携帯電話を巡る以下の日米の差です。


http://www.asahi.com/international/update/1127/TKY200811270324.html


携帯大好きオバマ氏ピンチ ホワイトハウスでは所持に壁
(2008年11月28日 朝日新聞)

ホワイトハウス入り後、果たしてオバマ氏は携帯電
話を手放せるか――。関係者の間で今、それが話題になっている。同氏は自他共に
認める「ケータイメール中毒」だが、米大統領就任後はセキュリティー上の理由な
どで使うことはできなくなりそうだ。

 オバマ氏は、メールやホームページが見られるスマートフォンの一種「ブラック
ベリー」を常に腰のベルトに装着しており、暇さえあればメールをチェックしてい
る様子がよく見られる。

 米メディアによると、選挙期間中も陣営からのメモやブリーフィングをすべて携
帯メールで受けていたほか、友人らに「シカゴ・ホワイトソックスが勝った!」な
どとメールを送っていたという。本人も自覚しており、AP通信が大統領候補に趣
味などをアンケートした際、「悪い習慣」に「ブラックベリーのチェック」と答え
ている。

 だが大統領就任後はいくつもの壁にぶつかりそうだ。まずハッキングされたり電
話機を紛失したりして、外部に情報が漏れる恐れがある。また、法的に個人メール
もすべて大統領の公式記録となるため、自由に削除もできず、最終的には公開対象
となり、議会などの召喚の対象にもなってしまう恐れがある。

 クリントン、ブッシュ両大統領は在職期間、電子メールの使用をあきらめたとい
う。オバマ氏もケータイを手放さざるを得ないのでは、というのがもっぱらの見方
だ。


http://www.nikkei.co.jp/neteye5/shimizu2/20080403neb43000_03.html


福田康夫と安倍晋三の「まさか」の符合

(2008/4/4  日経新聞)
 携帯電話を駆使する安倍前首相と福田首相。空洞化が進む政権中枢の実態も酷似
してきた

 4月2日夕、首相官邸で開いた消費者行政推進会議。「消費者庁」創設論議に耳を
傾けていた首相・福田康夫はふいに立ち上がり、足早に部屋の外へ出て行った。マ
ナーモードに設定した携帯電話が掌で小刻みに振動していた。席に戻ってくるまで
約1分。室内の空気が一瞬、止まったようだった。日本の宰相はいつからサラリー
マンのようにケータイを駆使し始めたのか。そんな小さなことからたどっていくと
、福田と「水と油」のはずの前首相・安倍晋三との「まさか」とも思える数々の符
合が浮かび上がる。

秘書官も把握しきれない首相の携帯電話

 混迷が続く日銀総裁人事。福田は同意が得られなかった前副総裁・武藤敏郎、国
際協力銀行総裁・田波耕治らを含め、これまでに総裁・副総裁候補として5人を国
会に提示した。実は一度も候補者を官邸に呼び、面会したうえでの就任要請をして
いない。この中の1人は「実は首相は携帯電話で直接、何度もかけてきて、話をし
た」と明かす。官房長官時代から不用意な情報漏れを極度に嫌い、「秘密主義」と
も言われる福田が携帯片手に執務室から外部と相当、頻繁に連絡を取っていること
をうかがわせる。

 安倍もそうだった。昨年9月の唐突な退陣表明直後、入院した病室から携帯であ
ちこちに連絡し、見かねた周囲が一時は携帯を使わせないようにしたほどだ。ちな
みに元首相・小泉純一郎は在任中、携帯を持たなかった。いまどき、首相だってケ
ータイやメールを活用し、連絡や情報収集をするのは当たり前とも思えるが、官邸
に40年以上、勤めた元ベテラン職員はあえて「首相たるもの、携帯など持つべきで
ない」と言い切る。メリットより、指揮命令系統や情報伝達ルートが乱れる弊害の
方が大きいと指摘する。

 「4月危機」に直面する福田。この間、日銀総裁候補を2人、提示し、道路特定財
源は2009年度からの一般財源化の決断を表明した。「武藤総裁」に続く「田波総裁
」案は民主党が同意するはずのない財務次官経験者の連発で情勢判断に疑問符がつ
いた。一般財源化は自民党内の道路族に反発を広げた。いずれも福田のトップダウ
ンの決断だ。「首相が携帯で外と連絡し、秘書官さえ誰と相談したのか分からずに
状況が把握しきれない場面が目立つ」。有力省庁の幹部は「秘密主義」の宰相を支
える官邸内の混乱を打ち明ける。

 小泉時代は元首席秘書官・飯島勲が執務室の門番として陣取り、官邸からのメッ
セージ発信の緩急を仕切った。逆に小泉に上がる情報もことごとく選別していた。
小泉は携帯も持たず、自分で受話器も取らないから、アクセスするには飯島や他の
秘書官を通さなければならない。公邸では実姉の信子がその役割を受け持った。e
メールも使わない。「小泉ファミリー」はパソコンや携帯の便利さを脇に置く代わ
りに、情報の伝達を巡る行き違いや、それによる互いの疑心暗鬼が生じる余地を極
小化していた。

「司令塔」不在と分割統治から自壊の兆し

  福田、安倍が小泉と全く違い、反りが合わないはずの二人が意外なほどそっく
りな点は携帯電話だけではない。小泉は政策決定の表舞台は現慶大教授・竹中平蔵
を経済財政諮問会議や金融、郵政民営化の担当相として「構造改革の司令塔」に任
命、「丸投げ」と揶揄されたほど重用して自民党や霞が関官僚機構を揺さぶった。
その裏側では飯島が政局シナリオを描き、霞が関に長年、張り巡らした人脈をフル
活用して改革への協力を求め、アメとムチを使い分ける形で官僚群を動かしていた


 小泉は全幅の信頼を置く「表の竹中、裏の飯島」の「ダブル司令塔」に巧みにバ
ランスを取って乗り、実はしっくり行っていなかったこの2人も役割分担が明確で
、表と裏で住み分けていたので、指揮命令系統ははっきりしていた。安倍が首相に
なると、一変した。官房長官・塩崎恭久、首席秘書官・井上義行、首相補佐官の世
耕弘成、小池百合子ら官邸の「チーム安倍」、幹事長・中川秀直、総務相・菅義偉
ら政府・与党内の実力派を安倍はそれぞれに使ったが、特定の「司令塔」は置こう
としなかった。

 各側近は自分こそ「司令塔」とばかり、安倍と直接、結びつこうとした。車輪に
例えれば、安倍が中心のハブ。放射線状に延びるスポークで各側近とつながるが、
スタッフ間の横の連携は乏しかった。「誰とも等距離外交」とも言われた安倍は半
ば意識的に側近を分割統治し、熾烈な忠誠心争いを引き起こした。塩崎vs小池、井
上vs世耕、「チーム安倍」のお友達vs中川……。果てしない暗闘が政権中枢で繰り
返され、政策の司令塔も、政局のシナリオライターもいなかった。いたとすれば安
倍本人しかない。

 「ダブル司令塔」に出来る限り「丸投げ」し、いざ政権の有事にエネルギーを集
中して効果的にトップダウンで決断を下していった小泉に対し、「ハブ&スポーク
型」では政権戦略の重要決定と責任がすべて安倍自身にのしかかり、気力と体力を
消耗させた。では、福田はどうか。官邸に首相補佐官をずらりと並べ、忠誠を競わ
せた「チーム安倍」スタイルは一見、カゲをひそめたように見える。ただ、こちら
からは形として見えなくても、どうやら福田にしか見えないステルスの「チーム福
田」があるようなのだ。

有識者会議が乱立、肩身狭い経財諮問会議

 3月20日。前日に「田波総裁」案も否決され、政権を危機感が覆ったこの日、福
田は前官房長官・与謝野馨、元幹事長・中川秀直を相次いで官邸に呼び、相談を持
ちかけた。2人とも今は無役だが、節目には必ず現れる。側近を自任する元防衛庁
長官・衛藤征士郎は電話や夜の会食が多い。休日にしばしば公邸に招き、酒食を共
にする経済財政担当相・大田弘子も隠れた相談相手だ。そこへ割り込んできた新顔
は首相補佐官・伊藤達也。これに幹事長・伊吹文明ら党執行部の「正規軍」も加わ
る。

 福田はそれぞれの進言を「いいとこ取り」するが、やはり特定の「司令塔」は置
かず、政治的バランスを測ってうまく操ろうとしているように見える。与謝野と中
川が経済財政政策を巡って不倶戴天なのを知りながら、同じ日に続けざまに呼び込
む。無役の大物を重用すれば、「正規軍」の伊吹や官房長官・町村信孝が心穏やか
でないのは分かりきっている。やはりハブ&スポーク型の分割統治だ。中心には携
帯を握り締め、ただ一人、政略の全容を知る福田がいる。政権中枢の実態は安倍時
代とそっくりなのだ。

 そう言えば、安倍が「何でも官邸団」とばかり乱立させた官邸の有識者会議を福
田は一掃したはずだった。消費者行政推進会議(座長=学習院大教授・佐々木毅)
、社会保障国民会議(座長=東大教授・吉川洋)、地球温暖化問題懇談会(座長=
トヨタ自動車相談役・奥田碩)……気がつけば、政権の重要政策はことごとく有識
者会議にゆだねている。小泉政権で比類なき重みを持った経済財政諮問会議の肩身
が狭く、どの官邸会議がメーンエンジンかよく分からないのも安倍、福田の共通点
と言える。

 安倍官邸は中枢のポストについた側近同士の派手な立ち回りが丸見えで、自壊し
ていく様子が外野からも分かりやすかった。ステルス性が高くて見えにくい「チー
ム福田」も急速に空洞化している。3月27日、道路財源の一般財源化を決断した福
田は記者会見に先立ち、自民党役員会に方針を記した一枚紙を届けた。「首相の使
者」は町村でもその下の官房副長官でもなく、首席秘書官で長男の福田達夫だった
。もはや身内しか信用できなくなりつつあるのか――官邸に冷え冷えとした空気が
漂う。