50代半ばの天才常務が最先端のものづくり改革(サステナブル工場)の話をもれなくしてくれました。なかなか圧巻でした。国際鍛圧機械見本市「MF-Tokyo 2009 プレス・板金・フォーミング展」での講演会をご紹介します。超音波加工、ナノ加工でも面白い講演がありました。
●特別講演「トヨタの環境に配慮したものづくり」牟田弘文常務役員
○2009年10月15日(木) 14:00~15:00 東京ビッグサイト
○現在、車両生技部、プレス生技部、ボデー生技部、組立生技部、生産物流生技部、塗装生技部、内外装生技部、シャシー生技部、エレクトロニクス生技部、広瀬工場エレクトロニクス製造部、スタンピングツール部、広瀬工場企画管理部工場長、貞宝工場工機管理部工場長、メカトロシステム部、ダイエンジニアリング部、広瀬工場品質管理部を担当。1978年早稲田大学理工学部機械学科卒業、トヨタ自動車工業株式会社、2002年第2生技部部長、2003年ボデー生技部部長、車両生技部部長、2004年生技管理部部長、2006年常務役員。
○概要
・オイルピークの議論がある。環境対応車プリウスは、今年8月末で201万台
になった。今後はPHVが主力だろう。http://www.oilposter.org/
・ものづくり面でもサステナブル工場にすることが重要。例えば、塗装VOC。CO2削減は工場物流でもできる。環境マネジメント。地域との交流も大事。
・08年からサステナブル・プラント活動を進めている。低CO2生産技術。再生エネ活用。森づくり。
・プレス工程では、コマツと組んで、省エネ型サーボプレスを導入し、コンパクト化しつつ、▲35%。加圧を2400トンから1600トンと2/3にし、生産性は1.7倍。タッチ音も小さくなり、騒音を100dBから85dBと約1/10に減らした。搬送ピッチを従来の7mから4.2mに削減。従来は、モーターでフライホイールを回し続け、エアクッションを集中支持していたので、振動とたわみが大きく、余分な加工力が必要だった。これを、サーボ+減速機にして、サーボクッションを入れた。タンデムの高速ロボット搬送が可能になった。さらに下死点で減速して、成型性を良くしたので、騒音が減った。支点をサーボ化分割同期にして、たわみも極小化した。分速8.5ストロークを16まで上げた。これは世界最速の大型プレス。見ていても驚くほど速い。成型性でも、クッション圧が安定し、しわもなく、品質も安定した。消費電力は、従来はフライホイールがずっと稼働していたので定常部分があったが、サーボ化することで、▲35%削減できた。これまでは、例えば、世界16カ国でカローラを生産していたが、その際に型調整が大変だった。しかし、リピート型で、一発でよいものができるようになった。未だロットが大きいので、もっと小さくしながら、一個流しに持って行けるようにしたい。
・射出成型では、型のたわみがバリにつながる。加工点の見える化を進めている。計測とCAEでバリレスにしている。条件を定量化する。3点注入を5点注入にしたら、低圧&均圧にできた。油圧3000トン、6.5立米を、電動1600トン、2.7立米にして、成型圧力を1/2、設備サイズも1/2になった。型も1/2にできた。製品重量もバリレスにして▲30%にできた。品質が向上して薄くできるため。1ショットの電力も▲45%。サイクルタイムも50秒から30秒までになった。多点射出で、充填時間短縮し、薄肉化で冷却時間を短縮し、小型化で動作速度をアップした。
・鍛造では、クランクシャフトが大きい部品。5000トンで5工程だった。これを予備工程で200トンを入れ、5000トンは4工程にした。精度向上で一工程省いた。
・トランスミッション(T/M)ギアは、従来は、加熱切断だったが、工程数がかかっていた。これを冷間切断にして、精度を向上させた。設備がコンパクトになり、1600トンから1000トンへと成型加重も▲23%削減できた。T/Mギアの型は、3トンもあったが、これを200㎏へと▲93%低減。設備でも、ACサーボに切り替えている。従来は大クレーンが必要だったたが、手押しでも対応できるようになった。段替時間も5分になり、▲83%。ライン長も60mから20mへと▲67%削減できた。
・ボデー・ラインでは、ライン長の短縮とロボット化で▲35%(溶接ロボットで、スリムロボットを集中配置し、ライン長を半減)。
・塗装では、水性3ウェットで▲15%。乾燥炉廃止、VOC削減。
・組立では、▲15%。部品供給の合理化。SPS,AVGでライン長を縮減。
・型の体積も縮小している。タイヤケースで1/10、射出で1/3。
・サステナブル工場の取組で、90年比▲55%を基礎的な活動で達成した。新たな取組で▲65%まで引き下げた。07年比でみると▲20%と努力している。しかし、今後も努力していきたい。