http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090529-OYT1T00038.htm?from=
脚折られ?山中放置の雌犬…手術4回、それでも人間が好き
岩手県北上市更木のペットホテル「ステップwan」に、両方の前脚が「くの字」に曲がった雑種の雌犬がいる。名前はコリン。年齢は10歳ぐらい。お客さんが来ると、不自由な足でひょこひょこと近づき、じっと見上げてなでられるのを待つ。そんな人懐こいコリンは、2年前に山の中で両脚が折れた状態でさまよっていたのを保護された。絶望的な状況を乗り越え、今ではホテルの看板犬として、穏やかな日々を送る。
コリンが保護されたのは2007年6月、盛岡市郊外の山中で、折れた前脚で必死にはっているのを、犬の散歩中の人が見つけた。連絡を受けた盛岡保健所は「負傷動物」として保護し、近くの動物病院に運んだ。前脚は左右とも先端から約10センチの部分で折れ、その状態で骨が固まっていた。折れた部分を地面につくため、保護された時は皮膚に穴があき、やせ細った姿をしていた。 負傷動物の応急処置は1泊2日が原則。飼い主が見つからなければ、殺処分もありうる。だが、この犬の人懐こさが、かかわった人たちの心を動かした。話を聞いた動物愛護団体「動物いのちの会・いわて」が引き取りを申し出た。
コリンは4度の手術を受けた。骨をまっすぐに戻すことは難しいため、L字型のボルトを入れ、折れた部分をついて歩くようにした。昨年末、同会メンバーでペットホテルを経営する川杉知恵さん(44)が引き取ることにした。コリンという名前は、友人の子どもがアイドルにちなんで付けてくれた。安住の地を得たコリンは、昼間はのんびりと玄関脇の柵で囲った一角で過ごす。散歩はできないが、庭で遊ぶ時は、モグラの穴に鼻先を突っ込んで遊ぶのがお気に入り。「穏やかな性格で飼いやすい犬。でも、山の中をさまよった経験があるためか、食事への執着はすごい」。多くの犬を見てきた川杉さんは、コリンが時折のぞかせる激しい一面に胸を痛める。「それでも、この子は命をつなぎとめた」。川杉さんは、コリンの強運を信じている(2009年5月29日08時10分 読売新聞)
