日本の科学技術コミュニケーションはどうあるべきか
~第4期科学技術基本計画に向けた提言~2008年11月22日(土)
主催者:科学技術コミュニケーションについて、考え、行動している。国立大学法人化反対では、市民や学生の支持が得られなかった。公益にかなっていないとダメ。ポスドク問題も同様。科学アンバサダーを設け、市民が科学技術に触れられるように、市民から研究が進むようにする必要がある。論文を読みたい場合にオープンアクセスも必要。学び合う場が欲しい。学校や科学館などとの提携も必要。
現場の研究者(某有力研究独法PD、女性)3期基本計画によって現場がどう変化したか。①「若手研究者自立支援」でポスドクのキャリアパスが不透明と指摘された。独法側は、ポスドクが多いと法人自体の評判が悪くなると受け止め、「ポスドクは5年以上雇用しない」と方針を変えた。キャリアサポート室が設置されたが、いっぱい国費をかけて育成した人材に、研究を諦めさせ、辞めさせることを支援している。ポスドク1万人計画では国力増強を目指したはずだが、実態は逆。なんで、こんなことになってしまったのか。②基本計画で「公正で透明性の高い性別・年齢・国籍に関係ない競争的な選考」が指摘された。最初は、関係者しか知り得ない短期間の公募にした。今度は、公募条件で、ある特定の人が選ばれるスペックが書き込まれるようになった。最初から決まっている。当て馬のような話だと後で分かると落胆する。どうも政策が正しい方向に機能しているかどうかを評価するシステムが欠落しているのではないか。処遇と評価を結びつけることが、正当ではない評価を生んでいる。翌年に給料に反映することになったが、高い評価に対応できる人件費の余裕がない。このため全体評価を下げる。一生懸命頑張っている人でも、評価は普通以下になる。我々研究現場にいる者は、良い研究をしたいのであって、お金の問題ではないのに、評価が低いと、やる気がそがれてしまう。基本計画は、どうも研究現場の現実にフィットしていない。
ポスドク男性(公的機関研究所所属30才)日本は科学技術立国というのに、どうして若手を不安定な状況にしているのか。65年の産業別GDPと05年を比べると、半導体が0%から35%まで躍進した。日本経済は半導体産業が支えてきた。ムーアの法則が限界を迎えている。半導体の成長が止まると、我々若者はどうするのか。日本はもはやキャッチアップ型ではダメで、イノベーション型で新しいアイデアを創るべきだ。アメリカに1年いたが、志と能力の高い数人の異分野の若者が幸せに研究している。日本では何故できないのか。国や大企業はキャッチアップ型に最適化されている。次世代への投資をサポートして欲しい。40歳以下はすべて任期付で、極めて不公平に感じる。学士卒や修士卒で研究所に入ってきた人と博士では、まったく実力が違う。自分でものごとを考えられるのが博士。最近の安易な論文博士には大いに疑問を感じる。
男性(学生) ポスドク問題。院生が就けるポストは限られているので解決は難しい。これから進学する学生に実態をきちんと伝え、人生のリスクマネジメントをしてもらうことが必要。
男性(コンサル社長)東大先端研や理研の相談にも乗っているが、最近、相談が増えている。名大、早大、慶応など。企業の研究開発の最先端につながないとダメ。企業も最先端部分は秘密にしているので、つなぐのは非常に難しい。
男性(ポスドク経験者、30代)私は2期・3期の基本計画の申し子。有力私大卒、学振研究員、私大助手で6年ポスドクだったが職がなかった。今の学生は恵まれている。学振を落ちても受け皿がある。企業に転進するのも社会還元になる。
男性 科学技術コミュニケーションの「場」として、公共図書館を忘れていないか。図書館には、膨大な書籍やレファレンス機能やスペースもある。論文データベースも時間の制約はあるが、国会図書館などで利用できる。2000年以降、ビジネス支援図書館という活動で、全国でも40館以上で取り組んでいる。十分連携の余地がある。国会図書館には科学技術担当もいるし、川崎図書館、浦安図書館、大阪府立図書館などが活発に活動している。日本のキャッチアップ型は終わりという指摘は同感。今後は、環境技術がポイント。水、食料、資源、エネルギー、地球環境など取り組むべき課題は多く、博士の活躍が望まれる。企業もscience-basedでないと本質的な競争力を持ち得ない時代であり、博士の知恵が不可欠。
男性 日本の政策プロセスにはフィードバックループが働いていない。NPOなどとの緩い連携を科学技術政策にも取り込んで欲しい。最近の科学技術政策は、効率、合理的成果を重視してきたが、そのアンチテーゼも必要。「とんでも研究」にお金が回っていく現実がある。