エタノール混合率の引き上げに科学諮問委員会の研究成果を求める法案が提出
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 米国では、大気浄化法(CAA)に基づき、ガソリンへのエタノール混合率は
10%(E10)が上限とされている。しかし、新エネルギー法に基づく再生可能
燃料基準(RFS)の総義務量達成、また、エタノール価格の低迷、エタノール
工場の経営悪化を改善する手段としての期待から、穀物、エタノール企業・団
体は、環境保護庁(EPA)に対して、同法に基づく適用除外としてE15への引き
上げを要請している。EPAは、12月1日までに引き上げの可否を決定しなければ
ならない。
 このような中、スーザン・コリンズ(共和、メイン)、ベン・カーディン
(民主、メリーランド)ら超党派の上院議員4名が、新燃料を市場に導入する
際には、既存燃料との整合性を担保する「Mid-Level Ethanol Blends Act of
2009」(S1666)を提出している。
 この法案によると、EPAがE15~20等の中間レベルエタノールに関して、大気
浄化法に基づく適用除外を認めることができるのは、大気浄化法の下での排気
要件、現行エンジンでの可動性について、EPAの科学諮問委員会(SAB)の研究
を経た場合のみに限られることとなる。具体的には、SABが研究結果を踏まえ、
EPAに対して中間レベルエタノールを混合したガソリン(新燃料)の販売可能性
についての勧告を行う。EPAは、同法の適用除外の可否決定時において、当該決
定とSABの研究結果との整合性についての説明義務を負うこととなる。また、
SABは、新燃料の販売開始後5年間は、当該新燃料自体、また、互換性のない異
種燃料の受容からエンジンを保護するための輸送システムの可用性についても
取り組まなければならない。
 この法案は、E10の引上げに慎重姿勢を崩さない飲食料品・畜産団体、環境団
体、石油業界の「科学的根拠を重視すべき」という方向性と軌を一にする。ま
た、EPAのほか、エネルギー省、農務省など関係政府機関は、いずれも研究成果
を待たずしての拙速な引き上げ決定には否定的な姿勢を示している。引き上げ
に関しては、自動車はもとより、ボート、チェンソーなど非道路輸送用機器で
の対応の困難さを指摘されている。
 そもそも、E10、E15など大気浄化法が定めるガソリンへのエタノール混合率
は、混合率の最大値であり、混合義務量ではない。「ブレンドの壁」を打破し、
市場起点でエタノール需要を増加させるためには、原油・ガソリン価格の動向、
エタノールインフラ(パイプライン、給油所など)の要素が重要である。再生
可能燃料協会のサマンサ・スレーター副会長も「混合率引き上げは、エタノー
ル業界が抱える問題の解決策ではない」と述べている。
 EPAでの検討作業が進む中、エタノールの利用拡大に対しては、科学的見地
に基づく決定を求める声が主流になっている。