCC)では、数千億円ものコストがかかり、商業ベースにはなっていない。中国は、石炭ガス化技術では先進的で、高価な天然ガス代替のため、広く石化製品や肥料の製造に利用してきている。ヒューストンのFuture Fuels 社は、ペンシルベニアの工場向けに中国から技術導入をしている。批評家は、炭素隔離は、温暖化にバンドエイドを使うようなものだと言う。それは非効率であるだけでなく、大量の水を必要とし、地下貯留技術も未確立だからだ。しかし、アナリストは、2100年の炭素削減量の15から55%になるとみている。許さんもベンチャー経営者の一人で、3つのプラントにかかわっている。一つは、北京付近の高碑店華能発電所である。許は、中国最大の電力会社で中国の全電力量の10%を石炭火力でまかなう華能グループが出資する政府系研究所で働いている。北京のプロジェクトは、オリンピック前に始まり、取り出したCO2を食品やソーダに使っている。この経験を基に上海で30倍規模のCO2捕獲施設を建設中である。仮に、許氏のチームがコストダウンを実現出来たら、世界中の石炭火力発電所で使われるだろう。許氏は、華能主導のGreenGen projectという10億ドルの石炭ガス化プロジェクトにも参加している。2011年には始動するが、ガス化発電は、高効率であり、少ない石炭で同じ電力を得ることができる。つまり、低炭素になる。炭素隔離は主流になってきたが、世界的に使われる技術になるには5~10年かかるとみられている。
この間に、中国は、風力と太陽光という既存の2大環境技術で新たな段階に入りつつある。中国の風力発電市場は、2004年に海外勢が8割を占めていたが、今では、欧州企業の3割も安い製造コストで中国勢が75%のシェアを握る。中国の風力発電機メーカーは輸出も開始している。10月には瀋陽のShenyang Power Groupが、テキサス州での米国最大級の風力発電基地プロジェクトに240基を供給する契約を取り付けた。
太陽電池では、既に世界市場の3割を占めている。無錫尚徳太陽能電力公司(Suntech Power )、保定天威英利新能源有限公司(Yingli Green Energy )、天合光能有限公司(Trina Solar)などが、欧米に輸出し、3割もの価格低下に貢献している。中国との競争でライバル企業は生産拠点シフトを余儀なくされている。米Evergreen Solarは、組み立てラインをマサチューセッツから中国に移転するという。GEはデラウェアの工場を閉め、BPの太陽電池部門は今春にもメリーランドでの生産を止め中国のサプライヤーに依存するとしている。中国では大量の工学系卒業者を排出しているが、キーテクノロジーはの大半は外国企業が握っている。英王立国際問題研究所の研究責任者の一人は、「中国は10年遅れている」と指摘する。安値攻勢は、保護主義を誘発するかもしれない。現に、NY州の上院議員が、テキサスの15億ドル風力発電プロジェクトへの政府補助金について、米国製風力発電機の使用を求める書簡をエネルギー長官に送っている。また、中国が再生エネルギーで過剰生産による安値攻勢をかけていることが、中長期的なイノベーションと競争を損なうのではないかと懸念する声もある。中国は、過剰供給力を有利に使ってきた。今年までは、太陽電池をドイツとスペインに輸出してきた。今年になって状況が一変し、太陽電池価格が下落したと同時に数十もの中国のポリシリコンメーカーが操業を開始した。素材の供給過剰が、不況による欧州の受注減と重なったことで、ポリシリコン価格は、ピークだった年初から半減し、2010年には更に20%下落すると見込まれる。価格軟化は、中国の当局には新たな可能性を広げた。2020年までに5倍から10倍まで太陽光発電能力を引き上げることを語っている。そうなると現在の世界の設備容量の倍以上を保有することになる。Trinaと Yingliの役員は、規模の経済によりコストダウンが実現できるという。人民解放軍の退役軍人で化粧品販売から転じた英利の苗连生(Miao Liansheng)総裁は、「2010年末には1ワット当たり1ドル以下までいける」という。これは、既存電力とのグリッドパリティの目標値に相当する。「中国のメーカーは、欧米日よりも遥かに安く製造できる。すべてのサプライチェーンを中国国内で得られるからだ。中国人は太陽電池をもっと手に入りやすくするとともに、新技術の導入にも貪欲である」と、中国太陽電池業界を担う科学者養成機関ともなっている豪サウスウェールズ大学太陽電池センター所長は語る。
安価な製造コストには、アメリカの電力会社も注目している。華能は、ガス化装置を外国のライバルより安く製造できるという。ノースカロライナ州のDuke Energy
は、華能と8月にクリーンコール技術の情報交換協定に署名した。 同社は、「IGCCをアメリカで導入するには8年かかるが、中国では3年で済む」と語る。