こんなふうに頑張っている中小企業がいます。
追い詰められて知恵を絞って、そして省資源・
低コストものづくりを達成しています。
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中小零細の町工場が集積する大田区大森。トキワ精機は1932年に創業し、「油圧用配管継手」という部品一筋で生き残ってきた。木村が大学を中退し、同社に入ったのは68年、19歳の時である。跡継ぎとしての入社だったが、幼いころから図面を引いたり、機械をいじってばかりいて、人と話すのが苦手だった。
同社が健闘しているのは、従来に比べ加工時間と原材料が半分で済む「どこにも、誰にもできない継手」をつくれるからだ。 従来品に比べ廃棄物が少なく環境にもいい。 従来型は、鉄をL字に加工し、最後に油が通る穴を開ける。新型は、もともと穴の開いたパイプを曲げるので、大幅なコスト削減ができる。
98年、そんな木村を創業以来の危機が襲う。主要取引先から30%のコスト削減を要請されたのだ。 「当時はウチも、昔ながらの方法で継手をつくっていた。どうやって節約するのか思い浮かばず、戦意喪失寸前だった」(木村) ここで開き直る。「頭を空っぽにしてゼロから継手の作り方を考えて、それで駄目なら仕方ない」(木村) 継手製造のコストが高いのは、最後に穴を開けるからだ。穴を開ければ削りカスが出て、原材料もムダになる。ならば、もう穴なんか開けなくてもいいんじゃないか? いやいや、それでは継手にならない…。 鉄を曲げてから穴を開けるのではなく、最初から穴の開いたパイプを曲げる、というシンプルかつ逆転の発想はそんな試行錯誤から生まれる。その情熱は超巨大企業も動かす。新工法で継手をつくるには、曲げに強い特注の穴あきパイプを鉄鋼メーカーにつくってもらうことが前提になる。とはいえ、大企業が零細メーカーのために特注品の製造に応じてくれるかは、未知数のままだった。大事な新日鐵との交渉で、木村は一世一代のプレゼンテーションをする。「この新型が完成すれば、ウチは世界のエルボ市場を獲れます。そうすれば、御社はそこに原料を独占供給できるんです」。新日鐵が特注パイプの提供に応じ、木村が、主要取引先の要求どおりコストを30%カットした新型エルボ、通称「まるみ君」を完成させたのは01年だった。木村は父から「中小企業は耐え忍べ。じっとしていたら景気循環で必ず良くなるから」と言われて育ったという。 「でも、今は堪え耐ぶだけでは会社は潰れる。あの時、30%のコスト削減があってがむしゃらにもがいたからこそウチも存続できた。しんどいけど、これが中小企業経営なんだよね」